くさまです。

今年は議会で大都市制度特別委員会の委員を務めています。僕がブログで何回も書かせていただいている「行政区のあり方」がまさに今年度のテーマで、議長からわざわざこのテーマを諮問されています。

都筑を含め横浜市に18ある行政区、1区の平均人口は約20万人ですが、今回は横浜市のほとんどの区よりも人口が少ない人口10万人の新潟県三条市を、視察先に選びました。横浜市の行政区よりも人口が少ない自治体、しかも人口減にさらされている自治体で、存続をかけてどのような取り組みをしているのか、自治の可能性はどこにあるのか、知りたかったからです。

三条市は金物や包丁など、ものづくりの街として有名で、江戸時代から続く三条鍛冶の技術を今も継承し、となりの燕市と連携し、燕三条ブランドを確立しています。10万人の三条市の一番のシティセールス材料は、このものづくりです。

ポイントは、限られている予算の中で、ものづくりを産業政策という点だけではなく、線として、観光政策や教育政策まで最大化するビジョンを市長以下、多くの職員、第3セクター、企業が共有し実行していることにあります。

例でいえば、第3セクターが運営する燕三条地場産業振興センター。
http://www.tsjiba.or.jp/kankou/

地場産品を展示・販売することは勿論ですが、レストランにまでその考えが浸透しています。

 
 
レストランは地産地消で地元農産物やお肉を扱っていますが、食器・カトラリーも地産地消で、ご飯の前に選びます。しかも、これを隣の産直で購入することができます。

 
食後のコーヒーも、ストローまでチタンの加工品で三条市産。

第3セクターが運営する施設のレストランは、全国的に見ても、色んな意味でなかなかチャレンジできない、いわばつまらない現状ですが、このレストランをみただけでも市の姿勢が表れています。

2013年からは「開け!工場! 工場の祭典」という行事を燕市と開催していますが、このイベントをmethodさんという東京の会社と組み、PRも徹底し、4日間で約1万2000人が両市の約60の工場を訪れてます。

 
 
1400万円の事業費も、三条市・燕市が500万円ずつ、参加企業から400万円募って実施しています。類似のイベントは全国各地で開催されていますが、改善を重ね、全国を先導していくという意識が、主催する行政と、協賛金を出しても参加したいという企業に共有されています。

この工場の祭典はイタリアで開催された「ミラノ・サローネ2014」に招待出展、さらに第18回ふるさとイベント大賞で選考委員特別賞を受賞しています。

繰り返しになりますが、これを主導しているのは、人口10万人の三条市役所です。ものづくりという産業政策を、ここまで最大化し、交流人口拡大や移住促進にまで発展させるとともに、この少子化時代にものづくり系大学の誘致まで本気で検討しています。

要は、やればできるんです。
そして、僕は三条市に、市の未来を県や国のせいにしない、自分たちで未来を拓いていこうという自治の気風を強く感じました。

その原動力は、やはりトップである市長のリーダーシップとビジョンの共有です。

横浜市の行政区は、まだまだそのポテンシャルを発揮できていません。横浜市政という大都市のメリットを享受する仕組みの中で、そのバランスを区の独自性にシフトしていってもバランスは劇的に崩れませんし、大都市メリットを維持する中で、区の独自性を発揮させプラスになる可能性のほうが高いと思います。

総合区の導入はその1歩だと思いますし、横浜市役所ではなく、本気で横浜市のことを考えるのであれば、制度でそこに風穴をあけていかなければなりません。

時代は刻々と変わっています。解き放つ時期という認識の下で委員会審議をしていきます。