こんにちは。

 

東京都杉並区下井草、気軽な税理士、草野岳(くさのがく)です。

 

 

 

 

 

年々、記入資料というか、記入箇所が多くなっている気が・・

 

 

最近だと大きく変わったのは、令和2年です。

 

 

さらに児童手当の拡充(予定)を受け、基礎控除や扶養控除の部分が

 

 

また一段、変わるかもしれませんね( この点、少なくとも令和5年分に影響はない )。

 

 

 

 

基本的に「本人」が記入することになっているので

 

 

頭を悩ませている方もおられると思います。

 

 

 

 

 

1.そもそも年末調整とは

 

 

毎月の給与から「なんとなく」所得税が差し引かれていることは

 

 

ご承知と思います。

 

 

そもそも年末調整とは、

 

 

1年間の「あなたの」所得税の金額(年税額といいます)を

 

 

確定させ、毎月、「差し引かれている」所得税の1年分の合計額

 

 

との差額を返したり(還付)することです。

 

 

ココが一気にハードルが上がる部分です。

 

 

差額?

 

 

毎月、差し引かれている所得税と、年末調整時点で差額が生じるとは?

 

 

どういうこと? という混乱が生じます。

 

 

はい。ここで一つの結論として

 

 

実は、毎月、差し引かれている所得税は、

 

 

概算といって、確定した所得税を差し引いているわけではないんです。

 

 

えっ・・

 

 

理由を書き始めると今回の本編が遠のいてしまうので(笑)

 

 

そこは割愛します。

 

 

 

つまり、毎月、差し引かれている所得税が概算なので

 

 

1年の最後の給与が支給された時(または支給された後)、

 

 

1年分の給与総額に対する、所得税の「1年分の確定額」を計算する必要があります。

 

 

そこで、これまで差し引かれてきた所得税の合計額との差額は

 

 

還付したりしましょう、ということになっています。

 

 

 

例えば、

 

これまで差し引かれてきた所得税の合計額が6万円

 

1年分の所得税の確定額は計算すると5万円だった。

 

この場合、1万円多く差引き過ぎ(差引かれ過ぎ)なので

 

1万円を本人に返しましょう(還付)というイメージです。

 

一応、補足すると、毎月、差し引かれている所得税は

 

概算とはいえ、少し多めに差し引く計算になっているので

 

年末調整、イコール、還付される、みたいなイメージが定着しています。

 

 

 

 

 

2.基・配・所

 

 

正しくは、

 

「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」という書類です。

 

すごいタイトルですね。

 

 

 

他にも

 

・扶養控除申告書

 

・保険料控除申告書

 

年末調整に関連して本人が確認したり、記入すべき書類がありますが、

 

今回の記事では「基・配・所」を中心に書きます。

 

 

 

 

まず基・配・所の見た目はこんな感じ

 

 

 

 

 

この1枚の書類に、四角枠が3つあります。

 

 

・左側( 本人の基礎控除額を確定するための記入箇所 )

 

 

・右側( 配偶者(特別)控除を確定するための記入箇所 )

 

 

・下側( 年間給与が850万円を超え、かつ、一定要件に該当する方が記入する箇所 )

 

 

 

念のため基本的なことを書いておきます。

 

 

この書類は、何を明らかにしたいか、というと

 

 

所得税計算の基礎である「所得」を確定するため

 

 

給与収入から差し引くことができる所得控除の金額を明らかにしたいんです。

 

 

所得控除の金額が大きいほど、所得税の計算基礎となる「所得」が少なくなるため

 

 

所得税も少なく済みます。

 

 

つまり、記入者(本人)の所得税計算を有利に(正確には「適切」に)するため

 

 

きちんとこの書類を書いて、

 

 

不利な所得税計算にならないようにしましょう、という書類です。

 

 

 

 

 

【基礎控除】:左側

 

 

最大で48万円の控除を受けられます。

 

 

・給与所得(画像の左の四角枠(1))

 

収入金額と所得金額を書く欄がありますね

 

 

まず収入金額とは

 

1月から12月に支給された(される)給与の合計額です。

 

非課税交通費を除く、支給合計を書きます。

 

間違えやすいのは、月末締、翌月払い給与の場合です。

 

この場合、1月分から12月分給与の合計を書いてしまうと間違えです。

 

あくまで所得税計算は、支給月をベースとするため

 

〇月分の給与ではなく、1月から12月に支給された給与金額を使います。

 

 

 

 

次に所得金額とは

 

上記の収入金額から給与所得控除を差し引いた金額です。

 

