※この書き物は私の独り善がりの妄想話であり、フィクションです。登場する個人・団体名はすべて架空のものです。どうぞご了承下さい。
俺の趣味は物書きだ。酒も煙草もゴルフも釣りもやらない。はっきり言って、日中はほとんど車の中に居る。家に入るのは、夕方7時過ぎくらいだそんな俺が、あさ7時、家を出るときに車の中に持ち込むものは、スマホが三台とタブレットが二台。スマホは、2019年に買ったXperia1と2022年に買ったXperia5マークⅡと2023年に買ったXperia5マークⅢ。タブレットはiPad AIR2と3月の末に息子が買ったXiaomi Redmi pad SE。
どうして俺が、息子のダブルを持ち歩いているかというと、Xiaomi Redmi Pad SEを息子が買って、余ったiPadを俺にくれた。バッテリーさえ替えれば大丈夫だと思って、大枚14000円も叩いて(息子が金を出した。一応は息子のiPadだったので)交換したのに、1時間も使ったら、電池の残量が半分になってしまう。
息子、せっかく買ったものの、仕事もあって、ほとんど使わないので、俺がこのXiaomi のタブレット、ありがたく使わせてもらっている。
正直、この格安中華タブレットにはカルチャーショックを受けてしまった。たった21800円なのに、このスペックは信じられない。もうそろそろ1ヶ月になるが不具合なんか全くない。はっきり断言出来る。もうmade in japanの出る幕はない。中国には敵わない。習近平権威主義でも、政治批判さえしなければ、基本的自由だから、あの国は。
今、俺がやっていることは、縦置きしたタブレットに両手の親指で文字を打ち込む練習。これ、アメリカドラマの中のキャラクターが、横にして持ったスマホに両親指で素早く文字を打ち込んでいた。あの真似ができればと願う俺だ。スマホはアルファベットが小さ過ぎるが、タブレットなら大丈夫だろう。
このところ、この住宅街、子供が一気に増えた感じだ。俺の家の前を通る住宅街の路地、先を右に曲がったところに、リノベーションして売り出していた家があって、そこに引っ越して来た子供たちだ。俺の家の斜め後ろの建て売りのアイフルホームにまん中の家の、三人の子供とよく遊んでいる。俺の家の駐車場を、きゃっきゃっ燥ぎながら横切り捲る。
思い起こせば、息子がまだ小学生だった頃もこんな感じで賑やかだった。車の中から眺めながら、無性に懐かしくなる。
…猫G〜…
おう!遥かなる山の呼び声か?
二週間ぷりのあいちゃんの来訪がめっちゃ嬉しかったから、戯れ言を言ってみただけだ。
あいちゃんの俺を呼ぶ、「猫G」の声を聞くと、俺の頬は自然と緩む。
実は、8日、あいちゃんのママと立ち話して、考えさせられた。あいちゃんがそこまでグレていたなら、もう車に乗せてやるのはヤバいかなと。こんなときのために俺は、あいちゃんとラインナップ交換もしてないし、電話番号も教えてないし、勿論、あいちゃんの電話番号も知らない。もし何か疑われた場合は惚けられるように。
でも、ダメだ。あいちゃんの「猫G」の声を聞いてしまうと、俺はメロメロになってしまう。
いつものことく、パンパンと軽快な音をたてて、俺が上げていたワイパーを下ろして後部座席に乗り込んできたあいちゃんに、「どこまでか?」
「葛原小学校の近くのローソンまで」とあいちゃん。
「おう、葛原のローソン、さっきまで嫁と二人でコーヒータイムしよったわ」
『なんやあいちゃん、小学生のときは毎日歩きよったんやろ。そんくらい歩いて行けばええんじゃね』と喉まで出なかった言葉を、俺は飲み込んだ。
そんな近い距離なのに、わざわざやって来て送ってくれなんて、あいちゃんが俺に気を使ってくれてのことだ。
『2週間もあいかの顔見てないから猫G淋しがってるやろうな』と。