映画熱 -351ページ目

オーシャンズ12

いっぱい出ているわりにというか、出すぎてなのか、今ひとつ盛り上がりに欠けた映画でした。


悪くはないし、つまらなくもないのですが、なんというか、大味という印象は否めないでしょう。


かつて、「セックスと嘘とビデオテープ」でカンヌをブイブイいわせたスティーヴン・ソダーバーグ。同作は俺も衝撃を受けました。淡々と進める独特の演出に舌を巻いたものです。


ところが、「トラフィック」、「オーシャンズ11」と作品群が増える度に、どうも才能を怪しむ雰囲気がでてきちゃって、俺的には、ヌルい監督に区分けされるようになりました。


彼のファンには申し訳ないのですが、俳優同志の自己満足のレベル止まり。見た直後は、面白かったような気がするけど、映画熱が冷めれば、そんなでもないなって感じた人、いるんじゃないかな。


役者の中で問題があるのは、ジュリア・ロバーツ。前作ではもっと歩き方を練習させた方がよかった。気品が感じられないと、マフィアのボスが惚れたりしないって。「プリティ・ウーマン」から早く脱皮しないとね。「エリン・ブロコビッチ」はまんまでいいけど、いつまでも同じキャラばっかりだと飽きられるかも。で、今回はなんと本人役で登場。本人のふりをする偽者なんだけど、結構楽しそうにやってた。これって、監督のいうことを聞かないから苦肉の策で…なんて想像しちゃいます。ちなみに彼女の出ている映画で俺の好きな作品は、「ペリカン文書」です。緊張感のある表情がたまらんかった。いいもの持ってるんだから、磨きましょうよ。


他にもいろいろ問題はあるけど、やっぱりヤバかったのは、クライマックスのネタが、「エントラップメント」と同じだったこと。キャサリン、お前出てたんだから、監督に教えてやれよ!「あれはアタシがやったオチよ。パクリだわ」ってね。


そういうわけで、この映画からは、新しい発見はありませんでした。余談ですが、いっぱい出すぎてストーリーが霞んだ映画というと、「スリーパーズ」なんてのもあったなあ。


 


セルラー

タイトルからして、昔の携帯を思い出すショボいタイトルですが、大丈夫。これは楽しい映画です。小粒ですが、見せ場も充分で、歯切れもいい。笑って、驚いて、スカッとしますよ。


「フォンブース」の逆ヴァージョン的な電話サスペンス・アクション。と思ったら作った人同じでやんの。こっちの方が面白いかもね。出演者は、ジェイソン・ステイサム以外はわりとどうでもいい人ばかりなので、考えなくてもいいです。ストーリーが底抜けに楽しいので、安心して見て下さい。

 

細かいことを書くとヤボなので、こんなもんにしときます。

マシニスト

気合の入ったマニアック映画だと思って、期待して見に行ったら、映画そのものは大したことありませんでした。惜しい題材です。


次のバットマンに主演がきまっているクリスチャン・ベールが、不眠症に悩む主人公を演じるために極度の減量を行い、文字通り骨と皮になって熱演。そりゃまあ、不眠がつづくと痩せるのかもしれないけど、これじゃ、どちらかといえば拒食症のほうが説得力あると思う。


だいいち、映画の中でやたら居眠りしてる。あいつ、絶対どっかでちゃんと寝てるよ。ただ、本人に自覚がないだけ。工場で機械工をしてるということだけど、へんな構造の機械をへんな使い方して、危なっかしいことこの上ない。非常停止ボタンがなんであんな遠いところにあるんだよ!とどかねーだろ。


物語のつじつまが合わなくなってくると、全てが妄想と現実の混乱からうんぬん…ってアホか!それじゃ主人公の努力は関係ないじゃん。いったいどうしろと?居眠りしないでちゃんと仕事しろ、脚本家!


唯一の救いは、お気に入り女優ジェニファー・ジェイソン・リーが出ていたこと。彼女は老けてもきっと魅力的な仕事をすると思う…っておい!老けさせすぎだよ。もう少しきれいに使ってくれよ。メグ・ライアン主演の「イン・ザ・カット」でも娼婦のヤク中だったしなあ。汚い役ばっかり。ちなみに、彼女の魅力全開作品は、「ルームメイト」と「黙秘」です、


結局、この映画の印象は、がんばってやせたんだなあ。これだけです。不眠を扱った映画なら、「インソムニア・オリジナル版」の方が面白いと俺は思います。


では、健全な眠気が来たので、寝ます。おやすみなさい。眠れるってありがたいなあ。

ボーン・スプレマシー

何だかやたら忙しいサスペンス・アクション映画でした。面白い映画と言えるでしょう。


それにしてもマット・デイモンという人は、本当に頭がいいのかも。同期の桜ベン・アフレックは、もう若さを使い果たしてヘロヘロなのに、マットは元気元気。今回も、ハードボイルドな役柄を見事にこなしています。


前作もかなりイケてたのですが、ラストで甘い感じになってしまったので、そりゃねーだろと思っていたら、今回は、オープニングでいきなり見事にリセットされてしまいました。あとは、逃げる、戦う、追い詰める、殺す、調べる、覗く、電話する、クドく、脅す、ぶっこわすといった感じでアクションが続きます。


彼は役作りというものに対して、色々考えているんでしょうね。きっと洞察力も優れていて、きちんと計算して演技しているように感じます。(そのぶん、アドリブは効かないかもしれないけど。)


原作をよく知らないので主人公のイメージはよくわかりませんが、マットはマットでそれなりにいい感じなのでは。彼のストイックなイメージが、この映画にピタッとはまっているようです。器用だけど不器用。強いけど弱点もある。それって、母性本能くすぐり効果?


