今日生徒さんから、とても嬉しいお手紙をいただきました。
美しいレターセットに、丁寧な綺麗な字で書いてくれています。
その小学一年生の生徒さんは、今回が初めての発表会でした。
ソロを二曲、しっかり暗譜で弾いた後、親子三人で連弾も弾いてくれました。
そして、お兄さん、お姉さん達の演奏を最後まで聴き、弾いてみたい憧れの曲を見つけたとは、素晴らしいです。
さて、お父様はとても緊張なさったようですね。
もう、"次からは出たくない" とおっしゃっているそうです。
真面目でキチンとされているお父さんほど、何故かとても緊張される場合が多いようです。
その点、お母さん方の方がもっと余裕があるようですね。
"女は強し" でしょうか。
この手紙を読んだ後、私の高校時代からの親友の話を思い出しました。
彼女もピアノを教えています。
彼女の教室の発表会で、小学生だった娘さんと、おじい様が連弾することになりました。
元々クラシック音楽がとてもお好きなおじい様は、ピアノの経験はなかったのですが、本番に向けて猛練習をされました。
そして本番、おじい様が先に4小節ほど弾いた後で娘さんが入る、という曲だったのですが、おじい様が、緊張の余り、又は練習を積み過ぎたせいなのか、猛スピードで弾き始めました。
普段のテンポの2倍速?いえ5倍速以上でしょうか。
さあ、困ったのは娘さんです。あまりに速すぎて、入いるタイミングが分かりません。
何度かやり直し、一体どうなるのか?と客席の皆んなが固唾を飲む中、やっと少し落ち着いたテンポで弾けるようになり、娘さんも入ることが出来、無事二人の連弾を終えたのです。
その後時は流れ、そのおじい様の一周忌で、娘さんが編集したおじい様の想い出の動画が流れたそうです。
その中には、あの発表会の一コマが入っていました。
それを観た皆さんの胸の中には、真面目で誠実で、音楽をこよなく愛するおじい様の姿が、温かく蘇ったことでしょう。
今日の生徒さんからの可愛らしい手紙で、発表会の疲れが吹き飛びました。
そして、家族で音楽を楽しむ時、そこには、娘や息子や孫への愛が詰まっていることに、改めて気づくことができたのでした。