※この書き物は私の独り善がりの妄想話であり、フィクションです。登場する個人・団体名はすべて架空のものです。どうぞご了承下さい。
あいちゃん、二日前に続いて今日も来てくれた。19時過ぎ、車内での昼寝から目を覚まして、シャオミのタブレットで記事、「あいちゃんがかわいくて」を書いていたら、まだ明るい視界の中にあいちゃんが。
「猫G!」
ドアを開けて、「おうあいちゃん!」
俺はハンドルテーブルに座布団を立て掛けて置いていたシャオミのタブレットを片付けて、「どこまでか?」
「サンリブまで連れてって」
「誰かと待ち合わせしとんか?」
「うん」
あいちゃん、慣れた手つきで上げていたフロントワイパーをパンと落として、後部座席に乗り込んで来た。
運転席の俺は、「あいちゃんが来て乗りやすいようにって整理しよったぞ」
「今日は学校行ったんか?」
「行ったよ」とあいちゃん。
「朝からか?」
「朝から行ったよ」
エンジンを掛けた俺は一旦車を降りる。小便をあいちゃんから見えない家の裏で飛ばすためだ。そう言えば昔は二時間に一回、煙草をふかしていたが、今は嫌煙家なので、三時間に一回の小便だ。あまり出なかった。
住宅街の路地に車を出す。俺は話を切り出した。
「俺、ユーチューブで中三女子から脅迫されたわ」
あいちゃん、「えっ!猫Gが」
「5月6日にチャチャタウンでめいどりーみんのライブがあったんじゃ。めいどりーみん、女子にめっちゃ人気があってよぉ。その中三女子も二人で来とって、俺の右横に座っとったんじゃ。そいつら熱狂的なめいどりーみんのファンのごたって俺の横でめっちゃ大声でコールしやがるんじゃ。俺の目的はユーチューブに上げるための動画撮影やったんやが楽曲が聞えんくらいの大声やったもんな。別に嫌じゃなかったんやが。俺、物書きやげんリアルにユーチューブの説明文にその中三女子のこと書いとったら、本人やろう、その説明文見てムカついて、二日前に、『コメント失礼します。 いきなりで申し訳ないのですが、この動画を削除して貰えないでしょうか。大変失礼な事をお願いしているのですが、概要欄にある、中三の女の子のお話。すごく不愉快です。今すぐにでも削除をお願い致します。 削除して貰えなかった場合、こちらにも手段はあります』げな。さすがに俺も気分悪かったわ。中三女子から脅迫てろ受けたらよぉ」
「手段ってヤンキーの友達使って脅すとかか?」と、俺は笑う。
あいちゃん、「手段って中三にしては穏やかじゃないよね」
「知り合い使って俺のユーチューブチャンネル荒らすとか。まぁ中学生やけん法的な手段じゃねぇやろうけどよ。俺は悪く書いたつもりはねぇんじゃ。ただ妄想も加えてリアルに描いただけなんやが。名誉棄損には該当せんわ。まぁ気分悪うしたんならと説明文は全て削除はしてやったが。動画まで削除する義理はねぇわ」
車は田園地帯を抜けてナフコの前の道に入っていた。
「あいちゃん今度めいどりーみんはチャチャタウンでライブやるとき一緒に行こうや。その中三女子も来るやろうけん。もしかしたらあいちゃん友達になれるかもよ」と笑う俺に、あいちゃん、「そんなキモい子とは友達にはなりたくな~い」
「あいちゃんの友達にはキモい子居らんのか?」
「いるけど相手してないも~ん」
「何でその子が中三ってわかったかっていうたら、その子めいどりーみんのファンの間では結構名が知れてるごたって話しとるン聞いたら受験生って言いよったんや。高三には見えんやったけん中三やろ。コメントのアイコン見たら、あいちゃんのごと自分の画像加工しとったけん中学生くらいなんは間違いねぇわ」
車はスバルの四つ角を左折してサンリブの方に。
「俺もう王将には行けんわ。値上げが凄い。今までは餃子と麻婆豆腐と炒飯とライスの中頼んで1500円で収まってたんやが今回の値上げで一品50円ずつ高うなっとるけんな」
「で今日会うんは男友達か女友達か?」
あいちゃん、「女友達だよ」
サンリブのタクシー乗場の前であいちゃんを降ろして、「ならまた来いよ」