このひなびた感じがたまんねぇっす。
駅前には今更珍しいであろう有害図書追放ポストがありました。東雲ポイント高めです、くぅー!
うきは駅からタクシーで移動し、会場であるホテルパーレンス小野屋に到着。遅れて着いたので、もう会は始まっていました。
今回のテーマは「慢性期医療」であり、その管理の難しさや急性期疾患からの橋渡しをどうするかというテーマでシンポジウムがありました。
私が今、水俣でやっていることはまさにこの慢性期医療メインなので、参加できなかったのが残念です‥その後の感想交流から参加させていただきました。
その後、大牟田市の”みさき病院”で院長をされている田中清貴先生による「認知症の不思議な世界」という題で記念講演を拝聴しました。
認知症は今や65歳以上の7人に1人というくらいに非常に高い有病率で、これからますます増えるでしょう。現に、私が管理している患者さんの中には認知症の方は結構な割合でおられます。
そもそも認知症と言っても様々なタイプがあるのですが、有名なアルツハイマー型認知症と呼ばれるタイプでは「ついさっきあったことを忘れちゃう」という近時記憶の障害が典型的に生じます。
そうなると、さっき言ったばかりのことを忘れて何度も何度も同じ話を繰り返したり、道がわからずに外をさまよったりし始めるのです。
加えて、記憶障害の他にも、火をつけっぱなしにして火事になりかけたり、娘に財布を盗られたと言って騒ぎ始めたり、可愛い孫やひ孫に暴力行為をしだしたり‥という迷惑行為も起こすことがあります。
こういう迷惑行為を「認知症による行動心理症状(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia:BPSD)」といい、これが診療する上でも厄介なんですよね。
ちょいっと物忘れするくらいならばまだ「あらやだ、おじいちゃんボケちゃって」とのんきに構えられますが、BPSDが出だしたら「もう一緒に暮らすなんて無理です‥!助けてください!」と家族が涙を流して訴えられる事態にまでなることも経験あります。
私は認知症患者さんと家族の間に起こる問題にいつも頭を悩まさられています。薬は出してみるけどうまくいくことはそんなに多くありません。・・まぁ、私が臨床医としてまだまだ能力不足なだけなのでしょうけど。
しかし、田中先生は長年内科医をされ、認知症患者さんと深く関わる中で、「認知症症状は患者さんの身の回りに起こった事実とリンクしています。それを誤って解釈しているなどで妄想のように発言されている場合もあるので、薬をホイホイ出す前に、患者さんの身の回りのことに目を向けるようにしてみることでしょう」と興味深い事を仰られました。
他にも、認知症の早期発見のポイントなど明日から使えるものもご教示していただき、大変勉強になりました!
(後半に続く)