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くさもんのブログ

うわさのブログというものをちょっとさわってみました。

日々のことを徒然なるままに。

レコード喫茶「レコレト」のイベント日記中編。



これまで、このお店のイベントには2回お邪魔した。
1回目は演奏会、(自分にとっての)2回目はレコード鑑賞会だったが、そのどちらにも、とあるコラボ企画があった。
超高級レコードプレーヤーのお披露目である。

作っているのは、我らが地元茅ヶ崎市に本社を置く「由紀精密」という会社。

宇宙・航空・医療などといった妥協が許されない業界向けに超精密な金属加工を行うスペシャリスト集団だが、いわゆる「B to B」な企業のため、世間一般にはあまり知られていないと思う(もちろん、自分も知らなかった)。
数年前から製造を始めたレコードプレーヤーが、この会社にとって初めての「B to C」なのだそうだ。

そして、レコレトでのイベントには、その現行モデルである「AP-01」をお持ちくださった。
お値段、約400万!!!



まず特徴的なのはその見た目。
レコードというと、「アナログ」「温もり」「木目」といった言葉を連想する人も少なくないかもしれないが、本機はそうしたイメージを置いてけぼりにするかのような超メタリックなデザイン。
好みは分かれると思うが、自分は割と好きかも。

ただ、何と言っても最大の特徴は、金属加工のスペシャリストならではの視点・技術・アイデアがふんだんに盛り込まれた点だろう。前回も今回も、社長であり本品を企画・設計した張本人でもある松永純氏が直々に説明をしてくださった。



その数あるノウハウのうち一番印象に残っているのが「ターンテーブルを本体から切り離しコマのようにしている点」だった。
図に書くとこんな感じ。



本体の不要な振動がレコード盤の回転に悪影響を及ぼさないよう、物理的に切り離してしまう。
それを実現するために、唯一本体と接触する土台の1点には、摩擦係数の少ない特殊な金属を使う。
ブレのない回転を実現するために、コマの軸の周りに磁石を取り付け、その反発力でもってブレを極小まで減らす。
そのためには磁石の磁力を十分調整する必要があるが、近くにあるトーンアームに磁力の悪影響を及ぼしてもいけないので、「コマの軸の安定」「トーンアームへの影響」という2つの観点で磁力を調整しなくてはいけない
(これがかなり大変だったらしい)。

これはお話のほんの一部で、ほかにも様々なノウハウ・苦労点を説明いただいた。もちろん、我々素人には難しすぎて説明しなかったネタも沢山あるのだろう。

こうした技術は音質にも見事に直結しているようで、国内のみならず海外でも非常に高い評価を受けているようだ。


で、ちょっと面白く、それでいてヒヤッとしたのが、ほかの参加者から「高い評価を受けて何台くらい売れたんですか?」というド直球な質問が出たこと。
それに正直に答えた由紀精密側にもちょっと驚いたが、まぁなんだ、お値段がお値段ということもあり、非常に高い評価と販売台数は必ずしも比例するわけではないよね(^_^;)


ただ、大事なのは単にソロバンだけ弾いていたら、こんな変態(誉め言葉)な商品は絶対に企画も製造も販売もされなかったこと。

とある人間のロマンが暴走した。それが、社長という力を持った人間だった。
そうした熱意と偶然が無ければ、こんな変態(誉め言葉)な商品は絶対に企画も製造も販売もされなかったこと
(大事なことだから二回言いました)。

当たり障りのない商品ばかりを取り扱っていたら、企業としては安定するかもしれないが商品としての魅力はない。
超大袈裟に言うと、こうした暴走と偶然があるからこそ、文化というものは維持できているのではないだろうか・・・。
そんなことすらすら思わせる商品だった。

アナログをやらない自分が言うのもなんですが、いちオーディオマニアとしても地元民としても誇らしい。
作ってくれてありがとうございます。


個人的には、この金属加工技術で、今度はデジタルオーディオ界にも殴り込んでほしい。
とりあえずは、CDでもスタビライザーを使用している機種はあるので、純正品に代わる超精密なスタビライザーとか。
ゆくゆくは、かの47研究所の「ピットレーサー」に代わるような超精密CDトランスポートとかも面白そう!




数年前の雑誌記事ではステンレス製のインシュレーターも開発していたとのことなので、その商品化も気になる。
アナログにしろデジタルにしろ共通にしろ、今後の展開からまだまだ目が離せない会社でした。



それにしても、
「オーディオとは全く関係ない会社だが、社長の趣味が暴走してオーディオ製品を作ってしまった」
なんて、以前もどこかで聞いたことがあるなぁ・・・。
世の中にはこんな人もいるんだ、でもこんな人にはもうお目にかかれないだろとか思っていたら、まさか地元茅ヶ崎に同じような人が出てくるとは。







世の中、広いんだか狭いんだか・・・。
あと一回だけつづく。