くさまです。
先日、うちの学生インターン2名が、都筑区の中村香織区長と、志村利夫副区長にお会いする機会をいただきました。
公務員志望の熱心な学生さんなので、話も弾み、1時間近く意見交換をさせていただいたのですが、インターンからの1つの質問が大変僕らとしては興味深い内容でした。
「区長は議員さんとどう連携されているのでしょうか?」
学生としては当たり前のことを聞いたのだと思いますが、実はこの質問は核心をついています。
思わず区長は僕の顔を見ながら、丁寧に答弁してくださったのですが、
区長の学生への答弁はさておき、僕は「区役所で一番話をしないのが区長」と答えました。
それは別に、中村区長が嫌い!だとかそういう意味ではなくて
現在の横浜市の区長の在り方と、僕ら市会議員の権限の関係から言えば、行政区の区長という存在は少なくとも僕にとっては、議員以上に名誉職でしかないと考えています。
なので、仕事の話は区長にせずに、ほとんど担当課の課長さんにしています。
そもそも都筑区の皆さん、区長の選挙したことありますか?
絶対ないと思います。都筑区などの行政区の区長は、住民から直接選挙で選ばれないし、横浜市の現在の運用で言えば、区長を2・3年間務めると本庁の局長になったり、外郭団体に再就職しています。
横浜市のような政令指定都市の区長の法的権限については、ウィキが分かりやすいのですが↓
<政令指定都市の区長>
政令指定都市において、区長は行政区の事務所の長のことをいう(地方自治法施行令174条の43)。
行政区は特別区とは異なり独立した地方自治体ではないので、区長はその政令指定都市の市長の補助機関たる職員の中から市長が選出したものである。よってこの場合区長は地方公務員の一般職であり、選挙により選出されることはない。政令指定都市市長が行政区長を兼務することはできない。<
中村区長が言ったわけではないのですが、区長経験者の方にお話を聞けば、「区長時代が役人人生で一番楽しかった。」という方がほぼすべてを占めます。
都筑区をはじめ行政区には区議会がない(法的権限が全くない「区づくり議員団会議」はあります(現在権限強化中!))ので、議会からの指摘もほとんどなく、ということは議員対応や議会への資料作成、説明などから解放されるし、
地域に出れば、「区長」として歓待いただけるし
区の独自予算も1億円程度なので、特に予算・決算で悩みに悩んで苦労することもないし
正直、「いい経験をさせてもらった」というのが、区長の本音だと思います。
そして、それは区長に悪気があるのではないと思います。どんな優秀な方が来ても、今の「区長職」の在り方では、自らの力を存分に発揮できる、文化と制度と組織がないのです。
そして、一番不幸なのは地域です。
ブログでは何回も指摘していますが、選挙という民意を反映させるシステムを使って都筑区の未来をかたちづくる制度が、今の横浜にはありません。
誰も都筑区の未来を、本気で、そして法的な裏付を持って描けないし、誰も未来の都筑区のリスクと責任を負えません。ようは、だれも本気になれない制度なんです。
例えば、現在議論している横浜市の新市庁舎は、今の林市長が「リスクは私がとる!」と言って、反対もありながら市長選挙で訴え、当選し、着々と計画が進んでいます。
都筑区の諸課題について「私が責任を取る!」と言って大胆に進められる人は、今、制度的にいません。
僕ら横浜市会議員の区における権限強化を、今、議会基本条例の議論の中で、思いっきり主張している最中ですが
僕はこの「トップが誰も本気になれない区政のありかた」が、一番の制度的課題だと考えています。そして、この制度を改正することが、僕が議員になった理由の1つでもあります。
アプローチは2つ、区選出の市会議員を権限を強化するか、区長になんらかのかたちで民意を与え、権限を強化するか。ということです。
僕は僕として、議会基本条例の中で僕らの権限強化に向けて動いています。だって、今のままでは、選挙の時に「都筑区をこうします!!」という公約は全く法的裏付けがない空虚なものになるからです。(皆さん知っていましたか???)
それとともに、国では行政区の区長の在り方が真剣に議論をされています。国もこれではいけないと共通認識として持っているんです。
また、大阪市は区長公募を既に運用していますし、新潟市もはじめるようです。
色んな課題はありそうですが、現状突破しなければならないのは明らかです。
インターン学生の1つの素朴な質問。大変重要な指摘でした。僕は必ずこの問題を解決していきたいと思います。
別に、僕が権限を持ちたい!というわけではありません。今のままでは、だれが区長や議員になっても同じことだと言いたいのです。制度を変えなければならないし、変えられるのが議員です。
◆大阪日日新聞2013年9月12日
無駄の気付き与える 職員意識改革と防災
小川明彦(大阪市)旭区長
元岩手県職員。東日本大震災では行政の一員として未曽有の災害と対峙(たいじ)し、派遣された大阪市職員とともに被災地を回った。「いつか恩返ししたいと思っていた」と公募区長に手を挙げた。
前岩手県知事の増田寛也氏の下で行革に取り組み、職員を約20%純減させた経験から改革の一歩目は職員の意識改革だと強調する。
就任後、職員に訴えたのは「無駄の削減」。例えば、プリンターの設置位置や、整理整頓、清掃の徹底など。わずかなことだが、その積み重ねが業務の効率化を進め、組織がスリムになると力説する。「要は、気付きです」と。
意識改革とともに力を注ぐのは防災。
震災当時、県庁では沿岸部の市町村と連絡が取れず、大槌町、陸前高田市の役所機能が完全に失われたと判明したのは発生の3日後。その後も情報網が寸断され、現場は混乱した。「情報手段の確保がいかに大切か」-。
8月に衛星携帯電話を区独自で15台購入し、区内の10連合各会、区医師会事務局、常翔学園に各1台ずつ、区役所に3台を配備した。また、細い路地が入り組む住宅密集地の同区は、災害時の家屋の倒壊と火災に備え、車載式の大型消火器も購入。将来的に住宅密集地に100メートル間隔で設置したい考えだ。
◆新潟日報9月7日
4区対象に区長公募、新潟市
北・秋葉・西・西蒲区、14年度モデル実施
新潟市の篠田昭市長は6日、市議会全員協議会で、区の役割や権限強化に向け、北、秋葉、西、西蒲の4区を対象に10月上旬から公募区長を募集することを明らかにした。2014年度からモデル的に登用したい考え。一般任期付き職員として採用し、任期は3年。民間のノウハウなどを活用し、地域の実情に応じた特色ある区政運営を促進するのが目的。
求める人材として(1)高い熱意と意欲(2)経営管理や対外調整能力(3)新たな視点と発想―を有している人を挙げた。地域に精通し、即戦力となる人材を庁内外から募る方針。
篠田市長は「4区すべてで公募区長になる可能性は低いと考えているが、いい人材が手を挙げてくれれば、しっかり面接したい」と述べた。
現在、副区長は総務課長が兼務しているが、公募区長を登用した場合には副区長を専任にする。また地域の個性を伸ばすため、公募区長が目指す施策については、必要に応じて来年度の補正予算などで反映させていく考えも示した。
募集期間は10月1日~11月11日。外部委員を含む選考委員会で書類審査や面接を行い、来年1月上旬に決定する予定。
庁外からの合格者は、非常勤職員として2カ月程度の研修や業務の引き継ぎを行う。
岩手県金田一村(現二戸市)の出身。大阪での生活は初めてだが、旭区は「50年前の農山村のようなコミュニティーが残っている」。自然体で改革に取り組む。61歳。 いわゆる職務的なポストなので、区の未来についての責任は取らなくていいし