遠崎雄太の証言 23
ノドカさんは再び、バァン、と机を叩きます。同時に映像が消え、ネコさんの声も聞こえなくなりました。
するとナナさんが眼鏡を輝かせます。
「これでつながりました。ひき逃げ犯とその常連客の特徴も一致しています」
「足りないわ。弁護側の主張はひき逃げ犯と殺人犯が同一人物であることよ。それらをつなぐ肝心のタイヤ痕が残ったカバンもないの」
「それは先ほども申し上げたように、犯人にとって都合の悪いものだから持ち去ったと考えるべきでしょう」
「もしかしたら関係ないかもしれない。それも可能性に含まれている限り、犯人がおじいさんだったとは限らないのよ!」
「そ、そんなあああぁぁぁぁ!」
パリィン、パリイィン、
眼鏡が片方ずつタイミングをずらして割れました。
考えてみれば、先ほどネコさんが映し出された立体映像よりも、ナナさんの感情に連動して割れる無駄機能のついた眼鏡の方が不思議です。
「ゆ、悠一さん! 何か質問をッ!」
なぜか当然のように被告の僕に助けを求めています。この瞬間の従姉の情けなさといったらありません。
〔つづく〕
登場人物
遠崎悠一 主人公
藤堂奈々 ナナさん。弁護士藤堂姉妹の三女
裁判長 十代で裁判官になった天才少年
武笛鉄人 ムテキ検事、マッスルを連呼し筋肉を強調
藤堂和花 ノドカ検事。藤堂姉妹の長女
藤堂音子 ネコ刑事。藤堂姉妹の次女
四ノ宮五郎 シノミヤ、ムテキ検事の連れてきた証人
遠崎雄太 主人公の父親
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編集掲載 緋鷹由理(ひたかゆり)
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