遠崎雄太の証言 20
標的となった少年裁判長は完全に目をそらしながらこう言います。
「えっ? あぁ~。怖いけど受理しとくね~」
半ば強制的に押し付けられた形でした。
そして筋肉検事は敬礼に見せかけたポージングをとって僕の父に声をかけます。
「では、ワタシはこれでぇ! ふぅん! 失礼するッぞ!」
「次もよろしくな。若きマッスル検事」
「マッスルグッバアアァァァイ!」
彼はノドカさんの隣で沈むようにしながら姿を消しました。
それにしても、証拠品一つ渡す姿を見るだけでかなり体力を使わされたような気がします。
出来れば二度と出てこないことを願っておきましょう。
ノドカさんは肩をすくめました。
「それで? 今の証拠品に何の意味があったのかしら?」
急に現実へ引き戻されるような発言です。
彼女の言葉に対して、弁護士のナナさんは眼鏡のふちを、とんとん、と叩いてからこう言いました。
「ある証人は、犯人が転落した際に怪我をした、と言ってました。見ての通り、テーブルは砂時計のようになっていて、中心の球体が外れると鋭利な円錐がむき出しになります。つまり、これが崩れて落下した際に足を貫かれた可能性が高いです」
〔つづく〕
登場人物
遠崎悠一 主人公
藤堂奈々 ナナさん。弁護士藤堂姉妹の三女
裁判長 十代で裁判官になった天才少年
武笛鉄人 ムテキ検事、マッスルを連呼し筋肉を強調
藤堂和花 ノドカ検事。藤堂姉妹の長女
藤堂音子 ネコ刑事。藤堂姉妹の次女
遠崎雄太 主人公の父親
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編集掲載 緋鷹由理(ひたかゆり)
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