くさまです。


スペインスマートシティ視察のラストは首都マドリードです。


オリンピック招致で東京に敗れたマドリードですが、スペインの首都で、マドリード州の州都でもあり、マドリード県の県都でもあります。


人口は約325万人。2011年の近郊を含む都市圏人口は541万人であり、世界第57位、欧州では第5位の大都市です。


このマドリード市は、議院内閣制を布いていまして、市長は市会議員の中から選ばれます。市長のほかにも、各政策の担当責任者(大臣級)を議員から選ぶのですが、今回はボナルさんという、若干35歳の議員で、環境政策責任者にお会いする予定でした。が・・・


都筑のくまのルーキー日記


ストライキとデモ対策のため、ボナル氏は急きょ市長と協議へ・・・

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マドリード市では11月5日から清掃局員のストが始まっており、街にはゴミが溢れていました。


報道によれば、マドリード清掃員組合によると、マドリード市内の道路や公園の清掃を請け負っている企業は自社の作業員全体の5分の1にあたる1100人の解雇を発表し、解雇されなかった作業員も40%の給与カットを強いられるということで、それに反対するデモが市内で起こっていました。


これは、オリンピックどころではないなというところです。しかも今後は清掃業務だけでなく、他の業務関係もこのような首切り案件を抱えていますので、経済危機の中、情勢かなり不安定です。


そんな中、マドリード市のサステナビリティー局、ニエト局長が市役所で対応してくれました。


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お城じゃありません、マドリード市役所です。

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右から二番目の女性がニエト局長。


マドリード市議会はルノー・日産アライアンスと2010年に「マドリード市における電気自動車(EV)の普及促進」に関して合意しており、2014年までに以下の10項目達成を目指しています。


•MOVELE-Madrid Planと連動し、今後求められる充電器設置場所の検証をいかに遂行するかについて、検証する

•マドリードにあるルノースペイン本社を充電システムの実証実験基地とする
•カーシェアリングなどの共有モビリティシステムを確立するために、マドリードをルノーEVを投入する最初の都市のひとつとする
•イベント開催などを通じてEVへの理解を醸成し、普及を促進する
•駐車場の充電インフラを整えるためのパートナーを探す
•ゼロ・エミッション車の市内フリート顧客への導入を検討する
•カーシェアリング以外のEVの可能性を検討する
•EV利用者およびEV充電ネットワークを構築する企業等に向けて、その利用を促進するために、現在ある優遇措置だけではなく、更なる金銭的な優遇措置および非金銭的な優遇措置について分析を行う
•マドリード市内の企業等に同市におけるゼロ・エミッションモビリティの構築への参画を促す


それで、以上のような取り組みを進めるために、なんとこの経済状況の中、清掃局のストまで起こってしまう中で、市内タクシーを日産リーフに変えるために、100万ユーロ(約1億3500万円)を予算化しています


この財政難で、日本円にして1億4000万円近い予算を政策投資としてEVタクシーに使う・・・


破たんしていない横浜市でも、EV車への補助金助成総額は3000万円。マドリードの本気さはすごいです。


「横浜ではEVタクシー、充電時間と走行距離の問題で撤退してますよ」と言うか考えたのですが、やわらかく走行距離と充電時間の課題について質問すると、なるほど、タクシーは個人タクシーオンリーで、しかも日本のような長距離営業はほとんどなく、市内中心地がメインのようです。


走行距離が短ければ、EVタクシーでも対応できます。


マドリードでは、JETROの加藤事務所長、また佐藤在スペイン全権大使とも意見交換させていただきましたが↓


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JETRO(日本貿易振興機構)加藤事務所長

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佐藤駐スペイン全権大使(公邸で)


自然エネルギーを既に全体の30%程度使用しているスペインでは、環境意識も高く、特に太陽光や風力とともに、電気自動車の普及も財政難の中、活発に行われており


特に、バルセロナでの日産リーフの製造開始は、地元にとっても雇用が1000人程度増えるため、久しぶりの嬉しいニュースだったとか。


しかも、スペイン国内におけるスマートシティの取り組みは、自治体が先行して行っているので、そこでの日本企業の今後の活躍については、自治体間交流での信頼関係の構築が、より効果的という意見も頂きました。


個人的に進めているFCV(燃料電池車)についての風は、スペインではまだまだという感じです。


自動車で言えば、韓国のヒュンダイが、スペイン国内各地で猛烈なPRを展開しているのを僕らでさえも実感したので、ここはマリノス対レアル・マドリードなど、日産背負ってマリノスが試合やるとか、もう一押しのPRが必要です。


それにしてもマドリード、よく日本製のリーフをタクシーで展開するよう決めてくれました。


思いっきりの感謝と、思いっきりのプッシュをマドリード市役所でしてきました。