意外な容疑者 9

 

不意に部屋の入り口が開けられました。

係官に案内されてやってきたのは僕の父です。彼は松葉杖をつきながら近づいてきました。そして満面の笑みで大声を張り上げます。

ユウイチ! やったな! もうすぐ無罪だぞ!

うん。でも、僕はまだ容疑者なんだけど、父さんがこんなところに来ていいの?

裁判長とノドカちゃんがオッケー出してくれたわけだ! それにしても、ユウイチはずっと冷静だったな! なんかベテランの被告人って感じだったぞ!

最低の褒め言葉だね

すっかり元気を取り戻していて良かったです。

僕の母の死を知ったときはこの世の終わりを迎えたような消沈ぶりでしたが、今ではそんなことさえ忘れてしまったかのようです。

しかし、それこそが大人の強さなのかもしれません。

僕だって母の死を知ってからナナさんに再会するまでの三日間は生きた心地のしない時間でした。父はそれを数分で克服し、子供のようにはしゃいでいます。

さて、そろそろ帰り支度して待っているぞ! もうすぐ終わりなんだろ?

うん。でも、もう母さんはいないんだよね……

大丈夫だ! ユウイチなら1人でもやっていける! お金はちゃんと稼いでくるから心配するな! ハオリのことは……ハオリの……ことは、な。いや、今はお前がいるだけでも十分だぞ

出来るだけ避けた方が良い話題だったかもしれません。

 

〔つづく〕

 

登場人物

遠崎悠一  主人公

藤堂奈々  ナナさん。弁護士藤堂姉妹の三女

裁判長   十代で裁判官になった天才少年

遠崎雄太  主人公の父親  


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作  者 草薙香(くさなぎかおり)


編集掲載 緋鷹由理(ひたかゆり)


文月鈴太郎(ふみづきりんたろう)の小説


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