着実にキャリアを積み重ねていく彼の今後が楽しみですね。

THE JUON / 呪怨

これってやっぱり洋画なんだろうか。日本で撮って、日本人が監督して、出演もほとんどが日本人。でも、主役の二人がアメリカ人。資本もアメリカ。やっぱ洋画か。


清水監督は、相変わらず恐怖演出が笑いと紙一重。TVドラマ「怪奇大家族」でも、お笑いのセンスを証明しています。そんなわけで、笑いどころはやっぱり、伽耶子のシーン。


彼女は、貞子より動きは速く、サマラよりは遅い。しかし瞬間移動を必殺技とし、わざわざ狭いところに入って驚かす。その現れ方が笑えます。


主演の二人は、わざとかどうか知らんが身長がやたら低い。小柄だから日本の家屋に合う。そして結構内気でおとなしい。アメリカ人独特のケバケバしさがない。やっぱりこれ、邦画にしようよ。「ラスト・サムライ」と「キル・ビル」と一緒にさあ。

ヴィタール

おお!これは素晴らしい。新しいジャンルを開拓した、画期的な作品です。


監督は、われらが塚本晋也。相変わらずマニアックな世界を表現しまくっています。今回の題材は、解剖学の美しさといいますか、人間の体と心の奥深いところを、一種変態性も交えながら映像化に成功しています。


主演は、不思議な魅力を持つ浅野忠信。ヒロイン(たぶん)は、モデル出身で今回映画初出演のKIKI(キキ)。彼女の妖しい美しさはかなりヤバイです。前髪をそろえているところなんか、いい感じです。俺はすっかり彼女に魅了されてしまいました。


楽しそうに解剖する浅野君と、嫉妬メラメラのKIKI。いーじゃないですか、そそるじゃないですか。これは、まじめな変態映画として、長く語り継がれることでしょう。


塚本監督って、やっぱ天才ですね。カンヌ映画祭の審査員やるだけのことはある。変態映画撮らせたら世界一!

サスペクト・ゼロ

なかなかサスペンスしてますが、いまひとつ惜しい映画でした。


超能力捜査という、そそる題材なのですが、せっかくベン・キングスレー(ガンジーでオスカー)という大物を起用しているのに、もったいない使い方しているような…。これだったら、「セブン」のケビン・スペイシーのほうが、よっぽど存在感があったような気がします。


サイコ・サスペンスというジャンルも以前ほど新鮮ではないので、ありきたりな展開では、お客さん喜ばないよ。この間見たアンジェリーナ・ジョリーの「テイキング・ライブス」といい勝負かな。


ただ、映像の表現に関しては、いいシーンがいくつかあるし、新しいことに挑戦しようとしている意気込みは感じられるので、それなりに楽しめる作品ではあります。


でも…、主人公が、やっぱ地味かな。

着信アリ2

ぬるい。


たぶんつまらないだろうという確信アリだったのですが、ものの見事に安っぽい仕上がりでした。


ミムラさんは月9ドラマに出て、現在売り出し中なんでしょうが、こんな大根ぶりだと次の仕事がくるかどうか、心配になって来ます。


1作目は、岸谷さんが死体フェチを怪演していて、俺的には楽しめたんですが、今回のはどうもイケてません。盛り上がらないままエンドクレジットになってしまいました。


この映画で怖がれる女子高生がうらやましいなあ。

アレキサンダー

うわー、こりゃダメだ。最低の出来。見ないほうがいいです。


もっとも、コリン・ファレルのアレが見たい人はどうぞ。止めません。


ストーリーは同性愛中心。しかも美しくない。


とどめに、主人公が戦いに弱い。口ばっか。おまけにマザコン。


そして、やたら長い。


極めつけ、監督はオリバー・ストーン。こりゃ製作費回収不可能。


いったい、どうしろと?

火火

田中裕子さんが陶芸家をやる、という内容に興味がわいたので、見に行って来ました。


相変わらず凄みがある。いくつになってもこの人のオーラは不滅です。せつなくつらい題材なのに、明るい話になってしまうのも、彼女のパワーのなせる技でしょうか。


田中さんは、「ザ・レイプ」でしなやかな女性を演じ、その後も着実にキャリアを積み重ねてきましたが、今でも存在感抜群の、日本を代表する女優の一人です。老けてもそれなりにきれいだと思います。


いつまでも応援してあげたいです。