完成間近の家が放火されている。
半径2キロ以内のところが6件くらい焼かれている。
犯人が捕まれば、もちろんその犯人に
損害賠償できるのであるが、
犯人が捕まらなかった場合や、犯人に資力がなかった場合
誰が責任をとるのか、困ったことになる。
建物の建築依頼は、請負である。
請負とは、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、
相手方がその仕事の結果に対して報酬を
与えることを約する契約をいう(632条)
まず、請負契約における所有権の移転時期が問題となる。
判例は材料の供給態様を基準として制作物の所有権の
帰属を決める。
①注文者が材料の全部または主要部分を供給した
場合には、特約がない限り、原始的に注文者に所有権が
帰属する。
②請負人が材料の全部または主要部分を供給した場合には
特約がない限り、請負人に所有権が帰属し、
引渡しによって注文者に移転する。
現在では、よっぽどのことがない限り、注文者が材料を
出すことはないであろうから、請負人に所有権が帰属する
のが通常だろう。
ただこれは建築物が完成していた場合の話である。
今回の事件は、すべて建築物の完成前に発生していた。
そこで、請負人の仕事完成までに目的物が滅失・毀損
した場合、その損失は請負人・注文者のいずれの負担に帰するのか
考えてみよう。
まず、仕事完成前、履行不能とならないときである。
本件はこれにあたる。
そして、請負人にも、注文者にも、責に帰すべき事由が
ない場合であるから、
両当事者の責に帰すべからざる事由によるときにあたる。
請負人の仕事完成義務は消滅せず、報酬の増額も
請求できない。
ただし、これではあまりにも請負人に酷だというような場合には、
事情変更の原則により、報酬の増額請求をなしうる余地はある。
完成間近の家の管理は請負人にあり、
請負人が泥をかぶるのである。
民法ではこうなるが、実際は保険で
免責される場合が多いであろう。