コートジボワール共和国のクリバリ首相が61歳の若さで急逝されました。

 

次の大統領と目されていた方です。日本アフリカ友好横浜市会議員連盟事務局長として、心からお悔やみ申し上げます。

 

横浜市とコートジボワールの交流協力関係の象徴として、昨年横浜で開催された第7回アフリカ開発会議を記念した議場演説をクリバリ首相に行っていただきました。

 

2018年にコートジボワールを訪問した際に仕込んだものでした。

 

演説頂いた内容は、僕らが行っているアフリカとの自治体外交の意義を本当によくご理解いただいているもので、

 

海外、特にアフリカとの交流については、市会議員がそんなことやる必要ないと多くの方々から言われていましたので、首相からこの演説をいただき、当時は涙が出ました。

 

子供たちに是非読んでほしいと思いましたので、ここで全文を掲載させていただきます。

 

2019年8月27日 市会本会議場 (写真は神奈川新聞より)

 

皆様こんにちは。 横浜市長、横浜市会議長、横浜市会議員の先生方、まず初めに、この横浜という美しく温かいおもてなしの心にあふれた町にお招きいただき、到着時から細やかなお心 遣いで私と代表団を厚く歓迎していただきましたことを、心より御礼申し上げます。 

 

冒頭にあたり、私に課せられた任務を務めさせていただきたいと思います。それは コートジボワール共和国アラサン・ウワタラ大統領閣下より仰せつかってまいりました心からのメッセージを皆さまにお伝えするということです。 

 

大統領は2013年の第5回アフリカ開発会議に参加され、横浜に滞在されたときの 素晴らしい思い出を今でも大事にしているということを皆様方にお伝えさせていただきます。 

 

大統領は第7回アフリカ開発会議のために再び横浜を訪れることを願っておりましたが、残念ながら日程の都合上、今回の訪日を叶えられませんでした。 

 

市長、市会議長、市会議員の先生方、御臨席の皆様、この横浜市議会の歴々の皆様方を前に、アラサン・ウワタラ大統領閣下に代わり言葉を述べさせていただきますことは私にとってこの上ない喜びです。

 

まさにこの場所で、ガーナ共和国のジョン・ア ジェクム・クフォー元大統領、そしてベナン共和国のトマ・ボニ・ヤイ元大統領が、それぞれ 2008年の第4回アフリカ開発会議、2013年の第5回アフリカ開発会議開催の際に演説をされました。

 

横浜市はアフリカ開発会議、通称 TICADの開催地として、1993年に日本政府がこの讃辞に値する素晴らしいイニシアティブを開始して以来、今回の TICAD7で実に3度目の受け入れを行っていらっしゃいます。

 

この会議の目的はアフリカ諸国と日本政府との間で、発展に関するハイレベルな政治対話を推し進めるとい うものです。この志高き目的によって、今日、TICAD の共催者とも呼ぶべき複数の機関が日本の取り組みに参加しています。世界銀行、国連開発計画(UNDP)、アフリカ連合といった機関です。

 

横浜市が 3 度にわたって日本とアフリカ諸国の重要な会合の開催地として選ばれたのは、決して偶然からではありません。

 

2008年以来、横浜市当局は、横浜市とアフリカ大陸が親密な関係になるよう、さまざまな特筆すべき活動を行ってきたからです。 そのうちのいくつかをご紹介させてください。

 

TICADⅤと TICADⅥの際に横浜市とアフリカ諸国の間の強固なパートナーシップが結ばれました。

 

水道分野ではこれまで、アフリカ47か国から574名の研修員を受け入れ、廃棄物管理では 2017年以来、 環境省やJICAをはじめとするさまざまな機関と共同で「アフリカのきれいな街プラットフォーム」を立ち上げられました。

 

また各駐日大使館を通して、横浜の小中学生とアフリカ各国との交流プログラムも実施されています。「アフリカとの一校一国」 と呼ばれるこのプログラムにはこれまで横浜市内の80校が参加し、複数のアフリカ各国との絆を結んでいます。そして今日ここに、横浜市の若い小学生の皆様がいらしているということを非常に嬉しく思います。 

 

そしてまた、横浜市が女性の活躍推進に関する課題に積極的に取り組まれていることも挙げさせていただきたいと思います。このようなさまざまな活動によって、横浜市が日本の数ある都市の中でも最もアフリカに近い都市と考えられるのはきわめて当然なことです。 

 

市長、市会議長、市会議員の先生方、御臨席の皆様、無私無欲で守らなければなら ない原理・原則への信念、この原理・原則の実現のために必要なあらゆるエネルギーをたえまなく供給し続ける推進力、これこそがまさに情熱の表れです。

 

日本はアフリカに対して情熱を抱いてくれています。日本は、力を増すことのできるアフリカを信じてくれています。そしてその信念が 1993年以来TICADの開催として明確に示されました。

 

当時、このアフリカ大陸の未来を信じる者などいなかった時代です。日本の先駆的な取り組みに端を発し、今日では他の国々もまたアフリカと、この確かに力を増しているアフリカと、パートナーシップを結ぶに至っています。

 

実際、アフリカはこの20年間に多岐にわたる分野において目覚ましい進歩を遂げてきました。

 

経済レベルでは、アフリカ全体の年間経済成長率は 2016 年を除いて世界平均より高い水準を維持しており、自国の優越性を示したいわけではありませんが、コートジボワールのように、7~10%もの成長率を達成した国もあります。

 

サハラ以南のアフリカ諸国への投資は官民合わせて増加の一途をたどっており、特に海外からの直接投資は2010年に250億ドルを超え、2017年には420億ドル以上となり、70%の伸びを達成しました。

 

