五輪・ワールドにおけるStSqのGOEを見る企画です。やたら長い記事になってしまいましたが、よかったらお付き合いください。
SkatingScoresのElement Queryの「Mean GOE Mark（5点満点）」がベースです。このやり方だと、レベル3だったStSqが上位に来る場合がある・・・テクニカルは抜き、ジャッジにウケたかどうかでStSqを見ます。
SkatingScoresのMean GOE Markは、最高／最低点カットなしで平均GOEを出力するようです。いつもの★（GOE素点合計）と、似た感じで出てくるってことですな。
で、グラフを作りました。「各試合（五輪・ワールド）のStSqにおける、Mean GOE Mark TOP5の平均値」です。5位タイの選手が複数いると、グラフが下へ引っ張られるんですが・・・だいたいの様子は掴めると思います。
まずはSP↓
GOE±5になってすぐは、男女差がほとんどなかったのが、北京以降は・・・
そもそもこの企画をやろうと思ったのが、「モントリオールワールド、SP StSq1位だったルナヘンに、+5押したの2人だけ？？」って思ったからなんです。※さいたまワールドでは4人押してた
これ・・・どう見るべきなんでしょうねぇ。北京シーズンに男子のGOEインフレが一気に進んだってことなのか。
近年、ワールドでMean GOE Mark4以上を取る選手が、男子は5～6人いるのに、女子は 1～2人です。ロシア勢の不在が響いてるのか・・・実際2019ワールドは、↑に載せた中では、2人のロシア選手（ザギ・メド）がMean GOE Mark4以上を取った唯一の試合です。
過去の記録を見ても、主要国際大会でMean GOE Mark4以上を取ったことのある12人のうち、5人がロシア勢です↓
同じ条件で男子のランキングを出すと、Mean GOE Mark4以上のロシア勢は0人です。
次に、FSのグラフを重ねてみます↓
概してGOEは SP>FS ですかね。ど～にも女子FSが低調ですなぁ。
主要国際大会でのMean GOE Markの最高記録は、
男子SP 4.89
女子SP 4.78
男子FS 4.89
女子FS 4.44
「ジャッジ全員が+5押した」は、男女ともに一度もないみたいです。
まあちょっと、関係あるようなないような話で。今季ワールドのStSqは、こんな感じだったんですわ↓
●SPFSで同じクラスターをやっている
男子5人
女子12人
●バックアウト／フォアインループあり
男子5人
女子4人
●フォアイン以外のブラケットあり
男子9人
女子4人
●フォアアウトカウンターあり
男子4人
女子0人（・・・だったと思う
男子のほうが、StSqに労力をかけがちな傾向にあると言えなくもない気がします。レアものを入れる≠GOE出る ですけどね。
SPFSでクラスター同じの件・・・
女子で、Mean GOE Mark TOP5に入っていて、↑のグラフに反映されていて、SPFSでクラスター同じなやつ・・・あるにはありますよ。でも、ジャッジが気づいて、それを理由にGOE渋くつけるケースって、あまりない気がしますね（？ 知らんけど。
ChSqでも同じことをやってみました↓
う～ん、±5になって1季目から、男女差がこんなにはっきりしてたんですねぇ。
主要国際大会での、ChSqのMean GOE Markの最高記録は、
男子 5.00
女子 4.25
だそうです。「ジャッジ全員が+5押した」が、男子はこれまでに3回あるのになぁ。
今のルールだと、ジャンプを3本／7本成功させることを最優先する選手が多いでしょうから、余力でスピンStSqChSqをこなすことになります。
「一般的に、女子より男子のほうが体力がある。StSqChSqは所要時間の長い要素なので、凝れば凝るほど体力を削られる。従って、男子のStSqChSqのほうがクオリティが高くなりがち」
・・・という論は、一応成立しますわな。
「最近の女子の演技は無個性だ」と言ってる人が、（主に海外方面に？）いるらしいと噂に聞きますが・・・このへんのことと関係してるのかしらん？
GOE±3だった平昌の、「StSqにおける、Mean GOE Mark TOP5の平均値」を調べてみたら、SPもFSも女子のほうが上でした。
逆転が起きたのは最近なのか・・・ソチはどうだったんだろう・・・って、きりないなこれ＾ｑ＾
・・・
・・・ちょっと、もう。やるなら全部ということで。
2013ワールド～2018ワールド で、同じようにグラフを作りました。SlStCiSt等がなくなって、今のStSqChSqの形になったのが、2012-13シーズンだったようで。
