遠崎雄太の証言 19
もちろんポージングも動きます。はい、動きます。
「ワタシのぉ! ふぅん! 筋肉レェイダァアがぁ! ビンビンッだあああぁぁぁぁ!」
手はほとんど拳を握っていてよく見えませんが、球状の何かを持っている様子。
それを見た父までも「うおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!」と叫びだしました。二人の間で何かが共鳴しています。
「きたぞ! こいつは真実への片道切符!」
「ワタシの筋肉がぁ! 暴れ! うねり! 叫ぶうぅ!」
「行くぞ!」
「必殺ぅ!」
「テーブルパアアァァァァァツ!」
最後には二人の声が見事にシンクロして法廷中に響きました。その音量だけでもビリビリと体の芯まで響いてきそうでした。
そして筋肉白タイツのムテキ検事はそれを、コトッ、と丁寧に机の上に置きます。
それでも父と彼は叫びます。
「さぁ、若き裁判長よ!」
「レッツリセプション!」
その矛先が自分でなかったことに安心してしまいました。
〔つづく〕
登場人物
遠崎悠一 主人公
藤堂奈々 ナナさん。弁護士藤堂姉妹の三女
裁判長 十代で裁判官になった天才少年
武笛鉄人 ムテキ検事、マッスルを連呼し筋肉を強調
藤堂和花 ノドカ検事。藤堂姉妹の長女
藤堂音子 ネコ刑事。藤堂姉妹の次女
遠崎雄太 主人公の父親
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編集掲載 緋鷹由理(ひたかゆり)
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