▶「機動戦士ガンダムⅡ」レビュー2・ニュータイプ部隊昇進“見える” | ぐーすけとりきのブログ

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「我々がアムロにシンクロさせることが難しいとなれば、アムロ
が作戦参謀として指揮に当たるか?」

フライト大尉が冗談めかして言った。

「資格、能力があればね」

アムロ中尉が応える。シャアたちのモビルスーツ隊が、フロント
バックに潜入してあっという間に引き揚げた後、帰投したペガサ
ス・Jに待っていたものは、全員の一階級昇進だった。レビルが
個人的に元ペガサスの乗組員をニュータイプ部隊とするための昇
進である。

ジャブローの参謀本部は、次の作戦でレビルは命を懸けるだろう
と考えて、彼の最後のわがままをきいたのだ。ブライトらの二階
級特進もよかろうとさえ言い出したものだったが、これはレビル
の方がやめさせたと伝えられている。

「若者は増長させてはならぬ。彼らは、自分の立場を理解してい
る。増長はいかん」

「しかし、他の艦艇とバランスがとれないのは面白くない。ブラ
イト艦長がやりにくかろう?」

これがジャブローの意向であったという。

ブライト大尉が、作戦会議から帰艦したのが標準時間の午後11
時頃だった。それを合図のようにガンルームに旧ペガサスの乗組
員が集まってきたのだが、誰が音頭をとったというものでもなか
った。

「後発部隊の俺だけじゃないのか?ここで進級しなかったってい
うの」

スレッガー・ロウ中尉は砲科のスペシャリストである。

「めぐり合わせさ。俺がやりにくくならんように考えてくれたの
だ」

ブライトが軽くいなしながらも、セイラ軍曹を振り向いた。

「軍曹も坐り給え。とにかく、今日の敵襲についてはレビル将軍
も深い関心を示されていたのだが、周囲(まわり)が周囲だ。細
かい報告はできなかった……とにかく、ガンダムの出るのが早す
ぎたのが目立ってな」

コーヒーをすすりながらアムロ中尉の方を見返して、さらに言葉
を続ける。

「無線が確実なら、ペガサスがアムロの指揮を受けることも可能
なのだが…」と先刻の話へと戻っていく。

「どういうの、軍曹。その敵が判るって感じ?」

スレッガー中尉が身体を極度に傾斜させて、セイラ軍曹の肩に長
い顎(あご)を触れんばかりにして尋ねる。セイラはかすかにそ
れを避ける仕草をするが、スレッガー中尉は全く意に介さなかっ
た。

「どうって…見えるっていうんでしょうね。この額の向こうに、
こう、キラリと赤っぽいような光…ね、中尉?」

セイラがミライ中尉を見やる。ミライ中尉はソファの上にひどく
くつろいだポーズで坐っていた。長靴も脱ぎ捨てて…。

「軍曹の言う通りね。見えたように思えたの。でもね、いつもそ
うだったというわけではないわ。今日の敵がそうだった…という
より、今日の敵が見せてくれた、という方が正しいような気がす
るけれど…」

「判らんね。ご婦人方のおっしゃること…」

「だからさ、殴られた時、火花を見るっていうでしょ、あんなの
じゃないの?」

カイ中尉だ。それに続けてハヤト中尉がまぜっかえした。

「でも、あれ白っぽい光ですよ。なっ、アムロ?」

「ラルフ中尉によく殴られたものな?」

アムロは軍服の襟をくつろげながらも、セイラの視線に手をとめ
た。

ミライ中尉はこの部屋に入る時からセイラのことが判っていた。
無論、昨夜セイラが“おでかけ”したのは知っていたが、まさか
アムロが相手とは、というのが第一印象であった。しかし、それ
はあり得ることなのだと今にして思う。確か、サイド7ではアム
ロの片思いの金髪さんがセイラなのだから。しかし、それだけが
二人をつなげる要素でもないということが、この部屋での二人の
物腰から知れるのだ。

ニュータイプらしい同類意識か?

「今日の相手が、我々に光をみさせたという中尉の発言には賛成
です。テキサスのとんがり帽子のパイロットもニュータイプと断
言できるでしょう。けれど、今日とはちょっと違いました。来る
という精神的なプレッシャーがながれこんではきましたが…」

アムロは嘘をついた。ララァのことは、根本的に違うということ
は、誰にも話そうとは思わなかった。たとえそれがセイラであっ
ても…。

「なんだい?その精神的プレッシャーってのさ」

またスレッガー中尉だ。

「殺気ですよ。モビルアーマーを通りこして、まるで目の前にい
る人が感じさせるような殺気。それを感じるのです」

「殺気か…」

「そこまで具体的じゃあないがな」

カイが心細そうに言う。

「どうも、命が幾つあっても、生き残れそうにもないなぁ。ハヤ
ト」

「全く……」

「だからだよ。こんな話、他のパイロットがいるところでしてみ
ろ。みんな逃げだしてしまう」

ブライトが言った。だから、ニュータイプを認めたくもなければ、
実戦に投入されつつあるという情報も公にされないのだろう、と
アムロは思う。

「しかし、考えようによっては、戦争阻止につながる使い方もで
きるんですがね。ニュータイプの存在が本当なら」

アムロは言った。

「つっかかるなよ。ザビ家一党が覇権を握る現在では無理な話だ

「それに、連邦だよ。連邦の偉いさんたち、地球派とか土着派っ
ていわれている連中が地球からコロニー自治体制派をコントロール
しているうちは駄目さ」

「禁句だぞ。カイ中尉!」

ブライトが立ち上がった。

「聖なる大地を守る聖戦を旗印にする連邦軍人が言うことじゃあ
ない」

ガンルームは解散した。明日、出撃したら、翌日はジオンだ。

ブライトとミライがガンルームに残った。

一度だけ、ミライが言った

「このガンルームね。作戦が終わったら絵を飾りましょうよ。私
が買ってきてもいいわ」

「そりゃ、いい考えだ。殺風景すぎるからな…」