遠崎雄太の証言 22

 

今度は父がたずねます。

でも、どうして俺たちの家が分かったんだ? 気になっちゃうだろ!

可能性があるとすれば……被害者の勤務先で聞いたとか

ありうる話です。しかし、裏づけがなければ今までの話もただの憶測ということになります。

ノドカさんは突然、バァン、と机を叩きました。同時に中央の無駄に広いスペースにネコさんが現れたのです。

おそらく立体映像なのでしょう。

そこに映っている彼女は耳に手を当てて「あいよ」と返事しました。その声は法廷内にセットしてあるスピーカーから発せられます。

和花検事殿かい? 本官にご用かな?

鎧を着なさい。あなたも戦場に来てるのよ

また本官を法廷に映してるのかい。サービスしとくべきか?

そういいながら自分の胸元のボタンに指をかけました。なぜか傍聴席の方から「おぉ」と声が聞こえてきます。そのほとんどは男性だったでしょう。

検事の従姉は妹の挑発的な発言に気を止めず用件を言います。

被害者の勤め先で聞き込みをしなさい。誰かが被害者の家を特定するような

もう聞いてる。どうやら常連客の1人が聞いてきたみたいだな。ハンカチを返したいと言っていたが、住所を聞いたところで店に預けたらしい

常連客の特徴は?

高齢者だな。なぜか翌日から姿を見せてないらしい

分かったわ。引き続き捜査をしなさい

へいへい

 

〔つづく〕

 

登場人物

遠崎悠一 主人公

藤堂奈々 ナナさん。弁護士藤堂姉妹の三女

裁判長   十代で裁判官になった天才少年

武笛鉄人 ムテキ検事、マッスルを連呼し筋肉を強調

藤堂和花 ノドカ検事。藤堂姉妹の長女

藤堂音子  ネコ刑事。藤堂姉妹の次女

遠崎雄太 主人公の父親  


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作  者 草薙香(くさなぎかおり)


編集掲載 緋鷹由理(ひたかゆり)


文月鈴太郎(ふみづきりんたろう)の小説


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