意外な容疑者 10

 

しかし、どうしても母が生きていた頃を思い出してしまい、口に出してしまいます。

父は歯を食いしばって目を強く閉じていました。

彼の松葉杖の取っ手から、ぎゅううぅぅ、と力のこもった音が聞こえてきます。

けどな。ユウイチ、これから俺たちよりも辛い思いをする人がいるんだ

誰のことか、言われずとも分かっていました。

裁判長こそ今から僕たちが味わった地獄のような時間を経験しなければなりません。

しかも真実へ近づこうとすればするほど真綿で首を絞められるような思いをするでしょう。

分かってるよ。それでも真実を見つけないといけないでしょ

ああ。俺たちのハオリは何をしたって生き返らない。だが、あの少年がいたからこそユウイチを失わずに済んでいる。あの子にとっても、祖父はとても大事な存在だ

それも分かっていることです。

どうすれば良いのかな? このまま真実を隠した方が良いの?

いや、全力で全てを明かせ。だが、お前も覚悟しなければいけない

……

お前には俺とハオリの血が通ってる。必ず最高の答えを突きつけてくれるだろ?

いつもより冷静な口調です。

 

〔つづく〕

 

登場人物

遠崎悠一  主人公

藤堂奈々  ナナさん。弁護士藤堂姉妹の三女

裁判長   十代で裁判官になった天才少年

遠崎雄太  主人公の父親  


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作  者 草薙香(くさなぎかおり)


編集掲載 緋鷹由理(ひたかゆり)


文月鈴太郎(ふみづきりんたろう)の小説


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