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クサキモさんの映画感想

映画のことなど何一つ分かっちゃいない人間が、才気溢れる人々が精魂込めて創りあげた作品に☆をつけるというイタいブログ。ホントになんも分かっちゃいませんが、映画を観るのが好きです。

この映画の主人公が魅力的な理由は2つあります。


ひとつは、
ジム・キャリーが演じている時点でなんとなく想像がつくかもしれませんが、


「普通じゃない」ということです


そういえば「普通じゃない」という映画がありました。
主演はユアン・マクレガーでした。
このユアン・マクレガー、「フィリップ、きみを愛してる!」では、
フィリップ・モリス役を演じています。
タイトルのフィリップです。
そして、このフィリップを愛してる!のが主人公……


無意味な遠回りでした。


主人公はゲイです。
ゲイですが妻子を持ち、自分を偽って暮らしていました。
でも、あるとき事故に遭い、これをきっかけに一大決心します。


嘘はやめだ。自分に正直になろう!


とここまでは至って普通の話ですが、
普通じゃないのはここからです。


この人は、
自分に正直であるために、
他人には徹底的に嘘をつくんですね。


自分に嘘つかない代わりに他人にはつきますけど何か?


こういう人、いそうでいません。


普通は、他人にも誠実になって正直な自分を受け入れてもらおう!
なんて思いますからね。
でも皆さんどこかで分かっているわけです。
他人に誠実であれば自分を受け入れてもらえるなど幻想にすぎないと。


だからこの人のやっていることには、
ある種の快感を覚えるんですね。
妙に憧れるところがあるんですね。


さて、もうひとつの魅力。それは、


アイデンティティーを見出していないということです。


この主人公は、自分に正直になろうと決心した後でも、
実はずっと自分の存在を否定し続けている人です。


「自分探し」なんていう言葉がありますね。
まあ探す分には大いに探せばいいのでしょうが、
これもし見つかりでもしたら大変です。
「自分はかくあるべき」
っていうのが確立するわけですから、
当然その確立した自分において、
それは正しい。
とか
間違っている。
とか言い出しちゃうわけです。


そんなの、ものすごく気持ち悪いですよね。


この主人公は、自分が何者なのか分からなくて、
迷って、
呻吟して、
あがいて、
結局分かりません。


だからこそ共感できるのです。
魅力的なのです。


さてさて、
ここに挙げたふたつの魅力―
普通じゃないこと。
アイデンティティーを見出していないこと。


これらは、
彼がゲイであること。
本当の親に育てられなかったこと。
を源泉にして湧き出してきたものです。


つまり、彼の行動はすべて、
キャラクターから自然に発したものなんですね。


だから非常に分かりやすいです。


分かりやすいから乗れます。
乗ります。


下ネタのつもりですけど何か?


またぞろとりとめがなくなってきましたが、
ヒマなので思い出したことを書きます。


かつて大河ドラマに「江」という作品がありました。
とりたててどうということはないドラマでしたが、
唯一心に残っているセリフがあります。


「秀吉は大嘘つきです。けれどもその嘘の中に真実があるのです」


実はこの映画にも同じようなセリフが登場します。
偶然でしょうが、違う国の脚本家が、同じようなセリフで語ってみせた心情。


それは強烈な“寂しさ”でした。


「フィリップ、きみを愛してる!」 は、
☆2.5です。