終戦への秒読み 幻の平和へ | ぐーすけとりきのブログ

ぐーすけとりきのブログ

ブログの説明を入力します。

1945年7月26日。

ポツダム宣言が発表された。

米英中3国の連名で、日本に降伏を迫っていた。


内閣担当記者たちは、内閣書記官長の迫水久常の定例会見で、

こういうやり取りをした。

迫水「これを受諾するとかそういう態度はとれないんだ…

 だから結局まあ重要視しないっていうか、ニグレクト(無視)

するという方向へいくことになるだろう。

記者「じゃあ黙殺か」

迫水「ニグレクトってのは黙殺とも言えるかなあ…

 大きく、新聞のトップで「ポツダム宣言黙殺!」って…

 扱わんでくれ、なるべく小さく扱ってくれ」


同盟通信社は、27日の記事で「黙殺」に当たる

英語として「ignore(無視する)」を使った。

ところがAPもロイターも…ignoreをreject(拒否する)と

パラフレーズ(言い換え)してしまった。


一方、朝日は、「政府は黙殺」との見出しで

「何ら重大な価値あるものに非ずとしてこれを黙殺する」

毎日と読売は「笑止」とした。


政府が曖昧な対応をしているうちに、報道は「黙殺」から

「拒否」に独り歩きした。

その後の原爆投下もソ連参戦も、

いずれも日本のポツダム宣言受諾拒否を、理由としていた。


45年7月27日。

日本時間で早朝、ポツダム宣言が発表された日、

日本郵船の株価が跳ね上がった

7月29日付の「思想旬報」によると

宣言発表以来、株式市場が活況を呈し、

特に郵船株は、27日が90銭高、28日は2円30戦高と

値上がりが目立った。

内務省は「早期戦争終結に対する希望的観測が市場に現出

しつつあるものと認められる」と分析している。


郵船をはじめとする海運業界は、戦争で壊滅的な打撃を受けていた。

「太平洋戦争沈没艦船遺体調査大鑑」によると、

連合軍の攻撃などで沈んだ船は、軍艦が651隻、商船は

陸海軍徴用分も含め2934隻。

海の動脈が寸断され、経済的に戦争は不可能だった。

そんななか、ポツダム宣言が出たことで、

戦争終結が近いという観測が広がり、海運株が敏感に反応した。


一億玉砕が叫ばれる裏で、冷静に打算的に、戦争の終局を

見つめる人とマネーが存在した。


実は株価上昇の動きは、ポツダム宣言の前からだった。

しかも日本郵船だけではない。

45年に入ると、軍需産業以外の銘柄が「平和株」と呼ばれ

注目が集まっていた。

4月中旬になると、「郵船、三井、三菱など船株、財閥株、

繊維株を中心とする平和産業株に対する物色循環買人気は

遂に全面高の活況を呼んだ」


株式市場は、すでに敗戦という材料を織り込んでいた。

が、それだけではない。

セメント会社や商社の株価も軒並み高騰した。


それは、敗北の先にある、

来るべき復興需要をめざとくかぎつけた人たちが

いたことを物語っている。