映画 「君と花火と約束と」
弱さを、恥じるなかれ。 ここぞという時に、エンジンがかかればよし。
花火って、いいもんですね。
今どきは、人混みがいっそう暑いだろうけど、大人気なイベント。
涼しい映画館で、物語にしんみりしながら見るのもまた一興かと。
時は現代。舞台は、東京調布市の高校。
主人公は、高校生になりたての男子。
彼は、自分の心に、ある問題を抱えていた。
すると目の前に、謎の女子が現れる。
…ずっと、あなたに会いたかったの!
そして中盤からは、もう一人の謎の女子も登場。
…おめさん、誰らね!?
うわあ、大変だあ。しっかりしろ、少年。
こうして、春から夏にかけての、不思議な体験が始まります。
原作は、真戸香の同名小説。(小学館ガガガ文庫)
監督は、鈴木彗。脚本は、森こうへい。
主演の二人を演じるのは、timeleszの佐藤勝利、原菜乃華。
まあ、うまいとは言えんが、ぎこちないところがまたいいんですな。
彼らの、純粋で真っ直ぐな挑戦を、見守ってあげましょう。
長岡花火を題材とした映画なので、新潟県民として、見ておかねば、と。
花火を見たことがある方には、一見の価値ありかと。
知る人ぞ知る「あの花火」が、作品の重要なポイント。
8月1日に、長岡で何が起きたのか、知っていただけたらと願います。
しかしまあ、何て唐突な、しかも、強引な展開なんでしょう笑
最初はこの映画、大丈夫か、と思いましたが、
見進めて行くと、ほうほう、なるほど、という感じで、
うまく寄り添うと、だんだん、奥に入っていくんですね。
新潟の方言が随所に出てくるのが、何とも楽しい。
ネイティブな新潟弁を表現するのって、なかなか難しいと思うけど、
スタッフや出演者の皆様が、がんばって下さいました。拍手!
(過去作としては、「お兄ちゃんの花火」「nude」も、なかなかの新潟弁でした)
この映画の最大の長所は、尺が短いこと。何と、96分!
これなら、高齢者にも優しく、頻尿の人も安心できる長さでしょう。
しかしまあ、この、ぶっ飛んだ物語を、よくぞこの短時間に仕上げました。
普通だったら、もっと長くなって、説明くさい場面がたくさん挿入され、
グダグダで凡庸なシロモノになったかもしれない。
細かいことを端折ったことで、面白いリズムが生まれました。
伝えたいことは、シンプルに、ストレートに。
これは、俺が今まで生きてきた中で、学んだ教訓。
まわりくどい説明は極力省いて、一番言いたいことを、直球でぶつける。
緊急事態の時は、ダラダラ考えてなんかいられない。
素直に、気持ちのままに、精一杯の誠意をもって、あとは、出たとこ勝負。
弱い自分を、恥じるなかれ。
強がってばかりいるカラッポ野郎とは、精神のデキが違うのだ。
そういう自分としっかり向き合ってこそ、真の強さが発揮できる。
その「勇気スイッチ」を、押してくれる女神たちの声に、耳を傾けよ。
自分が本当にやるべきことは、一体何かを、真っ直ぐに考えるべし。
謎が解き明かされていく度に、心の底から、新しいエネルギーが沸き上がる。
命短し、恋せよ乙女。
少年老いやすく、学成り難し。
伝えたいことに、情熱の火薬を詰め込んで、
今を生きる魂に点火して、打ち上げるのだ。
…青春は、燃焼させてこそ、光輝く!
映画 「仮面ライダーゼッツ さよならのミッション」
過去に囚われてばかりでは、前に進めない。
久々に、仮面ライダーの映画を見に行きました。
やっぱり、カッコええですわ~
日本に生まれた男は、たまには見た方がよろしいかと。
主人公は、無職の青年、万津莫(よろづばく)。演じるのは、今井竜太郎。
彼は、明晰夢を見る能力があり、夢の中で、憧れのスパイ活動をしていた。
現実と夢の中を行ったり来たりして、悪夢怪人ナイトメアと戦う。
他人の夢に潜入、というと、映画「悪夢探偵」を思い出します。
塚本晋也監督で、松田龍平主演。二作目まで作られたっけ。
「うる星やつら2」も、他人の夢を構築する妖怪の物語だった。
悪夢にうなされる“夢主(ゆめぬし)”を探して、根本を解決していく。
仮面ライダーが、夢の中で戦ってくれるなんて、ワクワクしますねえ。
何と言ってもまず、コスチュームがいい。
赤と黒と緑。これは、初代のライダー1号の、基本三原色。
そして、ちゃんとバイクに乗っていること。ここ、大事。
「電王」は電車の中でバイクもどきにまたがってただけだったし、
「響鬼」は、途中からライトバンで移動したりしてた。
やっぱり、仮面ライダーなんだから、バイク乗れよ!と主張したい。
映画でも、冒頭からバイクアクションが展開しますので、お楽しみに。
(HONDAは、いい仕事しますねえ)
面白いのは、変身ベルトが腰でなく、肩掛けタイプであること。
(作品中では、「ゼッツドライバー」という呼称になっています)
これだと、中心部がちょうど胸にくる形になるので、
ウルトラマンのカラータイマーを思い出しちゃうんですわ、俺。
この“カラータイマー”部分のパーツを色々付け替えることで、
変身フォームのスタイルがチェンジするわけですな。ほうほう。
それにしても、登場人物がやたら多いけど、みんな個性的で、魅力的。
俺的には、美村里江が重要な役どころで出演しているのが嬉しい。
キレイで、お色気ありますね~
ヒロインのねむちゃんの母親役が、ミステリアスにハマっております。
