警察にはさまざまな部署がある。
それぞれが地域防犯や生活安全に重要な役割を
になっているのだが、実際に警察に入ると
「自分は将来○○課で働きたい」
というふうに、展望を抱くようになる。
もちろん、所属部署の好みは個人差によるところが
大きいのだが、現実問題として凶悪犯人を追い詰めたい
というアクティブな性格を持つものは、ほとんどが私服で
捜査ができる刑事になりたいという意識をもっている。
とくに最近では「捜査系」「生活安全系」「公安系」の
刑事になりたいという希望者が圧倒的に多い。
捜査系はいわゆる殺人、傷害、詐欺、汚職、窃盗、
暴力団関係といった事件を担当する。
生活安全系には水商売がらみの捜査に加え、銃器や麻薬
の取り締まりが含まれているので、風俗関係が好きな人には
いい職場といえる。
また、北朝鮮嫌いや過激派嫌いといった
傾向の人には公安希望者が多いのが実情だ。
では、反対に不人気な部署はどんなところだろうか?
これこそ人によって感じ方はまちまちで、一概に
「ここは不人気」とレッテルを貼ることはできない。
ただ、外へ出て事件捜査をしたいという人にとっては
「内勤部署」はある意味つらい職場であることは
間違いない。
いっぽう、事件捜査には全く興味を示さず
「一日でも早く所長になりたい」
と思って警察に入ってくる出世志向派もいる。
そのようなものにとっては、毎日が暇で昇任試験の
勉強ができる職場として内勤部署は人気がある。
その中に警察事務を行う警務課というのがある。
ここでは、署員の行動監視をしたり、警察関係者が
暴力団と付き合っていないかどうかや極左の活動家と
接触していないかなどの行動監視を行っている部門
もあるが、出世派はむしろ教養係など一日署長選びや
署内で行う講演会の講師選びなどが主な仕事になる
ようなところで、のんびりと仕事をこなし、
空いた時間には試験勉強に精を出している。
また、機動隊を希望するものもいる。
最近では荒れ狂った暴動などはほとんど起きないので
毎日、決まった訓練や防護対象の警備しかない。
残業もないので、勉強する時間はたっぷりととれるから、
というのだ。
捜査活動をしようという警官にとって内勤事務系は
不人気部署となるが、出世志向派にとっては人気部署になる。
実際、内勤部署を渡り歩き、昇任試験をくぐりぬけ署長の
座を目指そうという警官は少なくない。
彼らは、民間企業で働いたほうがいいだろう。
もとろん、望めばだれもが行きたい部署に配属される
というものではない。希望の人気部署に配属される
ためには、個人の特技や実績が大きくものをいうのだ。
当然、適正というものがあり、勤務実績を見て
刑事課長が副署長に
「あの交番の男はなかなか見所があるね。
ちょっとうちで使ってみたい」
と申し出ると、副署長が
「それじゃあ」
といって地域課の課長に話を持ちかけてくれる。
そこで、地域課長が
「彼はなかなかいいですよ。それじゃ、そろそろ
講習に行かせましょうか?」
ということになり、刑事講習を受講することになる。
この講習で「適任者名簿」に名前が載ると、
半年程度の看守を経て、刑事になるという仕組みに
なっている。
いずれにしても、「実績を挙げる」「好かれる」
「注目される」このどれかに秀でていないと、
なかなか刑事になることはできない。
もしも希望を出さなければ、生涯を交番勤務で
終えるということもある。定年まで立番をすることに
なってしまうのだが、実は望んで交番勤務を
続けたがる警官もごくまれにいる。
というのも、交番勤務ほど地域と密接に触れ合う場は
なく、それが非常におもしろく、役立っているという
実感が得られるからだ。
筆者自身も、「もいちど警察官になるのなら
刑事ではなく交番勤務で一生を終えるのも悪くない
と思っているほど」だ、という。
一方で懲罰的な人事異動が発令されることもある。
たちの悪い酒気帯びサラリーマンと取っ組み合いになり
すぐに鉄拳を振るったり、何かとトラブルを起こす警官
というのがいる。
こうした警官は外勤をさせておくとどんな問題を
引き起こすかわからないということで、警務課の事務や
会計係に回されることもある。
これは一種の懲罰的人事の典型的な事例といえる。