プラネット・テラー in グラインドハウス | 映画熱

プラネット・テラー in グラインドハウス

バケモンに勝つには、こっちもバケモンになるしかない! 人間をナメんなよ、チンピラ怪物!


先日ご紹介した 「デス・プルーフ」 の片割れです。おんなじテイストですが、こっちの方が面白かった。ダニー・トレホ主演のヘンな “予告編” の後に、本編が始まります。


監督・脚本・撮影・編集・音楽は、ロバート・ロドリゲス。最近は 「スパイ・キッズ」 などおとなしい映画が多かったので少し不安だったんですが、今回はやってくれました。やっぱりあんたは、イカレた映画を撮った方がいい。


出演は、ローズ・マッゴーワン、フレディ・ロドリゲス、ジョシュ・ブローリン、マーリー・シェルトン、マイケル・ビーン、ジェフ・フェイヒー、ナヴィーン・アンドリュース、ダニー・トレホ、そして、ブルース・ウィリス。ある意味豪華。


さて、映画ですが、ぶっ飛んだ作品に仕上がりました。ここまでムチャクチャだと、かえって気持ちがいい。彼の作風をご存知の方には超オススメ。知らない人は、覚悟して見て下さい。気分が悪くなったら、速やかに退場しましょう。この映画、耐えられる人とそうでない人に分かれると思うから。


アメリカのテキサス州にある米軍基地でゴタゴタがあり、生物化学兵器ガスが飛散。付近の住民が次々と感染。怪物となって人々を襲い始めた!撃っても撃っても襲い掛かってくる奴らに、打つ手はあるのか?


この映画を平たく言うと、たぶん “ゾンビ映画” ということになるんだろうな。でも、死人じゃないからねえ。感染して強暴になっているだけなんだけど、本家のゾンビだって、謎の宇宙線がどうのこうのっていいかげんな設定だったんだから、この際細かいことは破棄しましょう。というか、どうでもいい。


そもそもこいつら、人を食うわけじゃなさそう。ただ、人間を引きちぎって遊んでいるみたい。腹が減ってないんだったら、むやみに殺生するんじゃねえと言いたい。しかも、死人じゃないから、撃ち殺すのもためらってしまいそう。でも、出演者のみなさんは、ためらいなく撃ってます。いいねえ、サッパリしていて。


日本人の感覚だったら、ためらっているうちにきっと殺されちゃうでしょう。人里に下りてきた熊が射殺されたニュースを聞いて、『他に方法はなかったのか』 なんていうくらいだもんね。自分の家族が襲われたら、絶対撃ち殺すくせに。 …というわけで、この映画のテーマは “臨機応変” ということかな。


相手が人間なら、人権うんぬんも言えるだろうけど、今にも自分が殺される時に、悠長にそんなお題目唱えていられるか!遠慮なくブチ殺せ!後悔は生き残ってからにしろ。


映画が始まった時は、おぞましいシーンの連続に嫌悪感を覚えるかもしれない。でも、話が進むにつれて、それはどうでもよくなっていく。そこがこの映画の面白いところ。どうぞ、好きな登場人物に感情移入して、好きなだけ殺戮を楽しんで下さい。現実で発散できないストレスを、この映画で解消すべし。


それにしても、ロドリゲス監督の感性はすごい。人間誰しも、こういうダークな部分がある。そういうものに対しての、映画の役割というものを、彼はちゃんと理解しているんでしょう。イキのいいクリエイターだと思います。


それにしても、義足マシンガンのアイデアはスゴかった。どうやって引き金を引いているんだろうとか、銃身が熱くならないんだろうかとか、余計な詮索はなし。こんなブッ飛んだ映画、なかなか見れないですよ。


死ぬか生きるかという状況にあっては、モラルも常識もない。ただ、己の生きる本能のみ。考えるヒマなんかない。迷うよりも、先に行動すべし。出来ることを精一杯やる。それしかない。


男性のみなさんは、映画を見た後で、自分のキ○タマがちゃんとあるかどうか確認してね。 …念のため。



【鑑賞メモ】

鑑賞日:9月26日 劇場:ワーナーマイカル新潟 19:20の回 観客:約8人

1人で来ている女性が多かったのが印象的でした。レディースデイだしね。


【エンドクレジット】

最後にオマケ映像があるようだけど、どうでもいいような気がするので、すぐに帰っても大丈夫です。


【オススメ類似作品】


「マウス・オブ・マッドネス」 (1994年アメリカ)

ジョン・カーペンター監督、サム・ニール主演。街がまるごと襲ってくる不条理ホラー。開き直った主人公が突き進む後半は痛快でした。この映画が見たくて、わざわざ新幹線に乗って東京まで行き、新宿ジョイシネマで見た俺も、なかなかのツワモノかもね。


「ボディ・スナッチャー/恐怖の街」 (1956年アメリカ)

ドン・シーゲル監督、ジャック・フィニー原作、ケヴィン・マッカーシー主演。隣人が次々と、異質なものと入れ替わっていく恐怖を描いたSF映画の傑作。人が信じられなくなる不安が、本作と通じています。


「感染」 (2004年TBS)

落合正幸監督・脚本、佐藤浩市主演。病院内で起こる、未知の病原体の恐怖を描いたホラー映画。経営危機、医療事故、過労、睡眠不足…あらゆるイライラが、感染を暴走させ、加速する。中盤からは、すっかりギャグになってしまい、爆笑の連続でした。注射器を振りかぶって打つ星野真里がイケてました。