意外な容疑者 4
失敗すれば心証を悪化させて有罪が確定するでしょう。
しかし、今までも常に同じような状況だったのです。今さら退けません。
「1人だけ思い当たる人がいます」
「誰かな~?」
「裁判長。あなたのおじいさんです」
「……え?」
少年は目を丸くして、カランッ、と木槌を落とします。
条件が合うから言ってしまったものの、正直、高層ビルの最上階にあるガラスを割って外に飛び立ったような気分です。
あとは身を任せて落ちるしかありません。横へそれることは不可能でしょう。
法廷内の時間がすっかり凍り付いていました。それを砕いたのはノドカさん。
彼女は両手を上げて机を、バァン、と叩きます。同時にネコさんの立体映像が現れました。
映像に出てきたネコさんは驚いて背筋を伸ばします。
「ほ、本官はサボってないぞ! これでも一生懸命なんだ!」
なぜか挨拶代わりに言い訳をし始めましたが、ノドカさんは意に介する様子もなく大声を出します。
「音子! 今日の裁判長を覚えているかしら?」
「ああ。ありゃあ、大物裁判官のお孫さんだろ? たしか断罪の城柳ってあだ名がついてるんじゃなかったか? お孫さんもあの歳で」
「その城柳裁判長の家に車はあるかしら? 白と黒の2台よ」
「よく知ってるな。ちなみにナンバーは4646と9696だ。シロシロとクロクロで覚えやすいよな」
なぜネコさんが知っているのか不思議ですが、彼女の言う通りならつながります。
〔つづく〕
登場人物
遠崎悠一 主人公
藤堂奈々 ナナさん。弁護士藤堂姉妹の三女
裁判長 十代で裁判官になった天才少年
武笛鉄人 ムテキ検事、マッスルを連呼し筋肉を強調
藤堂和花 ノドカ検事。藤堂姉妹の長女
藤堂音子 ネコ刑事。藤堂姉妹の次女
四ノ宮五郎 シノミヤ、ムテキ検事の連れてきた証人
遠崎雄太 主人公の父親
城柳浩司 城柳裁判長 少年裁判長の祖父
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編集掲載 緋鷹由理(ひたかゆり)
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