イエメンの女性と京都でお茶をした時に、
マララさんをどう思いますか、
と尋ねたら、
Malala is a puppet of the Western countries.
「彼女は、西洋の操り人形だ」
との答えが返ってきました。
マララさんのスピーチは、素晴らしいと日本では見なされていて、英語の暗唱大会の原稿になったり、副教材になったりしています。私の生徒も過去に暗唱大会でその原稿を使い、私も感動して泣いていました。
しかし、違う視点もあるようです。
なぜ、そう思うのか、誰がそう思うのかを考えてみたいと思います。
アフガニスタンにソ連が侵攻し、それと戦う代理戦争のために、タリバンに武器援助をして、タリバンを大きく成長させたのは、実はアメリカでした。
そして、9.11の後、根拠もなくテロリストとの戦いだと、アフガニスタン、そしてイラクまでも空爆し始めたのもアメリカ。
ブッシュ大統領が言い張っていた大量破壊兵器は、イラクのどこを探してもありませんでした。それに対する反省はありません。
その空爆で、多くの民間人の犠牲者を出し、アフガニスタン、イラクの街を村を壊滅状態にしたのもアメリカ。
その間、武器を大量に生産し続け、輸出し、軍需産業を伸ばしてきたのもアメリカ。
タリバンは、悪の巣窟で、戦わなければいけない。女性が虐げられている。女性の自由がない。ブルカを着なければならないなんて。女性の権利をタリバンから守るのだと西洋は、声を上げ、それをマララさんの言葉を通じて世界中に拡散してきました。
マララさんが、勇気があり、聡明で、素晴らしい女性なのは、私も異論はありません。
だが、そこだけを切り取って、あまりにも
強調し過ぎるのは、バランスが悪いのです。
だから、イスラム教徒は、危険で野蛮で
女性蔑視をしているのだ。
だから、イスラム教徒は、テロリストなのだ、爆撃してもいいのだと、短絡的に考える人を大量に増やすこと繋がり、
アフガニスタン空爆、イラクの先制攻撃を正当化する一つの口実として利用されていないでしょうか。
ヒーローを作りだすのは、そういう危うさがあることを忘れてはいけないと思います。
そこだけを、切り取り、強調し、更なる非人道的な攻撃を正当化するために政治利用されてしまうことがあるからです。
そして、一見いいことを言っているように見えるけれど、その背後には、どの国のどんな思惑が隠されているか、どの国のヒーローが排除されているかを、考える必要があります。
そのためには、西洋だけに目を向け、
「西洋諸国が、日本をすごいと言ってくれた。私達は、名誉白人だ。だから日本はすごいんだ」と有り難がり、日本自慢するのではなく、(現在の日本の中学の英語の教科書、内容の半分が白人が褒める日本すごい)
アジア、中東、アフリカ、南アメリカと、非西洋圏の人々とも繋がり、本当の意味でのグローバルに交流する努力をしなければならないと思います。
英語の教育に携わる者として、
自分には、偏見がない、グローバルな視点を持っている、とは、誰しもが思いたいところですが、もしかしたら、そのグローバルとは、西洋からの偏ったグローバルであり、軍需産業が創り出した現代の幻影でしかないのかも知れないと認識を修正する必要があるかも知れません。
英語の先生と呼ばれる人達こそ、英語だけではなく、近代史の真実を学び、アメリカ、ヨーロッパ、オセアニアだけではなく、広く世界中の人と交流する必要があるのだと思います。
英検一級の長文は、リベラルな視点からのものが多く、読んでいて、胸がスカッとするものがあります。
独裁者ピノチェトを作りだしたのは、社会主義を倒そうとしていたアメリカの巨大な軍事支援のせいだと気付かされました。
英語教育にこそ、英語だけではなく、教える者のグローバルな視点、近代史の真実、戦争の背後にあるものに対する理解が必要とされています。
勉強しなおしていこうと思います。
京丹後市
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