「世界には素晴らしい音楽があふれているのに、なぜ日本に
はその一部しか紹介されないのか」という疑問に「だれもや
らないなら、自分たちでやればよい」という答えを出した
松浦勝人ら数名の仲間が集まり、海外アーティストのCDと
レコードを輸入し、レンタル店に卸売りを始めたのが、大手
レコード会社「エイベックス」の原点だ。
昭和63年のことである。
扱ったのはダンス・ミュージックで、海外でもまだ日の目を
見ないアーティストのものだった。
どの曲がヒットするか、それを見極めての買い付けは自分た
ち“耳”だけが頼りである。
このとき培われた嗅覚が、今日、数多くのミリオンセラーを
生み出しているのである。
創業時の社名は「エイベックス・ディー・ディー(avex・D
・D)」だった。
「avex」は「オーディオ・ビジュアル・エキスパート(audio
visual expert)」という言葉から4字を採った造語である。
“音と映像の専門家”という意味になる。
CDとレコードの輸入販売会社が“visual”を社名に織り込ん
だのは、音楽業界でもプロモーションビデオなど、映像化が
不可欠になっていたためだった。
「D.D.]というのは「Digital Dimension」の頭文字であ
る。
創業の2年後にレコーディングスタジオを設け、レコード制作
部門の「avex trax」を誕生させる。
「trax(トラックス)」はレコードの溝を意味する「track」の
複数形tracksと同じ発音になるよう、cksを未知数という意味の
「x」に換えて、“無限の可能性を持つ音楽”という意味を込
めて造語された名称である。
その2年後の平成4年には小室哲哉をプロデューサーに迎えて
日本人アーティストを続々と世に出していき、今日の成功の契
機となった。
現在は、映像制作、出版、インターネット・ビジネスへと領域
を拡げ、文字通りのオーディオ・ビジュアルの一大エンターテ
イメント会社になっている。