※この書き物は私の独り善がりの妄想話であり、フィクションです。登場する個人・団体名はすべて架空のものです。どうぞご了承下さい。

「あいちゃんこの1ヶ月まともに学校行ったんか?」との俺の問いにあいちゃん、即答で、「行ってなぁ〜い」

「どうするか?学校行ってきよのちゃんに、『あんただぁ〜れ?』とか言われたら」と、俺は笑う。

 あいちゃん、「泣く〜」

「かなえちゃんにあんた誰とか言われたら」

「ぶすえもんなんかどうでもいい。早く学校から居なくなんないかな」 

「あと1年ちょっとしたら小倉高校行くんやねぇんか」

「もしかしたら小倉高校受からんかもしれんよ」と確信めいた言い方をするあいちゃんに、「そんなことねぇやろ。倉高とか学業成績が良ければ推薦でも行けるし」

 

 スケボー少年にも話し掛けないとかわいそうかなと思った俺は、「北方の都市高速下にスケボー出来る広場があったぞ。知っとるか?」

 スケボー少年とあいちゃん無反応。あちゃ〜!

 話題を変える。

「あいちゃん俺めいどりーみん行ってきたぞ。メイドちゃんかわいかったわぁ」にも、あいちゃん無反応。代わって嫁が喋りだす。

「めいどりーみん行ったんよ。みんなかわいかったぉ。あそこ虜になってしまうね。おんぷちゃんも居たよぉ」って、あいちゃんがメイドの名前なんか知る訳ない。

 俺は、「あいちゃん俺のめいどりーみんの動画見てくれたか?」

 あいちゃん、一言、「見てな〜い」って、冷たいなぁ。

 三郎丸の辺りまで、あいちゃんとスケボー少年だけの世界に浸る。まぁいい。俺は黙って運転する。

 

 三萩野の市民球場の辺りまで来て、あいちゃん、やっと俺に話し掛けてくれた。俺は救われる。

「ねぇ猫じい、この辺りは何中になるん?」

「う〜んそうやなぁ、足立中やねぇんか?」と、俺は嫁を指して、「こいつは足立中出身や」

 あいちゃん、「彼氏は足立中だよ」

 ここでやっとスケボー少年、「足立って悪かったよね?」

俺の、「あいちゃん今一番悪い中学って言うたらやっぱり企救中か?」にあいちゃん無反応。構わず続けて、「北九州の中学って年々悪いって言われる中学変化していくんやねぇか。沼中も相当悪いっていう評判立っとったしな。俺のお客やったんやが、小学校の先生で、小倉中央小学校に居ったとき、YMRさん僕を訪ねて来たら生徒に睨まれるかもしれませんが気にせんで下さいなんて言われたけんな。あいつら中学に上がったら白銀中か?」

 

 あいちゃん、「あいか今日焼肉食べるんだよ」

「おう美味そうやな。であいちゃんお金持っとんのか?」

 あいちゃん、「200円!」

 俺は、「何じゃ!ほんなら今日はみんなの驕りか。社会人も居るんならまぁいいんやねぇんか。その内バイトして今度はうちが奢るけんとでも言うとけばええやねぇか」

 あいちゃん、目から鱗の如く、「確かにそうやね。そう言っとけばいいよね」

 

俺は、「ところであいちゃん、ママとは上手くいっとるか?」

あいちゃん、「いってな〜い」

「ママ、あいちゃんのために一生懸命働いちゃるんやけん優しくしてやれよ」

「分かったぁ」とあいちゃん。

 

 小倉駅前、国道199を越えて、「この辺りか?」

 あいちゃん、「もうちょっと先」

 駅のロータリーに入って、もう一度、「この辺りでいいか?」

 あいちゃんの、「もうちょっとだけ前にいって下さい」に、俺は吹き出す。

「何じゃあいちゃんその丁寧語は?ここだけか?似合わんっちゃ」  

 車間が開いていたのでそこに止めようと思ったら、先に入られてしまった。仕方なく、右側のタクシー乗り場の端に車を止める。

 二人、左側から仲良く降りて、声を合わせて、「ありがとうございました」

 俺は、いつもの如く、「おう」「おう」と二度返した。