【プロローグ】
ゆっくりと日が暮れ始めた18:00pm。
俺達6人は誰もいないグランドに立った。
フェンスに取り付けられた簡素な照明器具からの柔らかい光が、頼りなさげにピッチを照らす。
俺はまだ知らなかった。
その光が俺達の運命を左右することを・・・。
軽いストレッチ運動の後、俺とタケシはパス練習を行った。
歪な形状をしたラグビーボールを投げるには、ピストルから放たれた弾丸のような回転をかけなければならない。
この投げ方を習得するには並大抵の努力では無理である。
ラグビー経験豊富な俺にとって朝飯前だが、初心者のタケシがこれをマスターするには困難を要した。
約5m間隔でのパス練習だったが、ボールはあさっての方向に飛んでいく。
そして歪な形のラグビーボールはまるで自分に意思があるかのようにあらゆる方向に転がっていく。
もちろん弾丸のようなきれいな回転はかかってはいない。
練習を始めてまだ数分しか経っていないにもかかわらず、彼の額からは滝のような汗が流れている。
「初めから上手にできる奴なんていないさ。気にするな。」と声をかけるものの、彼の表情はまるで難しい方程式を解いているように険しい。
今思うと、この時の彼の表情が意味するものを読み取ることができていたら、あのような惨劇は起こらなかったに違いない・・・。
≪次回に続く≫