なんでも手書きで記録していた時代から、コンピューターの記
憶力と量に頼って、なんでもチョイチョイと入力、とりあえず記録
しておくという今、個人の経歴をはじめとするさまざまなデータが
あちこちで記録されている。
たとえば、一度でもダイエット食品の通販を利用した客には、
別のダイエットドリンクやらスリム下着のダイレクトメールが
次々に届く。また突然お菓子のモニター依頼が来て驚いたら、以前
アイスクリームのクイズに応募した人の名簿からアトランダムに
選んだと聞かされて驚いたり……。
こうした記録がどこにどう使われるかわからない、という時代に
拍車をかけているのが、名簿業者。かつては、学校の卒業名簿な
どを集めて、適齢期になると結婚式場の案内を送るといったかわい
らしい商売だったが、扱う名簿の種類がどんどん増え、さらには
秘密にされるはずの企業からのデータも集まり始めているのだ。
税務署が公表する高額納税者名簿をコピーして不動産業者に売り、
別荘分譲のセールスに利用させる程度ならまだよかった。問題
なのは、名簿やリストを手に入れるために違法な行為にまで及ぶ
ようになっていることだ。
代表的なのが、銀行マンから個人取引データを買い取ったケース。
つまりは企業データの内部流出で、預金残高、ローン支払い状況、
銀行引き落としにしてある毎月の電話代からガス代まで、経済状態
を丸裸にされてしまったのである。
どんな会社でも顧客管理のために名簿くらいは作成する。住所
や電話番号ぐらいを手書きしていた時代から、コンピューター処
理になって、取引内容から支払い日までとにかくなんでもデータ
ベースに入力しておくことになった。その会社が倒産でもすれば
売れるものはなんでも売ろうということになり、この顧客データ
までが人手に渡るというようなことも起こる。
情報化時代の便利さは、その裏でこんな恐怖を抱えているので
ある。