実は、この「美しい」ということが重要な
ポイントなのである。テコンドーは「美しい」が
ゆえに、人の心をとらえ、欧米をはじめ全世界
に急速に普及してゆき、競技人口において他
の格闘スポーツを追い抜いていったのだ。
有志の方は言う。
「武道としての実戦性となったら、日本の空手は
凄いですよ。あの正拳突きは、きわめて破壊力が
あります。私はテコンドーを始める前は、空手を
やっていたのでよくわかる。しかし、テコンドーを実
戦性の面から日本の空手と比較してもしようがな
いんです。テコンドーを、日本流の武術ととらえるの
は、ちょっと違う。純然たる競技スポーツなんです」
テコンドーの試合は、頭にヘッドギァー胴にプロテ
クターをつけておこなわれる。突きは顔面への加
撃が禁止され、ボディのみに限られているが、実
際の試合ではボディへ突きをきめてもたいしたポ
イントにならず、勝負はもっぱら足技で決着がつく。
蹴りは、腰から下への、いわゆるローキックは禁止
されているが、顔面への蹴りは認められており、
そのため必然的に足を高く上げる蹴りが多くなり、
派手で見栄えのする試合展開となる。テコンドー
の足技が発達したのは、この競技ルールの設定
によるところが大きい。
「テコンドーは、いわば足でやるボクシングなんです。
空手と違って寸止めではなく、実際に当てるから誰
が見てもわかりやすいですし、足技主体のため試合
が派手で面白いんです。テコンドーは武道としての
実戦性を多少犠牲にしても、スポーツとしての面白
さを追求していったんですよ。これは競技人口を増
やすための、韓国の戦略、国策なんです」