信じられない相手と過ごす時間は、静かに、しかし確実に心をすり減らしていく。



表面上は穏やかな日常を装っていても、胸の奥では常に警報が鳴り続けている。



「今の言葉は本当だろうか」

「この沈黙には何か裏があるのではないか」。



そんな疑念が無意識のうちに積み重なり、安心して息をすることさえ難しくなる。



疑いは大きな事件がなくても生まれる。
些細な表情の変化、曖昧な返事、説明の辻褄の合わなさ。
ひとつひとつは取るに足らないはずなのに、それらが重なることで、心は常に緊張状態に置かれる。


信じたい気持ちと、裏切られてきた記憶がせめぎ合い、感情は休まる場所を失っていく。


本来、夫婦はお互い安らぎを与えるものであるはずだ。
しかし、信頼が崩れた関係では、相手の存在そのものが消耗の原因になる。


疑いという影が日常に差し込み続ける限り、心の平穏は少しずつ削り取られていく。


そして気づいたときには、自分自身を守るために距離を取ることが、唯一の回復手段になっているのだ。