ライダー2号的なポジションなのが、ノクス。
莫を嫌って避けているように見えて、実は、仲良くしたいキャラ。
石森ワールド的には、ハカイダーみたいで、こいつも目が離せない。
演じるのは、古川雄輝。ゴールデンカムイに出てた兄ちゃんですね。
そして、怪事課所属の刑事、凸凹男女コンビ。
長身の女刑事に、しょっちゅう蹴られているおっさん刑事が笑えます。
彼の名前は、富士見鉄也(不死身の鉄也)。
このおっさんはグダグダだけど、体が丈夫なので、つい応援したくなっちゃう。
他にも、ストイックな女性エージェント、紅覇(くれは)ちゃんと、
やんちゃキャラのジーク、それから主人公の妹、美波ちゃんもキュート。
そうそう、川平慈英が演じた「あの形態」は、俺的にはザボーガー。
令和ライダーの第7作だそうですが、昭和の匂いが漂う傑作が誕生しました。
夢って、何だろう。
将来の夢は、少年少女の心を育み、構築していく材料になる。
眠っている時に見る夢は、理想だったり、警告だったり。
悪夢は人を苦しめ、現実に戻った時にホッと一息。
いい夢は、覚めないで欲しいし、正夢は、超能力か。
予知夢、白昼夢、明晰夢… 夢の勉強になるなあ。
TV放映では、各話のタイトルが、全部動詞になっているので、
国語の勉強になるし、
主人公の決め台詞が、やたらと英語なので、英語の勉強にもなる。
全部を見終えた子供は、国語と英語に強くなることでしょう、たぶん。
莫は、けっこう、おっちょこちょいである。
人を助けたいという純粋な気持ちが、空回りすることが多い。
何度も失敗して落ち込んで、自分が嫌になってしまうこともあったけど、
少年に励まされたり、同僚や周囲の人たちに支えられて、
何度も転んでは立ち上がり、次第に、強くなっていく。
苦悩を乗り越えて、新しい必殺技を身に付け、
裏切られても騙されても、疎まれても、誠意をもって食い下がる。
自分が信じたことに、行動した結果に責任を持ち、本能で戦う。
もうダメだ、と思っても、次の瞬間には、
やっぱり、このままじゃ、終われない、と強く思う。
何のために?
みんなのため。
愛する者のため。
そして、自分自身のため。
自分の立ち位置を理解し、やるべきことがはっきりした彼は、無敵である。
迷うことなく、自分の道を、突っ走るのみ。
戦え、ライダー。
負けるな、ライダー。
ぼくらの夢を守るために、命をかけて、一緒に戦ってくれる、真のヒーロー。
…男は、いつも心に変身ベルト。 どんな敵にも、ライダーキィィィィィック!
【追記】
エンドロールで、ぬりえコンテストの結果発表が流れます。
応募した方は、お楽しみに!
映画 「スーパーガール」追記
書き忘れたんですが、映画館で見た予告編で、
ブロンディの名曲「コール・ミー」が流れていたんです。
おお、これは「アメリカン・ジゴロ」の冒頭で使用されたアレじゃん!
あまりにも懐かしくてカッコよくて、これは、見にいかねば、と決意。
それが、映画館まで出かけた、大きな理由のひとつでした。
ところが…
本編では、この曲、流れないんです。
あちゃー
と思いましたが、まあ、それはそれで、映画が面白かったので、OKかと。
帰って来てから、あれ、流れたっけ。いや、流れていないよなあ、って。
ネットで予告編を見たら、おお~やっぱり流れてるじゃん。
これはたぶん、予告編だけに使用された楽曲なんでしょう。
そういうことは、よくあります。宣伝用とか、イメージソングとか。
俺としては、本編のクライマックスや、エンドロールで、
歌詞の字幕スーパー付きで流して欲しかったなあ、って。
もしかして、使用料が高かったとか?
途中から思いついて、本編に間に合わなかったとか…?
まあ、何か、大人の事情ってやつなのかも。
う~む、それも含めて、ミステリアスな作品として記憶に残る映画ですね。
あ、そうか、酔った勢いで、そうなっちゃったのかも。
あれれ~ 本編に入れ忘れちゃった、まあ、いいか的な笑
よくも悪くも、俺的に面白かったので、特に文句はありません。
今、車の中で、ブロンディのCDを聴きまくっております。
以上、追記でした。
映画 「死ねばいいのに」
幸せって、何だか…痛々しい。
女の物語が続きます。
これはまた、強烈な一本が登場しました。
何と言うか、すっごい緊張感。
固唾を飲んで見るしかない、ってこういう映画を言うんでしょうね。
原作は、京極夏彦の同名小説。 脚本は、喜安浩平。
監督は、金井純一。 主題歌は、This is LAST。
ある女性が、ビルの屋上で、遺体となって発見された。
自殺なのか、他殺なのか。
彼女の生前の関係者のもとに、ある女が現れる。
死んだ女性のことを聞きたい、と。
ジワジワと、ぐいぐいと、会話の中から闇があらわになっていく…
主演は、奈緒。謎の女を演じています。
共演は、伊藤蒼。死んだ女性として、回顧シーンに登場します。
奈緒の演技が、鬼気迫っていて、なかなかの見どころ。
話す時の音圧が、威圧感が、ハンパねえです。
彼女は、死んだ女性の「知り合い」だと言う。
「知らない」から、「知りたい」のだと言う。
それが、相手をイライラさせていくんですねえ。
まるで、わざと怒らせようとしているかのようです。
誰でも、心の奥に、「闇」を抱えています。
いきなり他人から、心に土足で上がり込まれ、
急所を攻撃されたら、うろたえるでしょう。
こいつ、誰?
