泳法の中で最もスピードがでるのはクロールである。
それなのに競泳競技の種目には「クロール」はない。
「平泳ぎ」「バタフライ」「背泳ぎ」はあるのに、50メートル
クロール、100メートルクロールなどというのはない。
なぜないのか。
「自由形」(フリースタイル)というのがある。自由形というのは、
自由な形、自由な泳ぎ方で泳ぐことを意味する。すなわち
「自由形」ではどんな泳ぎ方をしてもよい。平泳ぎや
背泳ぎで泳いでもよく、平泳ぎと背泳ぎを混合して泳いでも
よい。プールの底を歩いたり蹴ったりすると失格になるが、
どんな泳ぎ方でも構わない。
1837年、イギリス水泳協会が結成され、最初のチャンピオン
レースが開催された。このレースでは泳法は規制されず、
自由であった。これが競泳の自由形の最初とされている。
競泳が行われ始めた頃、最も速い泳法は平泳ぎだった。
19世紀末にクロールが考案され、最も速い泳法として
世界中に広まった。クロールは今日でも最も速い泳法として
君臨しており、自由形を泳ぐ選手はクロールで泳いでいる。
競泳に「クロール」という種目がないのは、自由形が実質的に
はクロール競技となっているからである。
民明書房刊
「世界の泳法100選」より