給与所得控除をどのように計算するのか、この記事では割愛しますが

 

難しくありませんので

 

ネットで「給与所得控除 計算方法」などで検索してみてください。

 

 

 

 

・給与所得以外の所得の合計額(画像の左の四角枠(2))

 

 

分かりにくいですね~

 

 

細かい点は割愛しますが、

 

 

ココでのポイントは

 

 

・雑所得などがあれば、

 

収入金額ではなく、収入から経費を差し引いた後の金額(所得)を書くこと

 

そして、

 

・ここに給与所得以外の所得を書けば、確定申告しなくてよい、という意味ではない

 

ということでしょうか。

 

 

あくまでのこの箇所は、

 

基礎控除額がいくらか判定するための記入欄ですので

 

確定申告の要件を満たす(満たしてしまっている)方については

 

別途、確定申告が必要になります。

 

 

 

この箇所のゴールとして

 

(1)(2)の所得金額を合算して

 

例えば、合計が900万円以下の場合、(A)判定ということになり、

 

基礎控除の金額は、限度額48万円をとることができます。

 

なお、A、B、Cという判定は、

 

次の配偶者(特別)控除に関係してきます。

 

 

 

 

 

 

【配偶者(特別)控除】:右側

 

 

最大で48万円の控除を受けられます。

 

 

配偶者がいない場合は、書く必要はありません。

 

 

配偶者がいる場合、

 

・配偶者氏名、生年月日

 

・配偶者のマインバー

 

・配偶者の住所

 

・配偶者の給与収入、所得金額等(上記の【基礎控除】欄の配偶者版というイメージ)

 

・配偶者が国外にいる場合(非居住者の場合)

※「非居住者である配偶者」欄に〇

※「生計を一にする事実」欄にその配偶者に送金等した金額の合計額を記載

※さらに送金関係書類等の添付も必要です

 

を記載します。

 

 

 

ここからの判定がやや分かりにくい。

 

2段階あります。

 

 

第1段階( 「配偶者の本年中の合計所得金額の見積額の計算」欄 )

 

配偶者の「所得」金額の合計額に基づいて

 

①から④の判定を行います。

 

仮にここでは②に判定されたとします。

 

②とは、

 

配偶者の合計所得が48万円以下かつ配偶者の年齢が70歳未満のケースです。

 

②と判定された場合は「区分Ⅱ」欄に②と書きます。

 

 

 

 

第2段階( 「控除額の計算」欄 )

 

控除額の計算という欄に目を移します

 

①列、②列、③列、④列(④列は長~いです)があることを確認

 

上記の第1段階の判定が②でしたので

 

②列目に着目します

 

 

そして

 

A行、B行、C行があることを確認

 

先ほど「基礎控除」ではA判定でしたので

 

A行を見ます

 

②列目のA行をみると38万円と書いてあります。

 

はい。あなたの配偶者控除は、38万円、という計算が終了です。

 

 

 

 

 

 

【所得金額調整控除】:下側

 

 

この箇所は、年収850万円超の方のみ記入します。

 

 

例えば、年収が870万円でした。

 

850万円を超えています。

 

まず左側の「要件」欄にチェックを入れます。

 

・本人が特別障害者

 

・同一生計配偶者が特別障害者

 

・扶養親族が特別障害者

 

・扶養親族が年齢23歳未満

 

つまり、年収が850万円を超えていても

 

上記4つの要件いずれにも該当しない場合も記入不要です。

 

 

 

ここでは4つ目の要件

 

扶養親族が23歳未満に該当したとして話を進めます。

 

 

 

要件欄の右隣りに「扶養親族等」情報を記入する欄がありますので

 

その箇所に必要な情報を記入します。

 

 

 

この「所得金額調整控除」欄の記入自体は、これで終了です。

 

 

 

先ほどまでの「基礎控除」「配偶者(特別)控除」欄では

 

書類から、いくら控除されるのか分かるようになっていましたが(控除額が書いてある)、

 

この欄には控除額が書いてありません。

 

 

 

結論として、対象者は、最大で15万円の控除ができます。

 

 

 

上記のケースでは以下の計算で2万円控除されます。

 

 

(年収870万円-850万円)×10%=2万円

 

 

 

なお、この制度(所得金額調整控除)は、

 

 

令和2年から給与所得控除が引き下げられたため、

 

 

年収850万円超の一定の給与所得者が不利になる結果となったため

 

 

その不利を解消するために設けられました。

 

 

 

 

・・・

 

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