⑯海部川、鮎釣り昼休みポイント、川原
川原に並んで腰を下ろしている裕子と空。お弁当をたべながら談笑している。
空 「いやもうまさか、あの、今の「時の人」に遭うなんてビックリしましたよ、まぢで。」
裕子「え?誰のこと?」
空 「あ、裕子さんYとか、やってないですもんねえ。これこれ!」
スマホのYの画面をだして、裕子に見せようとスマホ画面をスクロールする空。
空「・・・あれえ~っ❔おかしいなあ・・・あんなにバズってたのに、そんなはずは・・・」
裕子「どんな奴だったの?」
空 「コロナが流行った年くらいからだったかなあ、川原で女性アングラーに片っ端から声かけて
めちゃくちゃ親切にして、てなづけては今度は自分に尽くすように仕向けて支配してくる詐欺師、
フィッシングロマンス詐欺師の噂、きいたことないですか?
それがこないだ、正にその瞬間映像が誰かの手で盗撮拡散されてたんですよ!
で、なんとその時、風がふいてその人の帽子に掛け針がひっかかって
ズラと一緒に舞ったところだったんですよ!すっごいスクープ!
…いったい誰が投稿したのか謎なんですけどね。
もうそのアカウント消されてて・・・そういえばこの川と似てたような・・・」
裕子「(驚いてむせる)ええっ!そんなこと、・・・ほんまにあったの?」
空 「・・・はい、確かに見たんですけどねえ~、おかしいなあ~、やっぱり消えちゃってる。」
裕子「わ、わたしも、見たかったわあ~、あは、あははは(ぎこちない笑い)」
空 「さ~て、午後の部、再開しますか!今度は場所、ちょっと交代してみませんか?」
裕子「そやねえ、ちょっと慣れたし、私も違うとこやってみたくなったわ!」
手早く片付けて、それぞれの鮎釣りポイントに向かって歩き出すふたり。
川のせせらぎだけが聞こえる川原。青い空に白い雲、遠くに緑の山々、
ぽつぽつと見える鮎釣り師の姿。