彼女との関係は?
自分のことを、どこまで調べている?
油断ならない女が、自分を見透かしているようなことを言う。
こいつの目的は、一体何だ?
こういう話し方をする輩は、実際、いる。
本人は、相手に不快な思いをさせていることに、気づいていない。
でなければ、わざと相手をイラつかせるように、誘導しているのか…
まさに、スリルとサスペンスの、会話劇。
尋問のような、不思議な時間が、延々と流れて行く。
この女の正体は、一体…?
上映時間は、1時間35分。
短いようで、長い、張りつめたひとときを、どうぞお楽しみ下さい。
今まで、何となくこうだ、と思い込んでいたものが、
ある瞬間、無残に崩壊していくことがある。
自分の心を下支えしていたものが、あっという間になくなることがある。
大したことがない、と思っていたものが、重要案件に変わることがある。
信じていたものが、あっさり消滅してしまうことが、たしかに、ある。
そんな時、人は、どうするのか。
自分が思い違いをしていたと気づいた時、どう行動するのか。
会話劇は、人間関係のシミュレーションとして、いい教材になります。
自分にあてはまることがあれば、ここはひとつ、学習してみましょう。
今年は、心をえぐるような映画に、多く出会う。
これもまた、何か、意味があるのでしょう。
今の自分に必要な、心の栄養素を、考える素材を、与えてもらっているのかも。
これは、丸飲みすると、危険かもしれない。
だから、よく咀嚼して、自分の心のエネルギーとして消化させましょう。
俺自身、たぶん、色んな人を、傷つけて生きてきたんだと思う。
それをひとつひとつ検証することは不可能だし、人生が足りない。
せめて、これ以上、誰かをひどい目に遭わせないように、気をつけたい。
幸せの基準って、どこにあるんだろう。
不幸の指標は、どこで決まるんだろう。
金持ちと貧乏の境界線は?
友達が多い少ないのものさしは?
健康と不健康の、細かい違いはどこに?
容姿やスタイル、運動能力、学習能力の差は?
水平線も、地平線も、虹の七色も、
確かにあるんだけど、近寄れば近寄るほど、見えなくなっちゃう。
相手を、わかったつもりになっていても、
実際は、何も理解していないのかもしれない。
自分を、わかってもらったつもりになっていたとしても、
実際は、何も理解してもらえていないのかもしれない。
あなたの目の前にいる友達は、本当に友達ですか?
あなたの目の前にいる恋人は、本当に恋人ですか?
あなたは、あなたが思っているような、あなたですか?
…本当のあなたは、どこにいますか。
映画 「スーパーガール」
やさぐれ感満載。 粋なネエちゃん、大暴れ!
うわははは、これはもう、笑うしかない。
いいねえ~ 酒の匂いが漂ってきそうな、泥酔女ヒーロー。
スーパーガールは、スーパーマンのいとこだそうな。
前作の映画の後半にも、チラっと登場。
本作は、彼女が主演の、ドタバタアクション映画。
冒頭、ベッドで爆睡する主人公カーラ。昨夜も、しこたま飲んだご様子。
愛犬クリプトが走り回り、そこらじゅうを散らかす音で、ようやくお目覚め。
ボサボサ頭を掻きながら起き上がり、ジャンクフードをかっ食らう。
彼女の一日は、こうやってスタート。
夜になり、(たぶん)いつものように酒場で飲んでいると、
真剣な表情をした少女ルーシーが入って来て、『…両親の仇を討ちたい!』と懇願。
面倒くさいなあ、と思いながらも協力することになるが、
愛犬が毒矢で打たれたことで、スイッチオン。
タイムリミットは3日間。それまでに解毒剤を手に入れなくては…
カーラとルーシーは、宇宙の悪党集団に敢然と立ち向かうのであった。
主演は、ミリー・オールコック。オーストラリア出身の26歳。
女の子には失礼かもしれませんが、ポンコツな感じがなかなかよろしい。
お行儀のいいお嬢様女優が演じるよりは、絶対こっちがいい。
スーパーマンが真面目で実直なイメージだからこそ、
このくらい、はみ出した空気感があった方が、バランスがとれるというもの。
全体的にテキトーな展開なんですが、そこがいい。
先述したように、今回は、わんこの活躍がありません。
