くさまです。


7月1日から4日間、JICAと横浜市水道局が連携して、アジア各国の水道事業体及び政府の幹部約35人を招聘し、「第3回アジア地域上水道事業幹部フォーラム」が横浜で開催されました。



バングラデシュ、カンボジア、インド、インドネシア、ラオス、ミャンマー、ネパール、パキスタン、フィリピン、スリランカ、タイ、ベトナム、というアジア各国12か国の上下水道事業を担う幹部(水道局長や各機関の総裁クラス)が一堂に横浜に集いました


参加者の皆さんは、それぞれの国の水道事業の経営責任者の皆さんですから、とっても忙しい人たちなのですが、年に1回、4日間も横浜で缶詰めになり、各国の先進事例や横浜の先進技術を意見交換をまじえ、みっちり学ばれます。アジア水道サミットのようなものです。2年前に横浜で初めて開催され、これで3回目です。


なぜこのような重要な会議が横浜で開催されるのか。


それは横浜が日本における近代水道発祥の地であるとともに現在も国内の水道事業をリードしていること、そして、約30年前から、のべ2400名の海外研修生を横浜市水道局が受け入れてきた歴史があるからです。


126年前、日本で最初に近代水道を導入した横浜市水道局は、100周年を迎えた1987年に水道局独自の海外研修員受入事業を始め、2002年まで継続してきました。


2003年からは国際協力機構(JICA)、自治体国際化協会(CLAIR)、アジア太平洋都市間協力ネットワーク(CITYNET)などとの連携による都市間協力を主体とした事業へ転換して実施しています。最近では、2007年から2年間、ベトナム・フエ市においてJICAによる技術協力プロジェクトに全面的に協力し、研修員を受け入れ、2008年5月の第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)横浜開催をきっかけに、毎年、アフリカ諸国からの研修員を受け入れています。


横浜市の自治体外交を考えるうえで、今まで一番実績があるのが水道分野での国際貢献と自治体間交流であり、横浜市の国際政策上、水道は切っても切り離せませんし、国にできなくて自治体にしかできない外交が水道外交です。なぜなら、国は水道事業を持っていませんし、厚生労働省健康局水道課という1つの課が上水の水道法制を担っているだけで、霞が関に現役の水道技術者はいません。


水道は国民の生活や生命を守る一番のインフラですが、その担いは自治体に任されています。まさに横浜市の矜持です。


日本の、そして横浜の「蛇口をひねればどこでも美味しく安全な水が飲める」環境の尊さは、海外旅行好きな方や海外でビジネスをされる方なら、身を以て実感いただいていると思います。


このインフラを支えていくことは並大抵なことではありません。横浜市には水道管だけで約9000キロの延長があり、このインフラは水道料金収入で支えられています。アジア各国はこれから人口が伸び続けますが、横浜はあと6年で人口減になっていく中で、人が減り、節水技術がますます発展すれば水道料金収入は値上げをしない限り減少していきます。


今回のフォーラムでは、民営化やPPPを含め、アジア各国の水道事業体のそれぞれの挑戦を聴くことができました。横浜で研修した皆さんが各国の水道事業体の幹部となり、まさに第一線で活躍されています


僕が昨年から取り組んでいるタイ地方水道公社(PWA)と横浜水道の連携。タイ地方水道公社のラタナ総裁も今回来浜されましたが、ラタナ総裁も副総裁も横浜研修生出身です。


PWAはバンコク以外のタイ国内200以上の水道事業体を管轄しています。横浜市水道局の人事異動で途切れてしまったこの貴重な関係を復活させるよう、全力で取り組んでいます。



市民としてあまり実感がない横浜水道の伝統と歴史と意義。


僕は横浜市会議員として、自治体外交の視点から、これを最大化していきたいと思います。


横浜にしかできないことです。