画面に映し出されたのは
居心地悪そうにソファーに座る潤くん
青白く痩せた姿
虚ろな瞳
俺達が知ってる潤くんとはまるで違う姿をしている
そして画面には映らないけど近くにいる主治医の声が聞こえた
「潤くん、今日の調子はどうかな?」
「ふつう…」
「ふつう…か。それはなにより。悪いよりはずっといいからね」
「…うん」
「あのね、今日から少しずつ治療を始めたいきたいんだ」
「どうして?何の為に?」
「心の整理をしなきゃ。その為にここに来たんだろ?」
「別にこのままでいい。僕はこのままここにいられるならそれでいい」
「まずは先生の話を聞いてよ」
医者が潤くんを穏やかに宥めて
これからする治療の説明を始めている
説明を聞く潤くんの表情がどんどん歪んでいくのがわかる
「そんなの怖いしやりたくない」
「そんなこと言うなよ~、俺信用ないな」
「先生がどうってわけじゃなくて、やりたくない」
「大丈夫だって。俺はプロだよ?!」
「それ、どうしてもやらなきゃここに置いてもらえなくなるの?」
渋る潤くんを医者が何度もたしなめて
潤くんはやっと首を縦に振った
表情は暗く、瞳には何も写さないまま
「じゃあ始めるよ。潤くんは目を閉じて、俺の声だけに集中してね」
ここで一度映像を止めて
食い入るように見つめる二人に声を掛けた
「これからするのは催眠療法。潤くんに催眠をかけながら心理を読み解いていく手法だよ」
「催眠って、大丈夫なの?」
「うん。心配いらない」
翔ちゃんは心配そうな表情で画面に視線を移した
大野さんは表情が全くわからない
だけど…不安なのは伝わってる
「じゃあ、再生するね」
画面にはまた潤くんの姿が映し出される
ここからは一気に観てもらうよ
「潤くんは今…2歳。周りをみてごらん。何か楽しいことはあるかな」
「…お父さんもお母さんも優しいから大好き。楽しいのは公園で遊ぶこと」
「そっか。じゃあね、何か嫌なことはある?」
「たまに…たまにね、お父さんとお母さんが寂しそうに僕を見るんだ。なんでかな…」
「今度は潤くんは少し大きくなったよ。まだ前と変わらないかな?お父さん達は寂しそう?」
「あのね、僕の隣にお兄ちゃんがいるんだ!だからみんな笑ってる。僕も嬉しくてたまらないよ!」
「それは良かったねお兄ちゃんは優しいかい?」
「うん!すごく優しいよ。お兄ちゃんがいつも一緒にいてくれるからお父さんとお母さんがお仕事でいなくても寂しくないんだ。僕はお兄ちゃんが大好き!」
「良かったね」
「ふふ。ホントはね、僕、お兄ちゃんを見たことあるんだ。おうちにあったアル…バ?」
「アルバムかい?」
「うん!アルバム!!それにあったんだ。お父さん達に見つからないようにこっそり見たんだ。そしたら今よりもうちょっと小さいお兄ちゃんがいて。可愛かったんだよ。だからね会えた時、すごく嬉しかった!」
「さて、潤くんは今小学生だ。5年生だよ。何か困ったこととかないかな?」
「困ってることは…お兄ちゃんがあまり僕が遊びに行くのが嫌みたい。寂しいのかな。あと…」
「あと?」
「おじちゃんが…」
「おじちゃん?親戚のおじちゃんかな?どうしたの?」
「おじいちゃんちに行った時に、おじちゃんがいて、僕の体を触ろうとしたんだ。だからやめてって言ったら、お兄ちゃんは黙って触らせてたんだから潤も我慢しろって怒られて」
「それでどうしたの?」
「おじいちゃんが助けてくれた。でも、誰にもこのことは話しちゃダメって。お父さん達にもお兄ちゃんにも絶対話しちゃダメって」
「どんな気持ちだった?」
「怖かった。ここにお兄ちゃんを連れてきちゃダメって思った。僕がお兄ちゃんを守らなきゃって」
「潤くんはお兄ちゃんを守りたいと思ったんだね」
「だって、お兄ちゃんがいなくなったら嫌だもん」
潤くんは催眠にかかっているから
目を瞑ったまま涙を流していた
大野さんの過去を、小さな潤くんは知っていたんだ。
前に潤くんの両親が話してくれた時、初めて知ったようにみせていたけど、それは記憶を忘れようとしていただけ
潤くんは全て知っていたってこと
「さあ、潤くんは中学生だ。学校は楽しいかな?」
「…。」
「潤くん?」
「僕…もう死 んじゃいたいって思うんだ。でもお兄ちゃんがダメって言う」
「そんなに苦しいんだね」
「すごく苦しい。痛かったし怖かった。だけど…僕よりお兄ちゃんの方が痛くて苦しそうな顔をしてるんだ。だから…」
「死 ねない?」
「お兄ちゃんを一人にできない。僕はお兄ちゃんを…お兄ちゃんが!!」
「潤くん、深呼吸するよ。僕の声を聞いて」
潤くんが強く反応して錯乱状態になりそうになった
主治医が催眠を解いて、気持ちを安定させている姿が映る
翔ちゃんも大野さんも何も言わずに黙って画面に視線を落としたまま
ただ
大野さんは額にうっすら汗を滲ませていた
「一度…停止します?」
「俺は大丈夫だけど…智くんは?」
大野さんは両手で顔を覆って額の汗を拭き取った
そして
「悪い、ちょっとだけ休ませて。5分だけ時間くれ」
そう言って、部屋から出ていった
お久しぶりです。
皆さんお元気ですか?
くるとんは元気です。
お分かりだと思いますが…
お話を作る意欲が全くわかなくなり読み専になってました。やはりね、嵐ちゃんのお休みが影響してるんだなと思います。
何にも浮かばない~みたいな(笑)
このまま引退も考えてました。
んで、読み専なのでちょっと『毒兄』を読んでみたんです。あらら、中途半端で止まってる(笑)
やはり書きかけのままで終わるのは…と。
正直、最後まで作れる自信もないのですがとりあえずいけるとこまで(笑)
ストックないまま更新しますんで、相変わらずのペースになりますがお付き合い頂ければ。
ではでは、またよろしくお願いします(о´∀`о)