▶「機動戦士ガンダムⅢ」レビュー5・情緒不安定なパイロットめが | ぐーすけとりきのブログ

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アムロはブラウ・ブロにドズルの時と同じく翳(かげ)を見る。
しかも、よりしなやかな野獣の様な精気を伴って!これはドズル
が示した暗さはなかった。闘争の精気であった。

「なにを言うかよ!本音は俺を動揺させて討とうという下衆(げ
す)が!」

アムロの決定的な誤謬(ごびゅう)であった。しかし、すでにア
ムロの独断は行動に転化していた。それがアムロの行動であるが
ゆえに、悲しいくらい素早かった。

すでに、アムロはブラウ・ブロの癖とオール・レンジ攻撃の何た
るかを見抜いていたのである。さらにブラウ・ブロにとって不幸
なことは上下から二機のガンキャノンの牽制も受けていた。

シャリア・ブルはブラウ・ブロの三門の砲塔を各々のターゲット
に向けて照準をとろうとして一瞬気を散らした。この時、シャリ
ア・ブルが相手とするパイロットがこの三人でなければ、恐らく
三機を撃破していただろう。

が、正面に位置したガンダムのビーム・ライフルが細く光条を曳
いた。

ブラウ・ブロのコクピットが直撃された。

“情緒不安定なパイロットが!”

シャリア・ブルの怒りであった。が、その時はすでに数億のメガ
粒子砲の灼熱した粒子がシャリア・ブルを蒸発させていた。その
ビームはブラウ・ブロのメイン・エンジンにも触れて巨大な光芒
を咲かせた。

アムロは確かにシャリア・ブルの罵声を聞いた。そして己を嫌悪
した。真底…。

“そういうことだったのか!?あの男の言いたかったことは…”

いくらシャリア・ブルと遭遇する直前にソーラ・レイの攻撃によ
る衝撃があったにしろ、たった一人の人間の思惟と意識を恐怖の
呪縛としてしか感知し得ずに、自分は狙撃してしまった。
 
“なんということだ!”

あのララァとクスコが身を焼いてまで自分に教えてくれたものは
なんであったのか!?そう思い至る。それがたとえ虚偽のもので
あったり妄想であったにしても、彼女たちは過去と未来を見せて
くれた。

その人の時の重さを真底理解できる高処(たかみ)に己がいたら
シャリア・ブル一人が全身全霊をかけて伝えようとしたこの邂逅
の意味を受けとめることができたはずなのだ。

“そうか…シャリア・ブルは重要なことを言ったのだ。この局面
から脱するための…”

そう分かった瞬間にアムロは一瞬間、自棄の眠りに入った。

麻痺…。