ここに載せた8試合だと、Mean GOE Mark TOP5の平均値が 男子<女子 だったのは、2014ワールドと平昌のみですね。
2014ワールド男子は、ソチのStSq上位5人のうち、4人が出ないという展開でした。
平昌は・・・女子が実際に良かったんじゃないでしょうか。おいおい↓で復習しましょう。
平昌SPでは、ジャッジ全員がコストナーに+3を押しました。プロNe me quitte pasだったのか・・・最近どっかで見たな＾ｗ＾ ↑に載せた8試合のうち、なんと5試合で、コストナーがMean GOE Mark1位です。こういう人がいると、平均を押し上げてくれるっていうのはありますな。
で、次・・・
グラフを4本重ねたらぐっちゃぐちゃになったので、分けていきます。
●男子SP／男子FS
GOEが SP>FS なのは±5時代と同じですね。2014ワールドFSが大きく凹んでるのは、SPと同じ理由（↑上記）と思われます。ちなみにこの時の1位タイが、ジェレミーのエクソジェネシスでした。
●女子SP／女子FS
±5時代とは異なり、あからさまにFSが低い感じはなく・・・FSのほうが高い試合もありますね。
●男子FS／女子FS
8試合中4試合で、女子のほうが上に来ています。これまた±5時代とは違いますな。
2012-18シーズンの主要国際大会を振り返ると、男女ともMean GOE Mark3.00（満点）が複数回出ています。女子で3.00を取ったのはコストナーだけです。
ところで・・・
±3時代、StSq4でオール3評価を受けると、GOEは2.10つきました。今は、StSq4オール5評価で、1.95です。「9人のジャッジのうち8人が+5を押した」例はあるので、1.95は何回か出ています。
BVは変わっておらず、StSqの満点は、6.00から5.85に引き下げられた状態です。
・・・さて、グラフもう1種行きますか。
2013ワールド～2024ワールドの、「StSqの得点、各試合TOP5の平均値」です。これまでのグラフと違ってBV込みなので、StSq3の数字は、StSq4取得者が少なかった試合のみ反映されます。
●男子SP／男子FS
五輪直後のワールドでの凹みはあるものの、ほぼほぼ一定で来てますかね。この10年、「ジャンプ構成はゴリゴリ上がり、StSq得点は変わらず」だから、jumping contestが加速するのは当たり前ですわ。
ソチFSは、レベル4取れたのが3人だけでした。オリンピックインフレーションを考えると、平昌に山が来そうなのに、2017の山が高くなっている・・・う～ん？？
●女子SP／女子FS
±5になって以降、下降気味なのが分かります。これは「ロシア勢の不在」で片づけて良いものなのか。2021ワールドFSは、レベル4取れた選手は6人いたのに、なんだかGOE渋いです。男子もここに谷が来てるし、コロナで1年飛んだ影響ですかね。
●男子SP／女子SP
ソチ女子SPは、レベル4が2人しかおらず、男女差ががっつりついてしまいました。昨季→今季で、男女差が広がってますなあ。
●男子FS／女子FS
昨季→今季で、男女差が広がってますなあ！！！今季ワールド、女子FSのレベル4は5人だけでした・・・
さて・・・
ChSqは、2018-19シーズンからBVが上がり、オール3評価を受けると4.10だったのが、オール5評価で5.50になりました。
「ChSqで取れた点数、各試合TOP5の平均値」です↓
±3時代は、FS StSqと同様、「男子が五輪直後のワールドで凹む」現象が見られます。±3時代の上記8試合でのTOP5の平均点は、男女でほぼ差がないくらいです。ただ、主要国際大会の最高記録で見ると、「男子は3.00（ジャッジ全員が+3押した）が出てたけど、女子は2.78が最高だった」という状況です。
±5時代に入ると、あからさまに男子が上になります。今季ワールドの女子は、±5時代で最も低く出てしまいました。
後記
2018-19シーズンから、男女ともジャンプ7本、±5になって、6季終わって。女子のStSqとChSqが、ど～～～にも伸びてないと。
今、ジャンプ6本にするのしないのの話してますけど。ジャンプを減らせば、女子のGOE、上がってくるんでしょうか。
まあ、女子のGOEの底上げ・・・とかって数字を気にするより、「非スケヲタ（≒新規のお客さん）が見てくれる可能性が高いミラノ五輪で、面白いものを見せること」のほうが重要ですかね。
フィギュアスケート女子シングルって、冬季五輪の花形・・・じゃなかったっけ？？
StSqChSqのGOEが高い演技＝観戦ビギナーにウケる演技
↑この図式はどの程度成り立つんでしょうな。新規のお客さんがどういうのを面白いと感じるのか、古参BBAにはもはや全然わからんですが＾ｑ＾