U-NOTE Ⅱ 「悪夢妄想殺人シミュレーション」 | 映画熱

U-NOTE Ⅱ 「悪夢妄想殺人シミュレーション」

うつに悩まされると、悪夢をたくさん見ます。

夜中にイヤな汗をかいて、目が覚めた時の、虚脱感…

この病気に苦しんだ人なら、わかってもらえると思います。


以前紹介した本「B型自分の説明書」の中に、

たしか「自分の中で迷子になる」という記述があったと記憶しています。


まさに、その通り。


俺はB型なので、心が暴走すると、妄想が止まりません。

どこまでも突っ走って、何かに激突して、我に返ります。


その能力が、いい方に発揮されれば、発想力になる。

逆に、悪い方に作用すれば、犯罪者になってしまう。


基本、人間は「自分が面白いように」連想していく習性があるので、

正常な思考であれば、常識的な発想の範囲で楽しめます。


しかし、病んだ心は、そうはいかない。



俺は、若い頃から、憎らしい奴がいると、そいつを妄想の中でボコボコにしていました。

実際にはできないから、像増力を駆使して、無意識にデトックスをしていたのです。


その究極が、「悪夢妄想殺人シミュレーション」です。

これは、俺が持っている能力の1つです。

(たぶん、少なくとも長所ではない)



①どうやって、殺すか。

②殺した後、どうするか。

この2つを考えるだけでも、相当な時間と労力を使います。


飲み屋のカウンターで、若者の愚痴を聞く時も、俺は簡単に言います。

『…そいつ、ぶっ殺しちゃうか!』


飲みながら、色んな殺人をシミュレーションをして、盛り上がります。

で、結局は、「死体の後始末が面倒」という理由で、「各自の宿題」になります。


そういう会話をするだけで、心がすっとする場合もあるのです。



今では少し落ち着きましたが、俺はここんところずっと、

親父を殺す妄想ばかりしていました。

あいつがこの世にいる限り、俺の心に平穏はない。

いざとなったら、殺してしまえばいい!


もちろんそれはあくまでも「最後の手段」であって、俺の望むところではありません。



だから、憎悪の塊になった心を浄化するために、この能力を使いました。


夢というのは、押さえ込まれた感情や、願望、欲望がストレートに出ます。

俺は、夢の中で、親父を数十回はブチ殺していると思います。


親父単独を殺したり、家族全員を殺したり、その前に予め離婚しておいたり…

少なくとも、7通りくらいのフォーメーションが出来上がりました。


で、死体を隠蔽するとか、そんな卑怯なことはしない。

現場にいるうちに、自分で110番通報して、自白して自首。

警官が到着するまでに、用意しておいたとっておきのスコッチを飲んで、一服。



刑務所の中で、取調べが終わった後に自殺を図って、止められて、独房入り。

壁に頭をぶつけるので、拘束着なんか着せられたりして。

薬づけにされて、ようやく意識が安定したところで、美人の精神科医が登場。

ボロクソにののしられ、でもその人は、有名な博士だったりして、俺は研究対象に。

調査やテストに協力すれば、ご褒美にタバコがもらえたりして、何となく話す…


ムショ仲間で、親しい友達が何人もできて、シャバに出たら起業しようか、なんて。

時間がいっぱいあるから、読書をたくさんして、自分で本も書いたりして。

格闘技に興味ある奴がいたら、俺の得意技を教えてあげたりして。


「映画熱」というブログは、強制的にやめさせられて、アメーバから消滅。

変わりに、「殺人熱」なんていう連続小説を書いたりして。

それが売れたら、今度は強烈な恋愛小説を書いたりして。

そのモデルとなるのが、美人の精神科医だったりして。

で、恋敵になるのが、国選弁護人だったりして。



俺は、連続シリーズで夢を見る能力もあるので、

ストーリー性のある悪夢を、うまくつなげて、バリエーションを楽しめます。

途中でトイレに起きても、すぐに寝れば続きが見られるコツがあるんですね。



そんなわけで、時間尺で見ると、殺人の場面よりも、ムショの場面の方が長い(笑)

