くさまです。

 

産業界の今年の最大のニュースは、急速的に拡がった世界的なディーゼル規制とEVシフトではないでしょうか。

 

ドイツ・インドは2030年以降、イギリス・フランスは2040年以降、そして年代は決まっていませんが中国もディーゼル車・ガソリン車を販売しないという政府の決定。

 

トヨタを中心に日本企業の十八番であった内燃機関とモーターによるハイブリッド(HV)から、プラグインハイブリッド(PHV)、そして今、内燃機関からの切り替えによるEVおよびFCVへという流れが明確に見えてきましたが、多摩大学ルール形成戦略研究所客員研究員の立場としては、これは環境面というよりも産業面からのパワーが働いているとしか見えません。

 

ネット広告でやたらトヨタのFCVミライを見るなと思ったら、量産体制が整って、最短で1か月で納車という段階まできました。横浜でも今現在おそらく100台近くが走っていますが、当初のスタートが出遅れまだまだ普及はしていません。

 

それでも世界で一番水素燃料電池車が走っているのが日本ですが、日本並みにミライが走っているのがカリフォルニアです。

 

世界最先端の環境規制を進める米カリフォルニア州では、今年から排ガスゼロ車(ZEV)規制を強化しました。来年から同州で自動車を一定の台数販売しているメーカーは、EVなどZEV車を一定比率で販売することを義務付けられ、達成できない場合は罰金を払わなければならなくなります。

 

ここでは、日本のハイブリッド車も規制の対象になりますし、プラグインハイブリッドもそのカウントに若干加わります。

 

要は何かというと、環境面での配慮もそうですが、アメリカのテスラEVを買わせようという動きです。カリフォルニアに本社があるテスラは、EVで世界を獲ろうと画策しています。ハイブリッドでは日本に敵いませんが、EVなら勝てます。また、GMはホンダと燃料電池で提携しましたが、ホンダの技術ももらいながらGMが燃料電池車を出していけば、今ブームのアメリカファーストで外国車に規制をかけて、EVはテスラ、FCVはGMというようなストーリーも簡単に描けます。

 

中国やヨーロッパの国々、そしてインドのタタも、ハイブリッド技術では日本に勝てませんが、構造が簡単なEVなら自国で生産し、流通させることが可能です。

 

環境問題を前面に出しながら自国の産業を振興しようとするルール形成の流れが、今回の一連の動きだとみています。

 

日産のEVアドバンテージがどこまで効くかという話ですが、日産は今やフランスのルノーの傘下ですので、日産のマネジメントはルノーのマネジメントに優先されます。フランスがみすみす日産のアドバンテージをルノーに自由にやらせるわけがありません。日本にとっては結構やばい状況です。

 

ただ、やはりここでも勝負できるのが、水素燃料電池車(FCV)です。環境規制を前面に出せば出すほど、究極のエコカーであるFCVを阻害すうことはできません。インドでもアメリカでも中国でもヨーロッパでも、日本のFCVを売ることが出来ます。

 

が、この日本のFCVアドバンテージもいつまでもつかということになります。今や韓国そして中国も自国企業でFCVを生産することが出来ます。

 

この世界的な競争は、確実に地球の環境に大きく貢献しますが、産業面では日本はまさに瀬戸際です。

 

だからこそ、横浜において水素社会を世界一レベルで推進していく必要があると考えています。自治体間で水素社会推進の善政競争が起こることこそが、日本を豊かにし、地球の環境を守ります。