でも、その分、飼い主カーラが、体を張って戦います。
そして、助けた少女ルーシーが、精神的な支えとなり、
わんこの代わりに、いつしか「相棒」に成長していくんですねえ。
本作は、初登場2位で、「マイケル」の次につけました。
しかしながら、2週目で9位に陥落。アメリカもコケちゃったとか。
日米同時公開が、裏目に出ちゃったかなぁ笑
でも俺は、誰が何と言おうと、この映画、面白いと思うんです。
できればこの路線で、また次回作を作って欲しい。
今度は、本来の相棒、わんこと一緒にバトルしまくりましょう。
酔いどれ天使、カーラ・ゾー・エル。
ロングコートに、サングラス。
ボサボサヘアーは、飛び回った風で自動的にセット。
飲んで暴れてゲロ吐いて、睨んだ野郎に怪光線。
掴んで投げて、ジャンプして、キックだパンチだハリケーン。
酔っ払い上等。泥酔最強。
どうせあたいは、やさぐれヒーロー。
酔った勢いがなけりゃあ、こんなスーツ着られるもんか。
今日も酒瓶引っさげて、女一匹、ガキ大将。
行け行け、ぼくらのスーパーガール。
すーぱーがーるは、ななこSOS。
酔った女の戦い方は、超しつこいぜぇ、ようく見てな。
…かかってこいやあ、ゲフッ。
映画 「口に関するアンケート」
「口」という文字が、だんだん、変なものに見えてくる…
清水崇監督最新作。またしても、変てこな映画撮りましたなぁ。
原作は、背筋の同名小説。「近畿地方のとある場所について」の方ですね。
とある心霊スポットに向かう、男女4人の若者たち。
どうやらそこには、「呪いの木」があるらしい。
果たして彼らの運命は? 無事に帰れるのだろうか?
もう、この時点で、全員死ねばいいのに、とか思ってしまいます笑
そりゃあそうだわな。
冒頭から観客も、情け容赦ナッシングスイッチがオンしまくりでございます。
主演は、木。蝉。クソ野郎どもの若造が数人。以上。
唯一見たことのある板垣李光人は、「陰陽師0」で帝を演じて、
NHK朝ドラ「ばけばけ」で、北川景子の息子を演じておりました。
彼の演技力は置いといて、出演者全員を平等に見ていただきたいと思います。
フジテレビの映画は、いかにもなうさんくささを纏うイメージがあるんですが、
本作は、清水監督の持ち味である、いたずら心がいかんなく発揮されています。
この映画の肝はズバリ、木です。
下手に何が話すとネタバレになってしまうので、俺が言えるのはここまで。
後は、俺の心象風景を書き残しておきます。
口は、災いのもと。昔から、よく言われる言葉。
新約聖書マタイによる福音書では、
「口に入るものは、人を汚すことはない。
かえって、口から出るものが人を汚すのである。
口に入ってくるものは、みな腹の中に入り、そして、外に出て行く。
しかし、口から出て行くものは、心の中から出てくるものであって、
それが人を汚すのである。」とあります。
あんなこと、言わなければよかった。
ああ言えば、よかった。
何か言えば、よかった。
何を言っても、ダメな時はダメなんだけどね。
口って、つくづく、不思議な器官だと思う。
食べる、飲む、という行為の入口であり、
言葉や悲鳴を発する出口であり、
キスや、オーラルセックスなどの、愛の行為を担当する器官でもある。
唇、歯、舌をうまく使いこなし、吐息&唾液で愛の行為を実践する一方、
食物を咀嚼して嚥下して、食道を経由して、消化器官に送り込む。
歯は、噛みつきの武器になり、唾は、相手を侮辱する意思表示として使える。
よだれ、口笛、含み笑い… ううむ、無限の秘密兵器バリエーションが。
恐るべし、口。
目は、口ほどにものを言う。
良薬は、口に苦し。
口が軽い。 口が重い。
口に合う。 合わない。
お口に、チャック。
口止め。
口聞き。
口絵。人口。口口口、ロシアンルーレット。
この~木なんの木、気になる木になる木~
木が、ヤバい。木に、ご注目。
ああ、エンディングの「遊び」も、ヤバい。
エンドロール後の音声も、ヤバい。
何もかも、ヤバい。
アンケートが、一番コワい。
口と木が合体すると、どうなるか。
…困る。 きゃあああああ!
映画 「シラート」
ああ、コワい。 …もう、一歩も前に進めない!
