2007年、深作健太監督作品です。
当時まだ音大でピアノを専攻していた松下奈緒さんが、
ピアノとは全く関係のない世界で奮闘する姿をお楽しみください。
中身は一応スリラーですが、
あくまで一応です。
意味不明なキャラクター設定。
物語を都合よく進めるためだけのセリフ。
スベるギャグ。
わざとスベってるのは分かるんですけどね。
このわざとスベるのって、ものすごく難しいですよね?
苦笑が漏れればまだいいですよ。
無反応だったらもう目も当てられないわけで…
でも、
この映画を観るにあたっては、
そういうつまらないものにはひたすら目を瞑りましょう。
ひたすらに。
寝ない程度に。
そのうちに気づくでしょう。
これはストーリーそのものよりも、
テクニックを楽しむ映画なのだと。
音楽そのものよりも、
鍵盤を走る指の動きを楽しむかのように。
まず構成が非常に凝っています。
章分けをして、
同時刻を違う視点で描いて。
確か「運命じゃない人」や「桐島、部活やめるってよ」もこの手法を使っていますね。
思い起こせば十数年前、
私、何を思ったか、
脚本スクールに通っておりました。
先生は、脚本のテクニック云々よりも、
まず書いてみよう!
という方針の方で、
30分ほどのドラマを書いてみることになりました。
そこで私、さらに何を思ったか、
いきなりこの手法を使おうとしたんですね。
そしたら先生、やさしくたしなめてくださいましたよ。
なぜ慌てるのかと。
実にごもっともです。
キャラクター毎に時系列の表を作って、
頭の中を整理して、
などというプロセスは一切無視して、
とにかく手っ取り早く宮藤官九郎や三谷幸喜や橋田壽賀子になりたい! という、
常軌を逸した創作熱に浮かされた私が、
早々に執筆を断念したことは想像に難くないでしょう。
すいません。橋田壽賀子はウソです。
で、要するに何が言いたいかというと、
この手法でストーリーを構成するのは、
ものすごく難しい!
鼻息の荒い若者の芽をいとも簡単に摘んでみせるくらい難しいのです。
そしてこの映画、
わざとスベるのには失敗したくせに、
この難しい手法でストーリーを展開することには見事成功しております。
それから恐怖の盛り上げ方も上手いんですね。
化け物から逃げて、
逃げて、
隠れて、
あぁ、やっと諦めてどっか行ってくれたのね…
と思ったら、化け物ドーン!!
やっぱまだいましたぁ~
みたいなヤツです。
お約束ですけどね。
恐怖を盛り上げるためには外せない展開です。
外せないところを外さない。
これがプロというものなのでしょう。
プロのテクニックはやっぱりすごい!
「エクスクロス魔境伝説」は、
☆2つ。