くさまです。

 

 

今日は委員長を務める横浜市会温暖化対策・環境創造・資源循環委員会の開催日で、全ての議案審議が終了した後、各会派ごとに、11月の委員会海外視察について意見交換(所感報告)をしました。この報告は議事録にしっかり残ります。

 

全国的に批判が多い地方議会の海外視察。議会局職員もハラハラしていたかもしれませんが、今回は共産党議員の方からも非常に有意義だったという評価を頂き、本当にやってよかったと考えています。

 

ちゃんとした海外視察・海外派遣は、国際都市として本当にどんどんやっていくべきです。

 

僕の委員長報告について掲載させていただきます↓

 

まずは委員会委員の皆様に視察に対するご協力に改めて感謝申し上げます。
 

最速で2026年の横浜花博誘致を目指す横浜市議会にとってみれば、超党派で、実際の花博を視る機会は恐らく委員会視察しかできませんので、今回、委員会として特に台中花博を視察できたことは大変有意義だったと思います。

 

個人的には、トルコのアンタルヤ花博、そしてオランダのフロリアードに次ぐ、3か国目の花博視察でしたが、トルコやオランダの取り組みを把握し、横浜における議論も経たうえで、台湾で2回目の開催となる台中花博を実際視察して、より多くの問題や参考点を感じることができました。

 

台中花博は3つのエリアに別れていますが、今回僕らは、30ヘクタールのメイン会場である后里馬場森林会場に行きました。

 

特に2つのポイントを申し上げたいと思います。

 

まず1つ目は花博のテーマ設定と伝え方です。オランダの国際園芸家協会でオストロム会長と話した時も、また、今回も、いかに花博のテーマ設定をし、それを実行していくかが大きなポイントだと思いました。

 

今回の台中花博のテーマ・スローガンは「花現GNP-RediscoverGreen, Nature and People」ということで、「人類が生産を追求する中で同時に大地を愛し、歩みを緩め自然に親しみ、心の扉を開いて開花の音に耳を澄ませるような、幸せな生活の創造を目指す」というものでした。

 

来場予定の800万人が、このテーマを十分理解し、共感してやってくるとは到底思えませんし、それは難しいことですが、このテーマのエッセンスをいかに会場で気づいてもらえるかが重要です。

 

特に今回は会場が3つに別れていますが、その別れた理由は開催地に絶滅危惧種のタイワンヤマネコの生息が認められ、会場をそこから外さなければならなかったからということで、台中市や台湾政府のタイワンヤマネコ保護のための会場変更の決定をAIPHは高く評価し、台中国際花博から、台中世界花博に、ランクは同じb1ですが、格上げされました。なので、台中花博は2010年台北花博よりも国際ランクは上という評価になります。

 

この経緯は、今回のテーマを来場者に理解させるためには絶好のもので、かつ、会場内でも「発見館」というかたちでうまく伝えていました。

 

また、タイワンヤマネコとともに、タイワンサクラマスや原生林、また、台湾の先住民などの展示も分かりやすく行うことで、「花や緑がきれい」だけではなく、より今回の花博テーマを感じることができるつくりになっていました。

 

生態系保全が1つのテーマになるので、各国の展示も、元からはえている木などを活かしてつくるという設定になっていて、このようにテーマ設定が徹底していると、より深みをもってみることができると感じました。

 

ここを訪れた小学生や中学生の感想文には「花がきれいで楽しかった」よりも「自然をもっと大切にしよう」「もっと環境問題に関心を持ちたい」という表現のほうが多いのではないのかと考えます。

 

テーマ設定は大変重要だと改めて感じました。

 

2つ目は、花博の経済面です。花卉マーケットとしての花博について、今回の花博、后里会場の「花舞館」では、洋ランオンリーでの展示が光りました。

 

日本よりも温かい台湾は、ハウス栽培含めて洋ランの栽培に適していて、日本も多くの洋ランの苗を台湾から輸入していますし、ランそのものも輸入しています。台湾としては、アジアの中でもコンペティターが増えている中で、国内のラン産業のレベルの高さを、花博を通じ、諸外国の来場者、そして自国民に見てもらうことで、国内のラン産業のプレゼンスを大いに上げていますほか、技術の高さもPRしていました。

 

横浜でも、花博を通じ、国内の花卉ならびに園芸技術を世界にPRしていくべきです。

3つ目として会場マネジメントと食事を含むエンターテイメントですが、我々を案内してくれた会場ガイドさん、日本語ペラペラでしたが、各施設ごとにこうした外国語ガイドと、各種ボランティアさんが多くいらっしゃいました。またトイレも画期的なもので、まずトイレに圧倒されました。

 

食事も会場内での花博弁当はじめ、京都ラーメンからパエリアまで、もうちょっと台湾らしさがあってもいいかと思いましたが、改めて食の重要性を感じました。ここはトルコもイマイチでしたので、横浜では和食がいいかと思います。

花博跡地の問題ですが、タイワンヤマネコが出たために、台中花博跡地はそちらの保全を優先されるということでしたが、台北花博公園では、新たな公共空間の利活用の面で参考になりました。

 

公園内で若手起業家を育成しキャビア作ったり、ファブラボ台北をつくったり、朝4時までやってるダンスクラブをつくったり、台湾最大のe-sports大会、コスプレ大会、コミケなどをやったり、毎週末農業祭を開催し、年間五億円稼いだりするということで、台北市からの補助金はゼロで運営しているということでしたが、恐らく最初の計画はそこまで詰めてなかったのではないでしょうか。

 

トルコでも跡地活用は全くと言っていいほど議論されていませんでしたが、やはり横浜はオランダ方式、特に2020年のアルメールのように「街をつくる」コンセプトでやったほうがいいと改めて感じました。

 

台北市のごみゼロやリサイクル政策も、SDGs未来都市の横浜市として大いに参考になりました。

 

台北市は2002年からファストフード店や小売店、クリーニング店でのレジ袋やプラスチック包装の有料化、2006年からは過剰包装規制を実施しています。2016年4月には、率先して台北市政府関連の施設や学校での使い捨て食器、メラミン食器、ペットボトル飲料を同年8月までに禁止し、2017年3月までに、市の廃棄したプラスチック及び紙がそれぞれ大幅に減少しました。

 

リサイクル政策はかなり野心的で、2000年6月から、家庭ごみに指定有料袋を導入し、2015年には1999年比でマイナス66%という減量効果がありました。


さらに、分別した廃棄物のリサイクル率の向上については、1999年の2.38%から20倍の56.56%とたいへん顕著で、2004年以降の埋め立て処分ゼロです。本当かと思ったら本当に埋め立てしていませんでした。

 

台北市のEVバス政策も本気を感じました。台湾ではガソリン車とディーゼル車の販売を2040年に禁止し、EVなどの電動車に全面的に移行する方針を打ち出し、2030年には、公用車とバスを優先的にEV化し、2035年からはバイクについても全面的にEV化します。

 

台北では特に市内の路線バスの電動化推進計画を進めており、今後4年間で400台のEVバス導入を目指していますが、そのEVバスには日産リーフのバッテリーとモーターが使われていました。

 

日本がモタモタしているうちに日本以上に台湾はじめ中国、アジア諸国が本気でゼロミッションを始めています。ゼロカーボン宣言都市、そしてSDGs未来都市の横浜市として、FCバスを含めて、ゼロカーボンバスの導入を早めるべきです。

 

以上、ご調整いただいた関係局職員の皆さん、台湾の皆様、そして委員会メンバーの皆様へ改めて御礼を申し上げ、委員長所感とさせていただきます。