「シラート」とは、「天国と地獄の間にある橋」という意味だそうです。
しかしまあ、スゴい映画が誕生したものですなあ、 強烈~
公開からもうすでに1ヶ月近く経過しているんですが、
やはりどうしても気になって、しれっと見て参りました。
明日で上映が終了らしくて、ギリギリセーフ。
スペイン・フランス合作で、PG12とくれば、ワクワクせずにいられようか。
上映時間は、1時間55分。ちょうどいい。
監督は、スペイン出身のオリベル・ラシェ。
本作が長編4作目だそうで、大注目の、エネルギッシュな44歳。
この映画、カンヌで4冠をはじめ、世界中で受賞の嵐だそうな。
冒頭、野外でスピーカーが組み立てられ、音響機器が設置されていく。
やがて、重厚なリズム音楽が始まると、人々は、思い思いに体を揺らす…
イベントが盛り上がる中、ある親子の姿があった。
父親と、おそらく、小学生くらいの息子。
彼らは、手製のチラシを配りながら、いなくなった家族を探していた。
父親にとっては娘であり、少年にとっては、姉であろうか。
音楽イベント会場を探すくらいだから、音楽好きな女子なのかも。
どうやら、この会場にはいないらしい、とわかった親子は、
次の開催地に行けば会えるかも、という希望をつないで、
スタッフの連中と、行動を共にすることにしたのであった…
音楽を担当するのは、フランス出身の、カンディング・レイ。
独特の、何とも言えないサウンドが、脳髄を刺激してくれます。
音楽を担当するのは、フランス出身のカンディング・レイ。
砂漠の情景で、重低音が流れる映画といえば、
「ダフトパンク・エレクトロマ」を思い出します。
あと、何本かあるけど、ネタバレのヒントになりかねないので、割愛。
父親を演じるのは、セルジ・ロペス。息子は、ブルーノ・ヌニュス・アルホナ。
この2人の演技のバランスが、実にいい。印象に残ります。
両者から想像する娘のイメージが、膨らみますねえ。
そして、二人が出会う、周囲の人間が、個性的で魅力的。
どの人物も、色々あった感が滲み出ていて、味わい深い。
彼らを観察することが、物語を読み解く手がかりになるかと。
最初は誰もが「他人」だけど、色んな出来事を共有することで、
少しずつ、「仲間」になっていくんですね。
人は、さまよい、さまよう。
もがいて、行動して、また、迷う。
人生は、さまよいっぱなし。 迷い道、くねくね。
たまたま、この場所に来て、
たまたま、誰かに出会った。
誰かが近くにいてくれることって、ありがたい。
色んな教訓があるように感じられるけど、世界観は、ハードボイルド。
過酷な環境において、人は、どんな状態になってしまうのか。
ちょっとした偶然が、悪気のない自然現象が、得体のしれない何かが、
戦慄の旋律を纏って、砂漠で、裁く。神も仏もねえものか。
ジブリは、砂漠に吹く、熱い風。
橋はブリッジ。この世とあの世の橋掛け人は、一体誰?
十月十日に生を受け、もめ事、泣き言、勝負事。
さらに加えて、弔い事。
疲れ果てたら、おいでなせえ。
ブリッジを渡れば、ジブリが吹き荒れる。
「たられば」の後悔は、タラのレバーを肴に、吹き流すしかねえ。
天国と出るか、地獄と出るか。
…この一歩を踏み出す足に聞け!
21周年。
おかげさまで、映画熱は、今日で、21周年を迎えました。
この日を迎えられたのも、応援して下さる皆様のおかげです。
今まで、ありがとうございました。
う~ん、しかしまあ、我ながら、よく続くなぁ…感心しますわ。
もう、いつ終わってもおかしくないブログなんですが、
どういうわけか、不思議と続いているんですよねえ、これ。
思えば、飲み友達に勧められて始めたのが、2005年。
個人的な日記を公開して、誰でも自由に読めるようにして、
面白かったら、読者登録して下さい、なんて感じでした。
当時は、フォロワーなんて言葉はなくて、
お互いに記事を読み合って、読者になり合って、
アクセス数を気にしながら、わせわせと書いてましたっけ。
そのうち、広告を入れるとお金になるとか、
こうした方が、アクセス数が稼げるとか、
上手に活用して、生業にした人もいたんでしょうが、
俺個人は、様々な事情もあって、
ただ、好きなことを書ければ、それで充分でした。
怒られこともあったし、たまに、ほめられることもありました。
発売元からコメントをいただいたことが、
今でも最大の賛辞だと思うております、はい。
しかも返信までいただきまして…恐縮でございました。
それから、病魔と闘いながら、最後まで応援して下さった方々にも、
心から御礼申し上げます。まだ、続けていますよ~
あの世からの、見えないエールを、いつも感じております。
探検隊で笑ってくれた人、小説を読んでくれた人、
悪質コメントと戦ってくれた人…みんな、どうしているかなあ。
誰に読まれようが、読まれまいが、書きたいことを、書く。
これが、桑畑スタイル。
未来の自分に向けて、恥ずかしくない文章を、正直に書く。
こういう風に書いて、と言われても、不器用なので、できません。
お金をもらうと、好きなことが自由に書けないから、俺の文章は死にます。
お金をもらわないかわりに、自分の好き勝手にやらせてもらってます。
嫌みなコメントには、正直に反撃。
二度と来ないで下さい、って言ったら、ホントに二度と来なかった笑
