俺ら夫婦、二階ドアの手前で暫し佇む。俺は階段に足を掛けて。さっきのハイエースのお客も階段下に入って来た。案内しているのはゆうこりんだ。その客に気を遣って、「もういいかどうかちょっと訊いて来ます」と店内に戻って行く。
今、店内、リハーサル中のようだ。おっ!懐かしいまりのちゃんの歌声が聞こえてくる。まりのちゃんの声は俺の脳裏に刻み込まれている。何と言っても、例の店で撮ったまりのちゃんの動画、大袈裟だが、百回は観ている。覚えない方が不思議というものだ。
13時、数分過ぎて、ヒロユキ君に招き入れられる。俺、何度も、料金は二人て5500円と言っていたのに、受付で嫁、6600円出しやがって、100円返されて、あれっという顔してやがる。もろ、どこかのライブハウスと勘違いしている。アホか!
通された店内、右手がカウンターで若い女性が一人、対応で入っている。左手がステージ、奥は突き出た柱で、客席が左と右に別れている。左は二人掛けのソファーが前後左右に二つづつで八人座れる。動画を撮ることを考慮して席を選択。奥の、向かって右手に嫁と座る。ドリンク二杯サービスで、一杯目は俺も嫁もコーラを注文。
店内に大音量で流れていたのは元キャンディーズの伊藤蘭のライブコンサート。伊藤蘭、もう70になるというのに、声質も体型も当時そのままだ。芸能人は常に見られることを意識するから、美容には莫大な金を掛けているんだろう。
イマジン、客席とステージの距離がない。動画を撮るつもりの俺としてはちょっとギャップを感じてしまった。俺は、動画を撮るときはほとんど倍率三倍なのだが。
脚立は持って来ないで正解だったようだ。イマジンのオーナー、ドラムのカズ君と向かい合ってるような感じで、テーブルに目立つ脚立を立てて撮るような暴挙?は出来なそうだ。
左手のカウンターに脚立が立ってスマホが載っている。イマジンは店に来れない人のために有料1500円でユーチューブライブ配信を行っている。そのためのスマホだろう。映す角度はあまり良くない感じがするが。
実は、まりのちゃんの復活ライブでの俺の動画撮影に関して、まりのちゃんのお母さんとメールでやり取りした。