う~む、これでは、せっかくの憎悪のエネルギーが、しぼんでしまう。


でも、一度くらいムショの生活を味わってみたいという願望もあるので、

その時になって慌てないように、今から心の準備をしておこうと思います。

(すでにもう、何の話をしているのかわからなくなってきました)



とにかく、そんな妄想をずーっと続けてきたので、いつしか疲れてしまいました。

親父はすでに、俺の心の中でバリエーション豊かに何十回も殺されています。

だから、実際殺す時になって、どの殺し方がいいか、迷うかもしれない。

このカードは、一生に一度しか切れないので、熟考が必要ですね。



以前、本気で自殺しようとして、遺書を書き始めたことがありました。

しかし、この遺書がなかなか書き終わらず、大学ノート4冊くらいで中断。

遺書が完成しないうちに、死ぬ気が薄れてしまって断念したことがありました。

今思うと、実にパワフルな自殺志願者だなあと思います。


俺は、どうせやるなら本気でやってしまう男なので、常に何事も真剣勝負です。

シミュレーションをして反復練習をしておくと、現場で慌てなくなります。

予想外の事が起きることも想定して、あらゆる可能性を考慮します。


人間の生き死にが絡むことって、そう何度もチャレンジできませんから。




そんな調子で、ずっと心の中で殺戮を繰り広げてきたので、もうヘトヘトです。

人を殺すのも、自分を殺すのも、実際にやるとしんどいんでしょうね。



悩んでばかりでも、苦悩してばかりでも、鬱々としてしまう。


心を病んでいる人は、一見、マイナスエネルギーの塊のようだけど、

実際は、どこかに絶大なプラスエネルギーを秘めているものなんです。


そういう時は、想像力を解放して、心の領域を広げてあげるといい。

思考力の範囲も、理解力の深さも、かなりのレベルまで拡張することが可能だから。



俺は、何もかも失ってホームレスになったら、上野公園あたりを徘徊して、

「話、聞きます。1時間500円」という看板を出して、座り込んでみたい。

500円分の食料やお酒でもOK。

お金のない子供は、肩もみでもしてくれればOK。

ワイドショーが取材に来たりして。

人気が出て、予約制になったりして。

占い師にスカウトされたりして。


で、外国人ヤクザに刺し殺されて、ゲームセット(笑)

殺されて死ぬのもある意味俺の願望の1つなので、それもまたよし。



こんな風に、俺の妄想は、俺という人間が生きている限り、延々と続いていくのです。

困ったもんですね。




で、気がつくと、俺は、妻と娘という家族がいる。

毎日、仕事に行っている。

家に帰って風呂に入り、ビールを飲んでいる。


まだ、実際に誰も殺していないし、一応、社会人として存在が許されている。

ああ、不思議な気分。


俺の心なんて、いつ暴走するかわからない。

俺の命なんて、いつ終わってしまうかわからない。

誰にもわからないし、俺にもわからない。


その時が来たら、粛々と行動するのみ。

まだ、その時ではない、というだけ。



今、という確かな時間。

過去、という過ぎ去った時間。

明日、という未知の時間。


どこを、大切にするか。

どの部分に、重きを置くか。



自分の頭で、考えてみるといい。

自分の感覚で、味わってみるといい。



それをおろそかにしていると、時間だけがどんどん過ぎていくだけ。


俺には、お金も地位もないけど、時間と想像力だけはある。

自分の時間を、大切に。

自分の感じ方を、忘れずに。



感性があってこその、想像力。

想像力があってこその、妄想力。



夢と願望あふれる、憎悪と怨念がほとばしる、官能的な男のロマン。


…さあ、自分だけの「悪夢妄想殺人シミュレーション」に浸ってみよう!




(酔いがまわってきたので、今夜はこれにて終了。おやすみなさい)