大好きな曲、ドビュッシーの『月の光』。



小学生の頃、誕生日プレゼントに、ピアノを弾くのが大好きな父から、ピアノ曲集のカセットテープを頂いた。



『乙女の祈り』とか『エリーゼのために』などと共に、ポピュラーな一曲として『月の光』も入っていたのだと思うが、私が『月の光』を聴いたのは、その時が初めてだった。



何だか他の曲とは違う、洒落た感じ。単純じゃない美しいメロディー。題名通り、夜の暗闇のなか、明るく差し込む月の光のイメージが、ありありと浮かんでくる。
 


それ以来、私にとって特別な曲になった。



結婚式の披露宴で、父にピアノを弾いてもらった時も、迷わず『月の光』をリクエストした。(もう一曲は、父が自ら選んだ『からたちの花』山田耕筰作曲で、これも、とても美しいピアノ曲だった。)
 


今や『月の光』は、至る所で耳にする。



映画『セブン・イヤーズ・イン・チベット』の中では、確か、幼いダライ・ラマの持っているオルゴールの曲として使われていた。



かなり大きなシリンダーオルゴールだったと記憶している。



昔アルバイトをしていたオルゴール館には、数々のシリンダー・ディスクのアンティークオルゴールが、大小様々あった。



その時、櫛歯が長く、よく共鳴する木材でできた大型オルゴールの音の響きは、素晴らしいものなのだと知った。



だから、大好きな『月の光』を、あんな音色で聴けたら夢心地だなぁと思っている。



あの映画を観て以来、時々、『月の光』の本格的なシリンダーオルゴールは無いものか、探してみた事もあったが、今のところ見つけていない。映画で使われた物は、今どこにあるのだろうか。音色を確かめてみたい。



今日の夕方、伊勢丹で食料品を買った帰り、大阪駅の北側(いつも路上ライブが行われている辺り)を通りかかると、カリヨンの音色で、『月の光』が演奏されていた。



寒空にカリヨンと『月の光』。



何だかしっくりときて、うっとり夢見心地で帰ってきた。
 


ああ、良い気分だった!



そうそう、一週間程前、同じところで路上ライブをしていた、女性ボーカルの方の歌声が耳に残って忘れられない。



風のある夜で、伸びやかな歌声が風に乗って耳に届いた。



その時も、うっとり夢見心地になったんだった。



夜風に乗って冷たい空気の中に響いてくるメロディーって、月の光そのもの、という感じ…と気がついた!