▶スタン・ハンセン自伝レビュー9・天龍源一郎について | ぐーすけとりきのブログ

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日本人の中では、天龍のスタイルが私にとってベストだった。

私とスタイルが合っていたので、常にエキサイティングな試合を
見せることができた。

彼はフィジカル的に極めてハードで、ガンガン前に出て来て、お
互いが力をぶつけ合うような試合展開が好みだった。

あまりに志向が似ていたため、試合内容はとても過酷で、毎回、
肉体的にはきつかった。

天龍はよくこう言っていたらしい。

「ハンセンから学んだことは、プロレスはスイングさせるのでは
なくて、好き勝手にやればいいんだということだ」

6人タッグ戦で3対3でぶつかり合ったりするとき、普通は試合
前に作戦の打ち合わせをするものだ。

タッグパートナーに、「今日は、どう攻めていくか」「向こうが
これできたらこっちはこう返す」とか。

私たちの場合、試合前の作戦など無意味だった。

なぜなら、私も天龍も、試合中に何をしでかすか、自分自身でも
まったく予測不可能だったからだ。

対戦相手どころか、本人も、自分が何をするか全然わかっていな
い。

だから、リアルなアクションが起きる。

それに対して、リアルな反応が起きる。

もうそれだけだ。

だから、天龍が全日を去ったとき、私は非常に残念だった。

でも、それはプロレスに携わる以上、仕方のないことだ。

その選択肢は彼にあるわけだし、すべてはあくまでもビジネスと
して存在している。

これは結果論になるが、天龍がこの機会に、一度、全日を出たこ
とは、さまざまな方面にとって良かったのだと思う。

天龍たちが出たことによって、強制的にトップの交代劇が起こっ
た。

それによって、三沢、川田、小橋、田上らが上がってくるしかな
くなった。

また、そのことは私にとっても、ラッキーとなった。

とりあえず、身体もまだ動いていた時代だったから、新たな対戦
相手が現れたことで、引き続き日本に招かれるチャンスを与えて
もらえたからだ。

さらに、今度は三沢たちがいなくなったおかげで、再び全日に戻
ってきた天龍と、私は闘うことができるようになった。

考えてみれば不思議な縁であり、再開を嬉しく思った。

(この会社を助けることができる人がいるとすれば、天龍しかい
ない──)

だから、本当に戻ってきてくれたときは、柄にもなく感激した。

ただ私にとっては肉体的に、そろそろ往年のファイトをするには
厳しい時期ではあった。

「この体で天龍というのは…、さすがにきついか」

とあるインタビュー記事で知ったことだが、全日への復帰を決め
た天龍が、若手を相手に奮闘する私を見て

「ああ、この男(ハンセン)は、全日のために頑張ってきてくれ
ていたんだな」

と感情を高ぶらせて、私へのリスペクトの思いを強くしたという。

そのことをとてもうれしく感じたものだ。