最後に保険を使った事故を起こしたのは、まだ現役のときの2016年か2017年?いや違う。このとき俺が乗っていた準社用車(セールスマンの私用車ではあるが、新型車のテモにも使うため、準社用車と定義する。月に1月万円の車両手当が出る)はB11WのEKワゴン。発表発売は2013年金6月。俺はこの新型車をお客に素早く売り込むために即行で購入した。それから約三年ちょっと乗った。車検も受けて、2016年10月、息子が買ったミラージュの下取りに出して、俺は息子か乗っていたハスラーを準社用車にした。ということは2017年はあり得ない。2016年だな。


 その日、おれは長行のセブンイレブンの駐車場に車を停めて、ここで買った昼飯を食っていた。食い終わって、さぁ出るかとバックすると、ゴンと何かに当たった。

『あれっ?駐車場には何もない筈やが』と降りて確かめると、バイクが倒れていた。倒れたからにはいたるところに傷が付いている。

『あっちゃ〜、こいつバカか!何で俺の後ろにつけやがるんじゃ。せっかくの昼めし気分が台無しじゃ』

『このままバックレるか?誰にも見られていない。正直に名乗り出ても数万は払わないと済まないだろう』と、一度車に乗って出発仕掛けたが、『待てよ。コンビニには全ての角度をカバーして監視カメラが仕掛けてある。もし、このバイクのオーナーが警察に当て逃げで届けて映像の開示を求められたら一発で俺だと分かってしまう。りっぱな犯罪だ。逃げたら確信犯だ。会社にバレでもしたら一端の社会人があてにげ!恥だけでは済まない。後ろ指を指され続けるのに耐えられるか。いい歳をしたベテランか。まぁ一応、当たったことに気付かなかったしらを通すかもしれないが、白々しい』


 俺は考え直してセブンの駐車枠に車を入れ直した。持ち主を探すためにセブンの店内に入った俺は、直ぐそれらしき若い男を目に留めた。

「表の原チャリあんたのやない?」と、外に連れました俺は、「車の後ろに停められとったけん見えんで(クソが!何でわざわざ俺の死角に停めとんか嫌がらせか?)倒してしもうたんよ。この場で現金払う件解決出来んかいな?」と、カマを掛けてみたが、乗ってこなかった。

 そいつ、「今は決め兼ねます。明日バイク屋に持って行きますので」

『あっちゃ〜終わったな。こりゃ間違いなく10万こーすやな。保険使うしかねぇか』と、俺はそいつの電話番号を訊いて、東京海上に電話して、事故報告をやった。後日、東海から連絡があった。想定通り、11万円だった。


 保険制度、数年前に大幅な変更を受けた。それまでは保険事故を起こすと三等級タウンで、例えば事故を起こす前、20等級だったとすると、17等級に落ちる。で、来年度からいくら高くなるかというと、17等級の割引率が55%だから、5%しか高くならなかった。だがらみんな、しょうもない事故でも気軽に保険を使っていたが、改正で、そういうことが出来なくなった。どういうことかというと、一度使うと、三等級ダウンした上に、事故を起こしてない17等級の割引率の2割増しの事故あり等級が設定された。これが何と、三年間も適用される。

 これまで保険料を年間2万円払っていたとすると、一回事故を起こすと、三年で約3万円ほど余計に払わねばならなくなった。続けて二度目の事故を起こすと、6年、事故あり等級が続くという、何ともまぁ厳しい制度になってしまった。これでは余程のことがない限り、保険など使えない。

 実は俺、この時点で事故あり等級だったので、残り年数ブラス、あと三年引きずることになってしまって、ダブルショックだった。翌年、俺はこの糞会社を辞めて、東海からソニー損保に乗り換えたが、事故あり等級は引きずったままだった。


 10年在籍したNBの八幡東店から北九州支店に戻って来たのは、俺が54歳のときの4月だから、2013年。この前後で俺は三度、保険事故を起こしている。まずはまだ八幡東店に居た2012年の12月24日の俺の誕生日の追突事故。北九州空港支店転勤後の2013年4月の追突事故と、もう一つ追加で、これ、何で止まれなかったのか、もしかして老化?と自己嫌悪に陥った追突事故。

 何とか離合出来るほどの狭い路地を、爺さんの運転する車の後ろに付いて走っていた。爺さん、右折するかなと思ったら、前から対向車が来て、曲がり切る前に止まりやがった。避けきれなかった俺は、敢え無く追突。何とか人身事故だけは勘弁して貰いたかった俺は、菓子折り持参で爺さんに誤りに行って、物損事故で終わらせた。