東雲です。
前回、500問近い過去問をざっとまとめてみたことを投稿しました。
今回は、各分野別で出題されやすいものをご紹介します。
※内科学会が公開している範囲での分析なので、隠れた出題傾向があるのかもしれません。当ブログをアテにしていただいている受験者の先生方からの試験後の苦情は一切受け付けません。どうか気軽にご参照ください。
試験範囲は①消化器(消化管、肝胆膵)、②循環器、③代謝・内分泌、④呼吸器、⑤腎臓、⑥神経、⑦血液、⑧アレルギー・膠原病、⑨感染症、⑩救急・総合診療・その他‥と10個に分類できます。
各分野で頻出の問題を紹介していきたいと思います。
今回は①消化器です。どうぞ~。
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【肝炎ウイルス】
AからE型まで肝炎ウイルスはありますが、圧倒的にBとCが出題されます。
問われやすいのは治療についてです。B型肝炎はインターフェロンと拡散アナログを使いますが、35歳以上か以下かで選択が大きく分かれます。
35歳以下はウイルス駆除して将来的なdrug freeを目指すためにインターフェロンを、35歳以上はウイルス合成を抑制してウイルス増殖と炎症鎮静化を目指すために拡散アナログが選択されます。ウイルス量が多かったり、肝線維化が進むと両者併用することがあるようです。
さらに拡散アナログはラミブジン耐性化によって、最近はエンテカビルやテノホビルが選択されます。
インターフェロンはBでもCでも使いますが、とくに最近はC型肝炎でインターフェロンにとって代わる経口DAAs(Direct Acting Antivirals:ハーボニー®など)での治療が多くなっているようです。
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【肝硬変・肝細胞癌】
「肝炎→肝硬変→肝細胞癌」ってのが王道パターンです。実際に肝細胞癌の原因は70%はC型肝炎由来で、B型肝炎・アルコール・脂肪肝が残りを占めてます。
肝硬変に関しては腹水が生じたときの治療をどうするかが良く問われます。肝硬変の難治性腹水に対してトルバプタン(サムスカ®、1錠の値段がめちゃ高い)が保険適応になったのはつい最近です。
ただ、それ以前に食塩制限や水分制限したり、消費される分岐鎖アミノ酸(BCAA)のお補充をしたり、肝性脳症になったらラクツロースや抗菌薬のカナマイシンを使って腸管内の菌をどうにかしたりします。ちなみにBCAAが芳香族アミノ酸(AAA)とすり替えて選択肢に入っているのをよく見るので要注意です。
肝細胞癌はリスクファクターの出題が多いようです。B・C型肝炎、肝硬変はもちろんですが。男性、高齢、アルコール、喫煙、肥満、糖尿病もガイドライン上でリスクファクターとして挙げられています。
・・まぁ、酒やたばこや肥満はどんな疾患のリスクになり得ますが。
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【慢性膵炎】
なぜか急性膵炎よりも多くの出題を見ました。
膵炎を何度も繰り返し、細胞が壊れて線維化していってる状態を慢性膵炎と言いますが、まだまだ膵細胞の残兵が頑張っている代償期と、もはや全滅状態の非代償期で若干症状や治療内容が異なることが問われます。
それとBT-PABA試験(PFD試験)も何度か出題されています。膵機能が落ちたら結果(PABA尿排泄量)は低値になるので、ひっかからないように。
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似たような疾患どうしの特徴を対比させて問う手法は、試験問題作り方の王道パターンと言えます。
消化器分野では以下のようなものが該当します。
【PBCとPSCとAIH】
PBCとPSCは病名自体がややこしいので取り違え注意です。とくに問われるのが検査での自己抗体で何が陽性となるかということと、何を合併するかということでしょうね。学生時代に勉強した語呂(どこかからの引用)が入っているので、しっかり覚えておきましょう。
【IPMNとMCNとSCN】
膵疾患で「夏みかん」「ブドウ・いくら」「ハチの巣」とか出てきたら、これらのことです。いずれも膵臓にできる嚢胞のMRCP上の形態的特徴です。出題されやすいのはIPMNとMCNで、好発年齢は問われやすいです。ただし、1問は中年女性のIPMN症例問題があったので、年齢性別だけで疾患を決め打ちすると痛い目に会います。
【潰瘍性大腸炎とクローン病】
これもよく対比されますが、意外やそこまで出題数は多くありませんでした。けど疾患としては稀ではないので、きっと隠された頻出問題なのではと私はにらんでいます。
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とりあえず消化管は以上です。他の分野もこんな感じで続けていこうと思います。
今までにないくらい知的な内容でしたね。一般の方にとってみればちんぷんかんぷんだと思いますが、認定内科医以外のこれまで通り普通の内容もちょくちょく更新するので、お楽しみに。
誰かの何かに参考になれれば幸いです。