こうした増加は、ビジネス環境の改善のためにアフリカ各国政府が実施した改革によるところが大きいと、世界銀行が発行する「Doing Business」報告書でも 評価されています。

 

アフリカ諸国はまた、とりわけ国際社会が見守る中で、強固かつ安定したマクロ経済体制を維持するべく努力を続けています。社会レベルでは、アフリカ全体の極度の貧困率は 1990 年には 57%でしたが、2012年には43%そして2015年には 35%と減少を続けています。

 

最後に、政治レベルにおいては、紛争の数が大きく減少したことにより、民主主義と個人の自由が強化されてきています。アフリカは国家権力を勝ち取るための手段としての暴力的なクーデターや武力紛争を繰り返す悪循環から抜け出すことができました。

 

しかしながら、アフリカ大陸のいくつかの地域では、テロの脅威にさらされ続けているところもあります。この点においては国際社会に支えられながら、アフリカ各国政府と地域ならびに大陸レベルの関係機関が、 各国の政治的安定、平和、安全の確保のために、さまざまな取り組みを行っています。 

 

アフリカは直面する課題に立ち向かう能力があると確信しておりますが、アフリカ諸国が今日のレベルに達するまでの経済的な発展を遂げることができたのは、私たちのパートナー、とりわけ日本からの技術的、資金的な支援があったからに他なりません。 

 

日本はその経験やノウハウを共有するにとどまらず、アフリカが自らの発展モデルを考案し、それを自分たちで成し遂げられるよう導いてくださったのです。

 

そうした日本の強い意志に感謝の意を表したいと思います。 市長、市会議長、市会議員の先生方、御臨席の皆様、このような背景において、私は次の分野での協力関係を期待しています。

 

まずはインフラの格差を是正することです。ここ何年もの間、計り知れない努力がなされてきたにもかかわらず、アフリカ開発銀行によると、アフリカはインフラ需要を満たすために年間およそ 1,080 億ドルを必要としています。 

 

2つ目は、若者の教育と養成です。アフリカ大陸の人口のおよそ4分の3は35歳以下の若者ですので、これはまさしく最優先課題です。特にテクノロジーに力を入れていかなくてはなりません。 

 

3つ目の協力分野は、日本の民間セクターと Win-Winの協力関係によってアフリカの産業化を推進するということです。 

 

市長、市会議長、市会議員の先生方、御臨席の皆様、次に個々の協力関係について 触れたいと思います。

 

横浜市とアビジャン自治区が維持している素晴らしい関係は非常に喜ばしいことです。

 

この友好関係は 2016年にケニアのナイロビで開催されたTICADⅥに端を発し、2017年にコートジボワールのアビジャン自治区と日本の横浜市との間で交流協力共同声明への署名という形で見事に結実したのです。

 

2017年9月10日から 13日にかけてアビジャン自治区のロベール・ブグレ・マンベ知事が横浜を公式訪問いたしました。その後、2018年4月23日から26日にかけて、横浜市の代表団がアビジャンを訪問されました。25名からなる大規模な代表団で、得られた情報によりますと、その時の代表団は横浜市が海外派遣された中でも、かつてない大規模なものであったということでした。 

 

コートジボワールに示してくださいました敬意に感謝申し上げます。また、アビジャン自治区に示してくださいました敬意にも感謝申し上げます。 

 

御臨席の皆様、ここで私は桜岡小学校の皆様がこの場にいらしていることについて 触れないわけにはまいりません。

 

桜岡小学校はコートジボワールのアビジャンにあるアトランティッド国立小学校と交流を行っています。

 

これもまた横浜市がアビジャン 自治区とのパートナーシップを永続させようとする強固な意志の表れです。

 

未来を引き継ぐのは子どもたちであるということは誰もが知るところです。将来第一線で活躍するのは現在の子どもたちであるということもまた、周知のことです。

 

2つの学校間に交流事業を確立した横浜市の素晴らしいイニシアティブに私が敬意を表するのはそのためです。

 

横浜市長、横浜市会議員の先生方、こうしたあらゆることが横浜市とア ビジャン自治区との素晴らしい関係、そして両都市間を超えた日本とコートジボワールの素晴らしい関係を物語っています。このことを大変喜ばしく思うとともに、コートジボワールへのご信頼に心より御礼申し上げます。 

 

市長、市会議長、市会議員の先生方、御臨席の皆様、私は本パートナーシップを通じて、コートジボワールがとりわけ次の分野で横浜の経験を模範とできることを期待しています。

 

それは廃棄物管理、道路網管理、女性のエンパワーメント、汚水処理、若者との対話ならびに若者の潜在能力の活用です。 

 

アフリカと横浜市は、双方にとって有益な成果をもたらし、また産学官のセクターの相乗効果につながるようなアフリカの開発と経済成長を目指し、同じ決意のもとに邁進し、忍耐強く未来を構築しています。

 

確かにアフリカと日本の間には地理的な距離はありますが、1993年のTICAD開始以来、共に進歩の道を歩んでまいりました。 

 

協力と相互信頼からなる共通の意思、この情熱こそが私たちを動かしています。アフリカと横浜は未来に対して同じビジョンを持ち、光り輝く未来を見ています。 

 

市長、市会議長、市会議員の先生方、御臨席の皆様、私は次の希望にあふれる言葉で挨拶を締めくくりたいと思います。 そしてあらためて私たちに示してくださいました温かいおもてなしに御礼を申し上げます。

 

 

日本に栄光あれ。 

アフリカに栄光あれ。 

横浜とアフリカの協力関係に栄光あれ。 

横浜とコートジボワールの協力関係に栄光あれ。 

 

 

御清聴どうもありがとうございました。