※この書き物は私の独り善がりの妄想話であり、フィクションです。登場する個人・団体名はすべて架空のものです。どうぞご了承下さい。
重住辺り、北九州総合病院を左に見ながら直進後、突き当りの黒住町のT字路を右折して黒原の五差路を左に曲がり、足原26号線に入るつもりだ。このルート、県道264号線、通称霧ヶ丘バイパスを迂回した格好になる。
まだ黒住町の手前、マルショクの三叉路を右折してあいちゃん、「猫Gは夜布団何枚掛けて寝てる?」
「俺は布団二枚に毛布二枚やな」と俺。
「あいかは布団一枚と毛布一枚」
「あいちゃんそれ寒くないか。ちゅうよりそれで寝れるっていうこたぁあいちゃんのアパート密閉性が高うて保温性がええんやろ。俺の家は正直耐えられんごと寒いぞ。さすがに隙間風が入ることはねぇが台所に貯まった水凍るけんな」
あいちゃん、「えっほんとに!そんなに寒いの?外に居んのと変わらんじゃん」
「おう、寒うて堪らんときは家族三人コタツに丸まってピクッとも動かんけんな」
「あいちゃんのアパート六畳二間で居間にはエアコンあるって言いよったよな。ドア開けとったらあったかい空気入ってくるんやねぇんか?」
「間に廊下があるけん難しいよ」とあいちゃん。
「俺もついこの前まではストーブ二つ使いよったんやが金が掛かるけん止めてコタツにしたんや。エアコンの暖房と違って電気代ほとんど掛からんけんな」
あいちゃんくすっと笑って、「猫Gの言うついこの前って何年前?」
「え〜と俺が仕事辞める前やったけん8年前くらいかいな」
「8年前でついこの前ならあいかが猫Gと知り合った二年前は昨日?」と上手く返してくるあいちゃん。
「確かに65年も生きた俺のようなジジイには二年前なんて昨日のことやな。俺とあいちゃんは時間の重みが違うんじゃ。65年分の1と14年分の1やったらあいちゃんの数値の方が絶対的に大きいわ。あいちゃんの中学三年間ってめっちゃ長いやろ。あと一年残っとるし。ばって俺の記憶の中にある中学三年ってあっと言う間やったで」
あいちゃん、「うん。猫Gの言うこと分かるぅ」
あいちゃん、「あいかねぇ24日が誕生日やったやろ。生まれたてのは平日で時間はお昼の3時だったんだよ」
「おうあいちゃんは病院の先生に優しいなぁ。平日な上にお昼休みが終わった3時たぁな。ほんと思いやりのある赤ちゃんやったんやな」との俺の賛辞にあいちゃん、「しぶ(あいちゃんの兄貴)は夜中の3時だよぉ」
俺は、「あっちゃ〜あいちゃんとは大違いやなぁ。真夜中たぁ病院には辛いよなぁ」と笑う。
そうこう話している間に、足原2号線に入った。
俺は左手を指して、「この前あいちゃん降ろして適当に走ったらこの辺りに出て来たわ」
俺、この辺りで何か受ける話をしたらしい。あいちゃんがきゃっきゃっ言って喜んでくれたが、内容は忘れてしまった。人間ボイスレコーダーを気取る俺でも忘れることはある。そこまで詳細には記憶できない。まぁスマホの録音機能でもオンにしていれば正確に書き起こせるんだろうが、俺の意に反するので絶対にやらない、
砂津ー上富野1号線に左折して入って、「確か福教大付属中学の校舎の角左やったな」
あいちゃん、「そうだよ」
トンネルを潜ってあいちゃん、「そこを左」
「ここが彼氏の家ぇ」
「猫Gありがとう」
俺は、「おう、外泊せんで帰れよ」