もともと文才もないし、業界とのつながりもしがらみもありませんから。
もともと何も持ってないから、失うものもないし、かわいいもんです。
今は、若い時ほど稼げていないので、ビンボー生活ですが、
唯一の趣味である、映画を、できるだけ公開直後に見て、
感じた何かを、新鮮な気持ちのうちに、書き残しておく。
それを続けて、気がついたら、21年経ってました。
色んな人たちとの出会いと別れがあり、
ぐるっぽで盛り上がって、オフ会したことも度々ありましたが、
全ては、よき思い出として、心に刻んでおります。
できるだけ、ネタバレせずに、面白さを表現する。
ずっと同じスタイルなんですが、これがなかなか難しい。
「ネタバレDVD探検隊」みたいな文章も、一時期やりましたが、
昨今では、配信で見られる映画もたくさんあるので、やめました。
ただ、俺個人としては、映画館で見た映画をメインに記事を書いておりますので、
賞味期限が切れないうちに、新鮮な情報を発信させていただいております。
このブログがいつまで続くかはわかりませんが、
仕事ができて、映画代を稼げる限り、
映画館に通える体力がある限り、
続くんじゃないかなぁ。
というか、続けるしかねえだろ。
というわけで、
桑畑五十郎は、来年には六十郎になる予定です。
ずっと読んで下さっている読者様、新しい読者様。
皆様の応援がエネルギーとなり、推進力になります。
だから、ありがとう。
誰からも応援されなくても、たぶん続けますが、
応援してもらっていると思うだけで、元気が湧いてきます。
あちこち、体もガタがきていますが、
まだしばらくは、大丈夫です。
俺が、生きている限り、
映画熱は、続きます。
映画は、習い事であり、
映画館は、人生を学ぶ道場。
迷ったら、悩んだら、行き場がなくなったら、
映画館の座席に、身を沈めてみよう。
そこから、新しい世界が開けるかもしれない。
赤ワインを1本飲み切りました。
ほろほろ良い酔い、飲めば飲むほど、酔っ払う。
今宵も、いい気分になりました。
明日も、がんばって仕事して、映画代を稼ぎます。
重ねて、ありがとう。
こんなグダグダの文章を読んで下さった、心の広い方に、感謝。
桑畑のおっちゃんは、来週も映画館に行きます。
可能な限り、力の限り、通い続けます。
…映画を見ることができる幸福を、かみしめながら。
2026年6月26日 桑畑五十郎(もうすぐ六十郎)
映画 「黒牢城」
わしに付くも、奴に付くも、心して決めい。
黒沢清監督、最新作。
濱口監督とは、「スパイの妻」で共同脚本をした仲なので、
順番としては、ちょうどよろしいかと。
こちらもなかなか長くて、2時間27分でしたが、
3時間16分をクリアした俺なので、問題なかったです。
映画を見るのも、体力が大切でございます。
原作は、米澤穂信の同名小説。
脚本は、黒沢清。
たぶん、原作自体が面白いんだろうけど、黒沢カラーが満載でした。
そうこなくちゃ。これぞ、大物の威厳ってやつ。
時は、天正6年(1578年)。
舞台は、摂津国、有岡城。
主人公は、城主・荒木村重。
彼は、暴君・織田信長に反逆して籠城作戦を決行。
暴君といえば、マイケルの父親が記憶に新しいですが、
俺としても、父親の暴虐に苦しめられた気持ちは痛いほどわかる。
本作では、暴虐の上司ですが、俺も、数々のクソ上司に使えた経験があるので、
心中、お察し致します…ああ、こういう人に仕えたい。
村重を演じるのは、本木雅弘。
俺が初めて映画館で彼を見たのは、五社監督の「226」だったと思う。
根津甚八の弟役だったと記憶しているけど、印象に残りました。
その後、柴田恭兵主演の「べっぴんの町」で、俺的にブレイク。
石井隆監督「GONIN」が決定打となり、彼の演技を見るのが楽しみになりました。
(そうそう、力士として、シコも踏んでましたっけ)
村重は、できれば、人を殺したくない男。
武士たるもの、武力で、剣の力で、世の中を渡っていく身。
信長が、首を斬り落とすのを楽しんでいるかのような印象が残る場面があるが、
これは、人を斬る、という行為に、何も感じていないようにも見える。
この「差」である。
上司と部下は、愛の関係でなければならない。
上司が部下を愛し、その結果として戻ってくる力が、「忠」である。
(ちなみに、親子なら、「孝」になる)
愛がなくて、ただ、力による支配であれば、その場は、しぶしぶ従うであろうが、
長い目で見れば、それは、最終的には、恨みしか残らない。
最初は許容範囲でも、次第にそれは、器以上のキャパオーバーとなり、
いつかは、爆発してしまう。
(自分も含めて、そういう場面に何度も出くわしている身なので)
そうなる前に、緻密で合理的な、行動を起こす。
それをやろうとしているのが、村重という男なのだと、俺は思います。
なるほど、冷静な知略家と言えましょう。
籠城を決め込んだ彼のもとに、黒田官兵衛が訪れます。
演じるのは、菅田将暉。イケメンですねえ~
本木雅弘は、イケオジと言っていいのでしょうか。
官兵衛は、降伏した方がよろしい、と諫めようと試みますが、
そこで村重は、あることを提案するんですね。
それを、官兵衛は拒否。→即刻、捉えられ、牢屋に入れられることに。
この辺の駆け引きからすでに、黒沢カラーが始まっております。
鎖ジャラジャラ、お好きでんなあ、監督。
もう、「復讐シリーズ」「修羅の極道シリーズ」をVHSで見ている世代にとっては、
