TOKYO! | 映画熱

TOKYO!

これは、とても刺激的な映画です。 …日本という国って、とってもミステリアス。


日本を舞台にして、日本の役者を使って、3人の外国人が監督したオムニバス映画。監督は、フランスのミシェル・ゴンドリーとレオス・カラックス、韓国のポン・ジュノ。すげえマニアックな面子ですな。エンディングテーマは、あのYMOが担当。(現在は、HASYMO)


出演は、藤谷文子、加瀬亮、伊藤歩、大森南朋、妻夫木聡、でんでん、ドゥニ・ラヴァン、ジャン・フランソワ・バルメール、北見敏之、石橋蓮司、嶋田久作、香川照之、蒼井優、竹中直人、荒川良々、松重豊…っておいおい、何だこの豪華キャストは?予備知識ほとんどなしで見に行ってびっくり。


さて、映画ですが、実験的で前衛的なウルトラ視点が爆笑でした。すげえ、こんな映画が作れるってすごい。素直に感動しちゃいます。ただし、一般的にはウケないと思うので、マニアックなプロの観客にオススメです。これは、見た後に語りたくなる映画だ!


第1話は、女性の体に “異常” が起こる物語。普通の話かと思いきや、中盤からスリリングな展開になります。その見せ方がうまい。思わずキム・ギドクの映画かと思いましたが、全体的にアートがキレイなので、やっぱりフランスだなあって思います。彼の作品を見たのは初ですが、面白いと思いました。


第2話は、地底怪人の物語。謎のおっさんが、東京で大暴れ。どこまでがギャグなのか境界線がわからないところが面白い。どうなるか結末が全く読めないので、唖然としたまま見続けるしかありません。「ポンヌフの恋人」 の巨匠ですが、以外と寡作なんですね。5本目がこの映画でいいんでしょうか。うーむ、フランス人って面白いなあ。


第3話は、ひきこもり男の物語。11年間引きこもっていた男が、ある領域に目覚めてしまう。ピザの配達人を、蒼井優ちゃんが好演。彼女はやっぱり、主役よりもこういうポジションが映える。彼女のフトモモがポイントになるので、フトモモ星人のみなさんはお見逃しなく。混乱をテーマにした映画が得意のポン監督が、シュールな映像を見せてくれます。「グエムル」 のことは忘れてあげましょう。


本作にもし日本人監督を参加させるとしたら、故・実相時昭雄監督だと思います。一番近い位置にいるのは、たぶん塚本晋也か黒沢清かと。そのくらいグレードが高い作品だと思う。遊び心満載な世界中の巨匠のみなさん、東京で映画を撮って下さい。面白いッスよ、TOKYO!


この映画は、余計な知識を入れずに見た方がいい。だから、紹介文も最小限ししておきます。気になった人は、迷わず劇場に直行せよ。 …怪奇と幻想の世界を覗いてみる勇気はあるか?




【鑑賞メモ】

鑑賞日:11月29日 劇場:ワーナーマイカル新潟 19:25の回 観客:3人

全員、男の1人客でした。みなさん、お好きでんなあ。


【上映時間とワンポイント】

1時間50分。オープニングは、CGによる東京が映ります。看板がけっこう笑えますのでよくご覧下さい。


【オススメ類似作品】


「ミステリー・トレイン」 (1989年アメリカ)

監督・脚本:ジム・ジャームッシュ、出演:工藤夕貴、永瀬正敏。ホテルを舞台にした、3話構成のオムニバス映画。第1話に、日本人のこの2人が出演しています。オバQみたいな口紅でヘタレる姿が印象的な、シュールな作品。


「ナイト・オン・ザ・プラネット」 (1991年アメリカ)

同じくジム・ジャームッシュ監督のオムニバス映画。こちらは、世界各国のタクシードライバーが体験する5つの物語。イタリア人運転手に扮した、ロベルト・ベニーニの下ネタトークが爆笑でした。