●3 「奴隷解放宣言」の真の狙い | ぐーすけとりきのブログ

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 根本的には、この宣言が発せられた対象はアメリカの奴隷でも
南軍でもない。相手はイギリス、そして世界である。なぜなら
南北戦争へのイギリスの干渉を斥けること、これこそが宣言の
最大の目的だったからである。


 当時産業革命只中(ただなか)にあったイギリスは、木綿の
大量生産を行っており、その原材料としてアメリカ南部のプラ
ンテーションで作られる大量の綿を必要とした。イギリスはその
綿から作った木綿製品をアメリカへ向け安く輸出するという加工
貿易を行っていたのである。


 もともと対イギリス貿易に関しては、北の保護貿易、、南の自由
貿易、とアメリカ国内での意見はまっぷたつであった。つまり
イギリスから見れば、北軍の勝利は自国製品に高い関税がかけら
れることを意味する。そうなればイギリス貿易は大変な打撃を
受けるだろう。イギリスが南軍に肩入りするのは、誰の目にも自明
の理に映った。実際、南軍側に立って参戦すべきという意見や、
さらには「南部連合」を国家として承認する動きすらあったので
ある。

 
しかしそれを阻む(はばむ)カードがリンカーンの手の内にあった。
それこそが奴隷制である。すでにヨーロッパなどで奴隷制は、非
人間的な唾棄(だき)すべき制度として非難の的になっており、
それを戦争の全面に押し出せば、外国からの干渉を排除できるので
はないか、と考えたのだ。「奴隷解放のための戦争」と宣言すれば
イギリスも南部支援は行なえまい、と踏んだのである。さすがの
大英帝国も国際世論を敵にまわしはしないだろう、と。


 確かにこの手は効果を発揮し、イギリスは南北戦争への介入を
あきらめた。リンカーンは自分が大統領になる前に奴隷制が廃止
されていなくて助かった、と胸を撫でおろしていたかもしれない。