うわははは! 待ってました! と言わんばかりの大歓声。
もう、間違いなく、黒沢清100%の濃度が感じられます。
ここからの、イケメン×イケオジのバトルが、なかなか面白い。
奇しくも、時を同じくして、城内にて、怪事件が勃発。
おい、イケメン、オヌシなら造作もないであろう、知恵を貸せ。
あはは、この図々しさと抜け目のなさが、黒沢流、駆け引きの妙。
原作小説では、小寺官兵衛(後の黒田官兵衛)となっていたらしい。
なるほど、映画ではもうすでに、
黒沢作品だけに、クロ田官兵衛に仕上がっていたんですねえ。
ああ、見れば見るほど、黒沢ブラックの魔術にかかってしまう。
闇が、闇以上に、濃くて、暗い。真っ暗闇ではございませんか。
漆黒の影が、心の暗黒が、ダークマターが、じわじわと、映画館を侵食していく。
「CURE」「降霊」「回路」「ドッペルゲンガー」「蟲たちの家」…
歴代のホラー演出が、薄気味悪い手法が、暗黒のモノリスたちが、
マヌケなギャグセンスと混在しながら、ミステリーを盛り上げていく。
お、そうだ、黒澤明監督「七人の侍」の主人公は、島田勘兵衛でしたなあ。
クロサワのカンベエは、双方に存在する…ってぇなところで。
本作の、もうひとりの主人公は、官兵衛。
彼の視点でとらえた、スピンオフがあったら、見てみたい。
歴史ってえのは、真実よりも、後の人間が都合のいいように書き換えたシロモノ。
それをわかった上で、読み解くのが、面白いのかも。
青木崇高、江本佑、吉高由里子、ユースケ・サンタマリア、近藤芳正、
荒川良々、オダギリジョー、渋川清彦、渡辺いっけい、河内大和、宮舘涼太。
これだけの豪華キャストが出演していながら、存在感がバラバラ。
キャラ同士の距離感が絶妙なのも、また、黒沢カラーと言えましょう。
手練れで、手強い。強者な兵(ツワモノ)たちが、夢のあと。
さあ、この映画、どんな風に終わるんでしょうか。
キーワードは、「心を読め」だそうです。
読めるかなあ、読めねえだろうなあ。
そんなバカな、と思いながらも、それもあるかも…なんてね。
黒沢監督の懐と守備範囲は、広くて深いのです。
原作はあれど、映画にするなら、自分のカラーを惜しまない。
黒沢映画は、堂に入ってまいりましたなあ。
カンヌでは、是枝監督、黒沢監督、濱口監督、深田監督がエントリーされ、
濱口監督作品が受賞したのは、ご承知の通り。
是枝監督作品と、黒沢監督作品である本作は、その人らしい作品として、面白い。
濱口監督作品は、新鮮さとすがすがしさが、際立っていました。
残るは、深田監督作品ですが、9月頃に公開だそうで、
もし見られるようなら、見てみたいと思うております。
色んな人の話を聞いて、混乱する者もいれば、
理路整然と冷静に読み解き、いち早く正解にたどり着ける者もいる。
使えるかどうかは、主君の力量にかかっていよう。
それはまさに、心を読めるかどうかにかかっているのだ。
人は、人の全てを理解することはできないけれど、
その人の「一部分」を、自分なりに理解することはできる。
決めつけ、ではなく、こうあって欲しいという願望、でもなく、
瞬間的な「直感」で、見抜く力。
即ち、眼力がモノを言うのである。
映画が、全てを語っていると、妄信なさらぬよう、ご注意。
妄信は、盲信となり、猛進して、もう、しんどくなるしかないから。
何事も、ほどほどに。
過ぎたるは、及ばざるが如し。
杉田かおるは、うわばみの如し。
惑わされるなかれ、心眼で、真贋を見極めよ。
忠義を理解できる者こそが、上に立って欲しい。
人の心など、読めなくて、当たり前。
少し読めたなら、及第点。
全部お見通しだと、危険かも。
他者の心など、わからぬ方が幸い、ということが多いのだから。
それでも、わかって欲しい、と思うのが、人情。
わかり過ぎると、かえって、ウザい。
だから、ほどよく、一部だけ、いい感じでわかればよろしい。
そういうことを、教えてくれる映画です。
東福寺、楊谷寺、明石城、大覚寺、万福寺など、国宝級のロケを敢行して撮影。
お城ファン必見。 あと、器がお好きな方も、要チェック。
最後に、モッくんの、あのしゃがれ声は、計算したキャラでしょうか。
「ゴッドファーザー」のマーロン・ブランドのように、印象深い。
彼の繊細な演技で、ますます、ミステリアスなイメージになりました。
怒鳴り過ぎて、枯れたんでしょうか。
もともと、そういう喋り方なんでしょうか。
よく聞き取れないから、人がそばに寄ってくるのでしょうか。
それは、本人と対面した者でなければ、知る由もないでしょう。
殺し殺され、見上げて見下し、呪い呪われ、妬んで妬まれ…
おお、イヤだ。 仏ほっとけ、神構うな。
これでは、いい仕事ができない。
じゃあ、一回全部ぶっ壊して、また作り直せばいい。
イケオジ村重は、何をしようとしているのか。
イケメン官兵衛は、牢につながれて、何を思考していたのか。
彼らのやり取りを、注視しながら、お楽しみ下さい。
本気でやり合う漢たちのまなざしは、限りなく美しい。
黒沢印の、クロサワ城。
黒い城で、白黒つけよ、ゼブラーマン。
…いつの世も、人の心の本質は同じであると思いたい。
映画 「急に具合が悪くなる」
その人に会うために、今までの人生があった。
濱口竜介監督最新作。上映時間はなんと、3時間16分!
おしっこ大丈夫でした~ 膀胱炎治ってよかった~
主演のヴィルジニー・エフィラと、共演の岡本多緒の二人が、
カンヌ映画祭で女優賞をW受賞という快挙も、実に素晴らしい。
舞台は、フランスの介護施設。
主人公は、施設長であるマリー。
彼女は、理想の運営を目指す反面、スタッフとの軋轢に苦悩していた。
ある日、バスと並走して走る謎の青年を見かけたことがきっかけとなり、
自分と同じ名前の真理と出会い、意気投合。
こんなにも話しやすい相手はいなかったし、お互いをもっと知りたくなって、
二人は、夢中で、いつまでも話し続けるのであった…
原作は、宮野真生子・磯野真穂の同名小説。
(宮野さんは哲学者で、磯野さんは、人類学者だそうです)
(タイトルの意味は、映画を見ればすぐにわかりますので、割愛します)
脚本は、濱口監督と、ルディムナ玲亜の共作。
撮影は、アラン・ギシャウア。 音楽は、サミュエル・アンドレイエフ。
スタイルとしては洋画なんですが、日本語がたくさん出て来るので、
ある意味、邦画っぽくもあって、そこが面白い。
マリーを演じたヴィルジニー・エフィラは、 ベルギー出身の49歳。
真理を演じた岡本多緒は、モデル出身の女優、41歳。
二人とも、母国語はもちろん、相手の国の言葉も両方話せるので、
見ていてとても自然で、本当に楽しそう。
まるで、この役を演じるために、お互いの人生があったのではないでしょうか。
まさに、ふたりでワンセット。つがいのような、バランスのいい関係。
カンヌではかつて、「ピアノレッスン」で親子を演じたホリー・ハンターと
アンナ・パキンが、主演女優賞と助演女優賞に輝いた時がありましたが、
まさに本作も、二人の演技の賜物として、W受賞がもたらされたのでしょう。
長塚京三も出演しているんですが、彼もまた、フランス語が堪能。
国籍を超えた、生きている言葉が交わされる、実に面白い映画です。
あと、フランスのドラマ「アストリッドとラファエル」に出ていた
上司のおっさんがいたような気がしたけど、違ったかな?
それにしても、濱口監督の手腕は、すごいとしか言いようがない。
俺は、彼の映画を劇場で見たのは、「寝ても覚めても」「偶然と想像」
「ドライブ・マイ・カー」「悪は存在しない」に続いて5本目ですが、
どの作品も、他に類を見ない、個性的な出来栄えでした。
この御仁は、映画を撮るために生まれてきた、稀有な天才と言えるでしょう。
彼の新作が公開される度に、ワクワクしてしまう自分がいるんですね。
彼の作風は独特で、単に「面白い」という表現では物足りない。
クールでいて、妥協を許さない、絶対的な熱量が、画面から湧き上がってくる。
映画館全体に漂う、魂の産物のような、得体の知れない、何かの塊り。
見ている自分自身も、映画の中に溶け込んでしまうような、
登場人物と一緒に、観客もその世界で呼吸しているような、
不思議な一体感があるように感じられるんですね。
まさに、映画を芸術の域に高めてくれたんじゃないか、って感じるんですね。
3時間16分という時間が、心の動きを丁寧に伝えてくれます。
出会いは、人を変える。
出会うことによって、人は、よりその人らしくなっていき、
出会う前に抱えていたものを、解放させてくれて、
今、現在ここにある幸せなひとときを存分に味わいながら、
これから進む未来へ、自らの力で歩き出すためのエネルギーを育んでくれる。
時間は、あっという間だけど、
その気持ちは、ずっとずっと、残り続ける。
出会えて、よかった。
お互いに、ありがとう、と、自然に言い合える、素敵な関係。
生まれたこと。
生きてきたこと。
懸命に、がんばったこと。
全てのことに、意味があり、
今日この日を迎えるための、準備であった。
してあげたいことが、やりたいこととイコールになり、
相手のためにが、自分のためにとイコールになっていく。
ひとりではできないかもしれないけど、
二人一緒なら、できるかもしれない。やってみたい。
やってみよう。もう、やらずにはいられない。
無意識の行動が、何気ない言動が、誰かの心に届いて、
思いがけない結果をもたらすことが、たしかに、ある。
走る青年を見た瞬間から、何かがきっと、始まっていた。
不思議なめぐりあわせが、変てこな出会いが、
人生の色どりを変え、フットワークを軽くしてくれる。
映画も人も、一期一会。
出会った奇跡を、拾った幸運を、これからの人生に生かしましょう。
世界中で戦争が起きている昨今ですが、
世の中、まだまだ捨てたもんじゃないです。
こういう二人がいて、こういうスタッフがいてくれて、
助けてくれる誰かが加わってくれて…
混沌とした世界で、ごちゃまぜになりながら、
揺らぎながらも、しっかりと軸足立てて、
いい感じの、うねりを生み出していくんですね。
出会いが、世界を、少しずつ、変えていく。
変えられるもんなら、変えましょう。
やれるもんなら、やりましょう。
…よき出会いを、大切に。